三月生れ

<Nata di Marzo>  (58年伊)

<スタッフ>
製作
 監督・原案
脚色



撮影
美術

音楽
編集

<キャスト>
フランチェスカ
サンドロ
カルロ
ネラ

カルロ・ボンテイ
アントニオ・ピエトランジェリ
アージ・スカルぺソリ
ルツジェ一ロ・マッカーリ
エットレ・スカーラ
アントニオ・ピエトランジェリ
カルロ・カルリーニ
ピエロ・ポレ、ソト
マウリツイオ・S・キアーリ
ピエロ・モルガン
エラルド・ダ・ローマ


ジャクリーヌ・ササール
ガブリエレ・フェルゼッティ
マリオ・ヴァルデマリン
ティーナ・デ・モーラ
 「芽ばえ」ただ一作で、またたく問に我が国の若い人びとの問に圧倒的な人気をかちえた話題の新 人、ジャクリーヌ・ササールの第2作が「三月生れ」です。
 この一風変った題名の由来はイタリアの三月は、一年中で最も気候が早変りする月なので、イタリ アでは三月生れの女といえば、一般に気まぐれな、わがままな女とされています。
 この映画の主人公フランチェスカは、「芽ばえ」のグエンダリーナがもっていた勝気で、どちらか といえば高慢ちきな態度、しかしその反面ウェットな心情もあるといったわがままな性格を、もっと 強調した18才の女子大学生で、持ち前の移り気な性格から、いろいろ痛快な事件を巻きおこしま す。まさに青春のアイドルともいうべきササールにピッタリの役柄で、彼女のアユのようにピチビ チした新鮮な魅力が画面いっぱいに満ちあふれています。このみずみずしい演技で、ジャクリーヌ・ ササールは、58年度サンセバスチァン(スペイン)映画祭の最優秀女優演技賞を獲得しました。
 監督は、処女作「瞳の中の太陽」(53)で青春映画に新境地をひらいた新進気鋭のアントニオ・ピエ トランジェリ。撮影は「道」でオテロ・マルテリの助手をつとめ、最近一本立ちになったカルロ・力 ルリー二の担当。音楽は「芽ばえ」のピエロ・モルガンが作曲しました。
 特筆すべきは、この映画の舞台がイタリアン・モードの中心地として有名な北伊のミラノ市だけ に、その得意とする斬新なスタイルを、ササールがつぎつぎに着て紹介してくれることです。 「芽ばえ」でもロング・ヘアにスラックス姿のグエンダリーナ・スタイル、そして身体の線にピッタリ合 ったジャクリーヌ・タイツなどが我が国でも大流行しましたが、この「三月生れ」で彼女が着こなす 奇抜でシックなモードのかずかずこそ、まず女性フアンにとっては、見のがすことのできないファッション 映画の決
定版でもあります。
 共演者は、「純愛」「明日なき愛情」の渋い二枚目ガブリエレ・フェルゼッティと、 監督ピエトランジェリによって見出された好青年マリオ・ヴァルデマリンたちです。
 製作は「芽ばえ」と同じく、ソフィア・ローレンのご主人カルロ・ポンチィにょる1958年 度特作です。

 <物語>  フランチェスカ(ジャクリーヌ・ササール)は、ミラノ大学の法科1年に在学中で、18才三月生 れの娘です。かなり裕福な衣裳店の一人娘で、父親がいないせいもあって非常に活発ですが、相当に 短気でわがままで、とても淑女ぶっています。いわゆる典型的な三月生れ" なのです。
 そのフランチェスカが、恋をしたのです。ある春の晩、電車の中でふとしたことから知り合った、 30才のまじめな建築技師サンドロ(ガブリエレ・フェルゼヅティ)を、心から愛するようになったの です。サンドロの腕の中で、フランチェスカは幸福をかみしめました。2人は理性を失うほど愛し合いました。
 その年の10月、2人は結婚式を挙げました。つづく新婚旅行……ハネムーン‥‥‥しかし2人がまず 解決しなければならなかったのは、家の問題でした。そこで近代的なアパートに部屋を4つ買いき って、新婚家庭をきづくことになりました。
 "三月生れ" の女と結婚するとその家庭には風波が絶えないと、イタリアでは云います。楽しい、 夢のような新婚第一期に、このジュニア・マダムは続々と家具類を買い集め、テラス一面に芝生をし きつめたりして、しだいに家庭経済をおびやかし始めました。それもこれも、スイート・ホームをつ くろうという、フランチェスカの無邪気な、そしてけなげなプランだったのですが。 ・・・
    (111分)

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