<La Legge>   (58年伊)

<スタッフ>
製作

監督・脚本
原作
 台詞

撮影
音楽

<キャスト>
マリエッタ
マテオ・ブリガンテ
農業技師
ドン・チューザレ
フランチェスコ
ルクレツィア
トニオ
ピザッチョ

マレーノ・マレノッティ
ジャック・パール
ジュールス・ダッシン
ロジェ・ヴァイアンの「掟」より
フランソワズ・ジルー
ディエーゴ・ファッブリ
オテロ・マルテリ
ロマン・ヴラード


ジーナ・ロロブリジダ
イヴ・モンタン
マルチェロ・マストロヤンニ
ピエール・ブラスール
ラフ・マッティオーリ
メリナ・メルクーリ
パオロ・ストッパ
ニーノ・ヴィンジェリ
 昨年の6月3日から、南イタリアのプーリア地方でロケーションが行われた『掟』は、 「裸の町」「男の争い」「宿命」の鬼才ジュールス・ダッシン監督が、 1957年度のゴンクール賞(有名なフランスの文学賞)を受けた問題の傑作小説 掟" を、伊仏映画界一流の豪華スターを使って映画化した野心的な大作である。
 主演者は、イタリア映画界最高の人気女優ジーナ・ロロブリジダ、 本職のシャンソン歌手と共に映画出演でも最近ますます円熟味を見せるイヴ・モンタン、 伊映画界の代表的二枚目マルチェロ・マストロヤンニ(恋愛時代、白夜)。
 この3人を取巻くのが、ピエール・ブラスール(リラの門)、 メリナ・メルクーリ(宿命)、ラフ・マッティオーリ(芽ばえ)、 パオロ・ストッパ(ナポリの響宴)、ニーノ・ヴィンジュリ(挑戦)等の多彩な顔振れで、 彼等の火花を散らす名演技のかみ合せは、まさに圧倒的な見ものである。
 ジュールス・ダッシン監督は、もともと豊かな地方色の描写の中に、 ドラマチックな事件を操りひろげるのが巧みな人だから、この題材はまことに彼にうってつけの ものといえる。激情の恋、野性的な愛欲、人間同士の葛藤、憎悪と憤怒、 笑いと諷刺が交錯する波瀾万丈の物語――これらが揮然一体となって劇的なクライマックスに 達する。まさにダッシンの独壇場である。
 これに威力をそえるのが「戦火のかなた」「にがい米」「道」などの名キャメラマン、 オテロ・マルテリの素晴しい撮影である。はじめ私はこれを色彩映画にしようとした。 しかし、色彩はドラマチックな興味をそぎ、観客が色彩によって細かな点に 眼をそらされ、その注意を重要な対話や演技に集中させにくいので、 私はあえてこの映画を黒白版にした″と語るダッシン監督の期待にこたえて、 オテロ・マルテリはよくこの劇的な原作の味と雰囲気を出すのに成功している。
 音楽は「ロミオとジュリエット」「挑戦」なでの名作曲家ロマン・ヴラードが、 ローカル・カラーを盛りあげる巧みな作曲をして、これまた大きな効果を収めている。
 <梗概>  ここは地中海に浮ぶコルシカ島の或る小さな海岸町である。職のない人々がものうげにたむろする 広場に面した建物のバルコニーから、今朝も町一番の器量よしマリエッタのかん高い歌声が響いてくる。 ギラギラ輝く南欧の陽の下で、一見この町は眠ったように静かだが、白く反射する家々の内部には、 それぞれ緊迫した人間同士の対立が無気味な空気をはらみ、息づまるような激情が、 秘められた権力への闘いが今にも爆発する時を待っているかのようだ。
 この町で実際の権力を握っているのは、先祖代々の屋敷にひきこもり、考古学町研究を続けている 富豪の老人ドン・チューザレと、この地方の秘密結社の顔役マテオ・ブリガンテの2人である。 町の警察署長もブリガンテには丸めこまれ、ドン・チューザレには頭があがらない。
 頬に一筋の縦傷を残したブリガンテが、最近狙っているのは、あの挑発的な生娘の マリエッタだった。彼女は、次々にドン・チェーザレの思い者となった母親と姉2人と一緒に、 彼の屋敷に奉公しているのだが、実は町の愚連隊の姉御株なのだ。このチンピラ連中には、 マリエッタの指示で警察のオートバイを瞬く間に分解し、盗み去るぐらい朝飯前の仕事だった。 彼女は、なんとかしてまとまった持参金をつくり、ちゃんとした結婚がしたかったのだ。
 その朝、ドン・チューザレの屋敷へ若い農業技師がやって来て、マリエッタを好条件で 女中に雇いたいと申し出た。彼は最近フランス本国から派遣されて、緬羊の品種改良や農地開発に 努力している好青年だが、マリエッタはその申し出を断ってしまった。
 悩ましいほどの女盛りは、人々kらドンナ(奥方)と尊敬されている判事の妻のルクレツィアである。 彼女は、マラリヤ持ちで性格の弱い夫とはここ数年うまくいっていないが、最近彼女は真剣な恋をしている。 相手は大学で法律を学んでいるブリガンテ御自慢の一人息子フランチェスコだ。  ・・・    (126分)

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