ロベレ将軍

<Il Generale Della Rovere>   (59年伊)

<スタッフ>
製作
監督
原作
原案・・脚色


撮影
美術
音楽

<キャスト>
グリマルディ(パルドーネ)
ミュラー大佐
オルガ

モリス・エルガス
ロベルト・ロッセリーニ
インドロ・モンタネリ作「デラ・ロベレ将軍」 セルジョ・アミデイ
ディエーゴ・ファッブリ
インドロ・モンタネリ
カルロ・カルリーニ
ピエロ・ズッフィ
レンツォ・ロッセリーニ


ピットリオ・デ・シーカ
ハンネス・メッセマー
サンドラ・ミーロ
 1959年夏のベニス国際映画簸でグラン・プリ(サン・マルコ金獅子賞)を獲得した イタリア映画「ロベレ将軍」は、数年来の沈黙を遂に破ったロベルト・ロッセリーニ監督 (「無防備都市」「戦火のかなた」「ドイツ零年」「ストロンボリ」「ヨーロッパ1951年」)と、 これまた伊映画界の代表的監督であり名優であるビットリオ・デ・シーカの二巨星が、 はじめて協力して作り上げた傑作である。
 「ロベレ将軍」は、第二次大戦末期、北伊ミラノ市のサン・ビットーレ刑務所に投獄された 当時の貴重な体験をもとに、有名な新聞記者インドロ・モンタネリが書いた同名のベストセラー小説より、 伊映画界屈指の脚本家セルジョ・アミデイ(「無防備都市」「戦火のかなた」「靴みがき」)、 現代イタリア文壇の鬼才ディエーゴ・ファップリ、それに原作者モンタネリ自身が加わってシナリサを書いたものである。一
 主演者は「靴みがき」「自転車泥棒」「ミラノの奇蹟」「終着駅」「屋根」などの名監督で、 俳優としても一流中の一流であるビットリオ・デ・シーカが、はじめてドラマチックな熱演を見せるのが非常に注目される。
 共演者は、ナチ・ドイツ軍の地区司令官に独映画界の性格俳優で「鉄条網」「バベット戦争へ行く」 「脱獄十二時間」のハンネス・メッセマー、「エロデ大王」「両面の鏡」の売っ子肉体女優サンドラ・ミーロ、 わが国初登場の人気女優ジョパンナ・ラリ、「掟」で警察署長を演じたビットリオ・カプリオーリ、 それに「靴みがき」「青春群像」「可愛い悪魔」の若手人気男優フランコ・インテルレンギが特別出演している。
 撮影は「三月生れ」のカルロ・カルリーニ、音楽はロッセリーニ監督の弟で「無防備都市」「戦火のかなた」の 名作曲者レンツォ・ロッセリーニ、それにロッセリーニ監督の長男レンツオ・ロッセリーニニ世が 助監督として製作に参加しているのも話題の一つである。
 「ロベレ将軍」は、引続き11月25日、サンフランシスコ国際映画祭で、作品、監督、主演男優、助演男優(ハンネス・メッセマー)、 脚本の五部門のゴールデン・ゲイト賞(グラン・プリに相当)を独占した。
 最近この映画の主人公ジョバンニ・ベルトーニの未亡人と娘があらわれ、 原作者モンタネリと監督ロッセリーニを起訴し、ジョバンニを全く違って描きだしたために自分たちの生活が乱されたという 名誉毀損の理由で、書物と映画の没収を要求しているのも現在大きな話題を呼んでいる。
 <梗概>  第二次大戦末期の1944年。ドイツ軍は北イタリアのミラノ市を中心に布陣して、 南イタリアから攻めのぼる連合軍に最後の反撃を試みていた。 すでに南伊は連合軍によって解放され、北伊のみがドイツ軍の支配下にあった。 しかしながら、北伊の各地には軍服なき戦士″――あらゆる階級から成る自由義勇軍―― パルチザンが蜂起して、ドイツ軍およぴファシスト軍に必死の抵抗をくりかえしていたのである。
 こうした独軍占領下の緊迫したジェノバ市に、グリマルディ大佐と自称する50才ぐらいの 人ずきのする男が、バクチと女に身を持ちくずして暮していた。 ジョバンニ・ベルトーニというのが彼の本名だが、彼は時と場所によってバルドーネとか技師とか 無数の偽名と肩書きを使う。すでに4回も刑を受けた前科者である。
 その頃、彼はドイツ軍司令部の下士官と結託して ドイツ軍に逮捕されたイタリア・パルチザンたちを釈放してやると称しては、その家族から金をせしめていた。
 早春の或る朝、ドイツ軍地区司令官ミュラー大佐は、偶然のことから、 路上でグリマルディにめぐりあった。そして彼の抜け目ない、変転自在な性格に興味を持った。′
 丁度その頃、ドイツ軍司令部では、或る重大な情報をキャッチしていた。 連合軍司令部から北伊のパルチザン部隊に連絡のため、一人のイタリア将軍を派遣するというニュースである。 そこでミュラー大佐は副官に命じてこのイタリア将軍ロベレの生捕りを計った。 ロベレ将軍の逮捕こそ、目下ドイツ軍を大いに悩ましているパルチザン抵抗の息の根をとめる 重要な手がかりと考えられたからである。
 ロベレ将軍はイギリス海軍の潜永艦に乗り込んでひそかにジェノバ附近の一地点に上陸した。 ところが不幸にも、将軍は上陸直後ドイツ軍の一分隊によって射殺されてしまった。 これは命令が下部まで徹底しなかったためだが、これによってミュラー大佐の計画は一頓挫をきたしてしまった。
 たまたまその時、グリマルディが地区司令部に連行されてきた。パルチザン捕虜釈放の例のペテンがばれて 逮捕されたのだ。そこでミュラー大佐は一つの名案を思いついた。ペテン師グリマルディをロベレ将軍に仕立てて ドイツ側のスパイに使おう…と。
 ここにニセのロベレ将軍が誕生した。 ・・・
     (131分)

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