帰って来たガンマン<Un Fiume di Dollari> (66年伊)The Hills Run Red |
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<スタッフ> 提供 製作 監督 脚本 美術 音楽 <キャスト> ジェリー・ブリュスター メンデス ケン・シガール ゲッツ メリー・アン |
ディーノ・デ・ラウレンティース エルマンノ・トナーティ ルイジ・カルペンティエリ カルロ・リッツァーニ ディーン・グレイグ アルド・プッチーニ エンニオ・モリコーネ トム・ハンター ヘンリー・シルバ ナンド・ガッツォーロ ダン・デュリエ ニコレッタ・マキアベリ |
ディーノ・デ・ラウレンティースとその作品 イタリアきっての大プロデューサー、デイーノ・デ・ラウレンティースは、 いよいよ本格的に西部劇製作にのりだした。「帰って来たガンマン」と「さすらいのガンマン」である。 それまでに彼の手許にもちこまれた企画は山ほどあったが、ケチな映画は作りたくなかったので、 いままで満を持して待機していたわけだ。 それにもう一つ、「天地創造」をかかえていたため、並行していくつもの映画を作ることは 彼の良心が許さなかった。同時に、彼は明日の映画界を考えて製作にあたるプロデューサーでもある。 本年45才、ナポリに近いアマルフィで父はスパゲッティ工場を経営していたが、15才のとき、 イタリア各地をスパゲッティのセールスをしながら歩くうち映画にとりつかれ、 父に無断でローマの映画実験センターに入学したため勘当された。最初のうち俳優になろうと思ったが ろくな役がつかなかった。 のちに映画界ではカメラの後の方が大切であると考え、スタジオの裏方からはじめて、小道具係、 会計係、助監督、プロデューサー肋手をへて、わずか20才で一人前のプロデューサーになった。 しかし20才の若手にはローマは大きすぎたし、プロデューサーには資金が必要だった。 そこでトリノヘでかけて数年間レンタカー商売をやってローマへ戻った。だが戦争がはじまって 映画界の事情も変り、その間に戦後映画芸術がどのような変遷をとげるかを見出そうとしていた。 戦後いち早くロベルト・ロツセリーニ、ジュゼッペ・デ・サンティスらと組んで「ローマ零年」や 「にがい米」をプロデュース、イタリアン・リアリズムの名を全世界に轟かすようになった。 とくにカルロ・ポンティと共同で「道」「カビリアの夜」など幾多の名作を送りだした。 さらにもっとスケールの大きい映画を作らねば世界市場への進出はのぞめないと考え、「ユリシーズ」 「戦争と平和」「テンペスト」「バラバ」などのスペクタクル大作に手をだして成功した。 ローマを世界映画界の中心にするため、3000万ドル(108億円)を投じて ハリウッドにもない最新設備をそろえたラウレンティース撮影所を1964年に完成、 「天地創造」から使用を開始した。 夫人は「アンナ」「にがい米」のシルバナ・マンガーノである。 | <梗概>
テキサスの荒野を、南軍の幌馬車が1台。狂気のように疾走する。
うす汚れたカウボーイ姿で手綱をとるのは明朗快活な青年ジェリー・ブリュスター。 馬車の中で山のような紙幣を数え、ゴソゴソ鞍袋につめこんでいるのは、逆に陰険そのもののケン・シーガル。 南軍の兵隊だった2人は、給料を運ぶ途中終戦を迎え、シーガルはネコパパをきめこんで牧場を買う皮算用、 ブリュスターは公金に手をつけると政府の秘密諜報員が恐いと考える。 それでも欲がさきにたって馬車は歩一歩メキシコ国境へ近ずく。 地平線に黒いシルエット。騎兵隊のパトロールだ。ブリュスターは疲れた馬に鞭をうつが、 影はぐんぐん近ずいてくる。万事休す…。 シーガルはトランプをひっぱりだしてくじを引き、勝った方が金を持ってそのまま馬車で逃げる。 強いカードを引いた方が負けだ。ブリュスターが引いたのはスペードのエース。 シーガルは金がずっしり入った鞍袋を馬の背に投げ、一目散に逃げだした。分け前をあずかり、 ブリュスターの女房・子供の面倒をみる約束で……。 5年がすぎた。刑を終えたブリエスターは、愛する女房・子供が待つわが家へ向った。 変名で牧場を買い、いまやテキサス随一の大金持になったシーガルは、名うての殺し屋を揃えて思うままに暴威をふるっていた。 ブリュスター出獄の知らせをうけたシーガルは、泣く子もだまる殺し屋のリーダー、メンデスに、 射ちとるように命じた。ブリュスターは必ずもとの家へ立ち廻るから、とさとして……。 ブリュスターがわが家に帰ってみれば人影もなく荒れ放題。面倒みると約束したシーガルは、 ブリュスターの妻が抵当に入った牧場と家をうけだす金もださず、追い出されても知らぬ顔だった。 すでに女房はこの世の人でなく、息子のティムは行方知れず。しばし呆然としていたブリュスターは、 窓の割れ目からメンデスが手下をひきいて取り巻くのをみつけた。馬ははるか遠くにつないで逃げるに遅く、 しかも素手。敵は歩一歩迫ってくる。せっかく出獄したブリュスターの生命も、荒野のあばら屋で消えかけたとき、 暗がりから声がかかり、何者かが拳銑を投げてよこした。相手はゲッツという素性の知れぬ男、 あとをつけてきたのは明白だが、・・・ (90分) |