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パンと恋と夢＜Pane, Amore e Fantasia＞ （53年伊） |
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＜スタッフ＞ 原 作 監 督 撮 影 音 楽 ＜キャスト＞ 警察署長アントニオ・カロテヌート "山猫" 助産婦アンナレラ 巡査ステルーティ 司祭ドン・エミディオ |
エットレ・マリア・マルガドンナ ルイジ・コメンチーニ アルオトゥロ・ガッレア アレッサンドロ・チコニーニ ヴィットリオ・デ・シーカ ジーナ・ロロブリジダ マリザ・メルリーニ ロベルト・リッソ ヴィルジリオ・リエント |
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当代随一の人気スター、ジーナロロブリジダとヴィットリオ・デ・シーカが
その魅力を十二分に発揮した「バンと恋と夢」は、全篇に無類の明るさと夢を湛えた
ロマンティック・コメディで、昨年来欧米で最も評判となり、最もヒットしている
イタリア映画である。
主演者のロロブリジダとデ・シーカはすでに「懐かしの日々」（52）の 最後のエピソードで呼吸の合った名演技を示し絶賛を博したが、その名コンビは再び この「パンと恋と夢」で素晴しい展開をみせている。特にロロブリジダはこの一作に 全く新しい芸域を拓き、作54年度の最優秀女優として、伊映画界のアカアミイ貧ともいうペき "銀リボン賞" を獲得した。 助演者のマリザ・メルリーニ、ヴィルジリオ・リエント、ティーナ・ビーカは舞台出の 性格俳優。ロベルト・リッソは「明日では遅すぎる」の監督レオニード・モギイに見出されて その続篇「明日は又の日」（51）でデビューした新進の二枚目。マリア・ピケ・カジリオは デ・シーカ監督に発見されて「ウンベルト」（52）に初出演し「ナポリの饗宴」（54）にも出ている今売出しの女優である。 監督のルイジ・コメンチーニは名高い〝イタリア・フィルム・ライブラリイ" の基礎をつくり、 週刊誌 "テンポ″の映画批評に鋭筆を振い、ドキュメンタリイ映画作家として映画界に入った人で、 最初の文化映画「街の子供たち」は46年度の "銀リボン賞" を得た。 48年、ナポリの浮浪児の生態を描いた最初の劇映画「盗むべからず」が大いに認められていらい、 「娼家」（51）「人身売買」（52）等の間題作を発表するかたわら、シナリオライターとして 「ポー河の水草小屋」（49）「街は自衛する」（51）等の佳作に参加している。 原作者のエットレ・マリア・マルガドンナは古くから映画批評を書き、32年出版の映画史 〝映画―過去と現在" は有名だが、彼は35年から小説家およぴシナリオライターとして活躍しだし、 52年の小説「神は人間を蒔く」では "ヴァルダーニョ賞" を、カステラーニ監督の傑作 「かすかな希望」の原作では52年度の "銀リボン賞" を受けた人である。 撮影者のアルトゥーロ・ガッレアはすでに60余本を手がけたヴェテランで 「かすかな希望」の撮影では52年度の "銀リボン賞" を受けている。 |
音楽担当のアレッサンドロ・チコニーニはイタリア随一の映画音楽作曲家で、
デ・シーカ監督の戦後の全作品のほかに「明日では遅すぎる」「懐かしの日々」「ユリシーズ」等がある。
プロデューサーは「終着駅」のマルチェッロ・ジロージ、ティターヌス社の53年度超特作である。
<物語> 南イタリアの山の中に、静かに横たわっている小さな村。この、羊飼と農民の平和卿に、 ささやかなセンセイションがまき起った。村の警察署に新しい署長が赴任して来たのだ。 新署長アントニオ・カロテヌートは、なかなかに男っぶりのいい、中年の紳士であった。 しかも独身である。日頃何の事件とて起らず、寝ること以外何一つ娯しみもないこんな村へ、 ハンサムな署長が独身でやって来るとは！――前署長や部下達が心配したのはこのことだった。 平和そのもののようなこの村では、ちょっとした人間の動きが惣ち村ぢゅうの噂の種にされてしまうのだ。 案の条、ハンサム署長カロテヌートは、着任早々、村の２人の女性に目を付けはじめるようになった。 ひとりは、美しいことも村一番なら貧しいことも指折りの、〝山猫″という仇名の鉄火少女。 もう一人は、村で唯一の助産婦さん、アンナレラという姥桜である。 妙なことに、山猫娘は頼みもしないのに署長に大変親切をつくしてくれる。署長さんとて 甚だ悪い気がしないのは当然だが、さてもう一人、彼の宿舎の真向いに住んでいる助産婦さんの 動静も、この独身署長にとっては気になって仕方のない存在なのである。 ところがここに、署長さんの御存知ない秘密があった。実は、山猫嬢のお目当ては、 署の若いパトロール巡査ステルーティだったのだ。この若い２人は、言わず語らずのうちに 大変な想いを焦し合っている仲だったのである。言わず語らずも当り前、イタリアの国家 警察官は規則によって、現職中の恋愛は一切御法度。発見されたら忽ち転勤、と思えば、 ステルーティも可愛い山猫嬢に口一つきくわけにゆかないのである。これが山猫嬢にはもどかしい。 さてこそ摘め手から署長に親切をつくし、何とか愛しい男に近づこうとの、彼女の算段だったのだ。 ・・・ (90分） |