情 事

<L'avventura>   (60年伊仏)

<スタッフ>
製作
監督
原案
脚本


撮影
美術
音楽

<キャスト>
サンドロ
クラウディア
アンナ

チーノ・デル・ドゥーカ
ミケランジェロ・アントニオーニ
ミケランジェロ・アントニオーニ
ミケランジェロ・アントニオーニ
トニーノ・グエルラ
エリオ・パルトリーニ
アルド・スカヴァルダ
ピエロ・ポレット
ジョヴァンニ・フスコ


ガブリエレ・フェルゼッティ
モニ力・ヴィッティ
レア・マッサーリ
 これがヌーヴェル・ヴァーグへの回答だ!とイタリア本国でまづ大評判をとり、 1960年度カンヌ映画祭で "新らしい映画言語の創造とその映像の美しさ" によって "審査員特別賞" ほか三賞を、また同年度ロンドン映画祭で "グラン・プリ" を獲得し、 パリで5ヵ月間のロードショウ記録を樹立するなど、欧米で圧倒的な話題を巻きおこし、 わが国でも "見られざる傑作" として公開を渇望されていた問題作である。 ヵ この映画の監督ミケランジェロ・アントニオーニは、 フェデリコ・フェリーニ(「道」「甘い生活」などの名監督)と同時代に活躍を始め、 「ある恋の物語」「椿を持たぬ夫人」「敗者たち」「女友だち」「さすらい」などの 傑作・問題作をつぎつぎに発表し、この「情事」によって世界映画界に決定的な地位を確立し、 いまや新らしい映画の旗手として欧州でもっとも注目され、 若い映画作家たちをリードしている "時の監督" である。 (これに続く「夜」は、1961年度ベルリン映画祭でグラン・プリを獲得した。)
 主演者は「三月生れ」でササールの夫になった演技派のガプリエレ・フェルゼッテイ、 若く天才的な舞台女優で「巧妙な娘たち」で映画にデビューし、個性的な美しさで 観客に強烈な印象を焼きつける金髪の新人女優モニカ・ヴィッティ、 「ひき出しの中の夢」で認められ、「カチューシャ物語」「狂った情事」にも主演した 新進女優レア・マッサーリの3人で、それぞれ特色のある好演技を見せている。
 共演者は、イギリス女優ドーン・アダムスの父親で、ローマの繁華街 ヴィア・コンドッティでアントニオーニ監督に見いだされ、この映画に初めて出演する ジェイムス・アダムス、フランスの名優ピエール・プランシャールの娘ドミニク・プランシャール、 「ベニスと月とあなた」の作曲者レリオ・ルッタッツィ、舞台の名優レンツォ・リッチらの 異色キャストである。
 シナリオはアントニオーニ監督の原案にもとづくもので
「さすらい」のエリオ・バルトリーニとトニーノ・グエルラが参加した。 セリフは極度に省略され、ラヴ・シーンなどでも会話は交わされず、大写しの顔や 激しい息づかいなどで男女の愛の高まりを描きつくしている。
 この映画の特色の一つは、5ヵ月間、オール・ロケによって 素晴らしい効果をあげた撮影である。この撮影監督は、この映画で一本立ちになった 新進気鋭のアルド・スカヴァルダである。
 音楽は「太陽の誘惑」のジョヴァンニ・フスコの作曲で、 主題歌は情事の妖しい雰囲気をよくあらわしている。


 <梗概>  ローマの上流家庭のひとり娘アンナには、サンドロという建築家の恋人がいる。 アンナにはすでに母はなく、今は大使をやめて、静かに余生を送ろうという父親とのふたり暮しであった。
 サンドロは、かつて芸術的な夢に燃え、良心的な仕事に没頭していたが、 都会の頽廃と倦怠はしだいに彼の理想をむしばみ、今では営利的な仕事に心を奪われ、 上流社会に出没しては、いたづらに無気力な日々をかさねていた。こうしたサンドロの態度に あきたらず、アンナは、ひたむきで誠実な愛を彼に求めるのだった。
 夏も終りに近づいたころ、アンナとサンドロは友人たちに招かれて、数日間、シチリア島の 北方に点在する魅惑的なエオリエ群島へ、ヨット旅行に出かけることになった。 このあたりは、ストロンボリ、ヴルカーノなどの有名な火山島があることで知られている。
 アンナは、サンドロとの仲がしっくりいかなくなっている折から、親友のクラウディアに 同行をすすめた。クラウディアは、かねがね上流階級の生活にあこがれていたので、 喜んでこれに参加した。
 ヨットには、彼ら3人のほかにも客が招かれていた。まさに快適な船旅だった。 ・・・    (141分)

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