芽ばえ<GUENDALINA> (57年伊) |
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<スタッフ> 製作 監督 原作 脚色 撮影 美術 編集 音楽 <キャスト> グエンダリーナ グエンダリーナの父 オーベルダン グエンダリーナの母 |
カルロ・ポンティ アルベルト・ラットアーダ ヴァレリオ・ズルリーニ レオ・ベンヴェヌーティ ピエロ・デ・ベルナルディ アルベルト・ラトアーダ ジャン・ブロンデル オテロ・マルテリ マウリッツィオ・セッラ エラルド・ダ・ローマ ピエロ・モルガン ジャクリーヌ・ササール ラフ・ヴァローネ ラフ・マッティオーリ シルヴァ・コシナ |
「明日では遅すぎる」で、いわゆる思春期映画に先鞭をつけたイタリア映画が、
構想も新たに、今日のティーン・エイジャーの恋愛感情そして彼らが成人してゆく過程を
まじめな態度でとりあげた話題の新作です。 永遠に美しきもの・‥誰しもが経験し忘れがたい想い出をのこす初恋の喜びと悲しみ… こうしたデリケイトなテーマと取組んで、すぐれた演出をみせるアルベルト・ラットアーダ監督は、 「ポー河の水車小屋」「アンナ」で知られる伊映画界きっての才人。それに、4名の手になる緻密な脚本構成 (このシナリオは58年度銀リボン賞" を受賞)、海岸避暑地の雰囲気と情感をよくとらえた撮影(担当は 「道」の名手オテロ・マルテリ)近代感覚にあふれた音楽(作曲は新進のピエロ・モルガン、主題曲 「芽ばえ」と「マンボ芽生え」が大流行です)、テンポのいい軽快な編集(「自転車泥棒」などの 第一人者エラルド・ダ・ローマ)は、いずれもこの映画を格調のある作品に仕上げています。 主演女優のジャクリーヌ・ササールは、ニース生れの個性美にみちた17歳の新人。 彼女はオット・プレミンガー監督に発見されて「悲しみよこんにちは」のヒロインに起用されるところを、 英語の知識がないため断念のやむなきにいたりましたが、これがチャンスで『芽ばえ』の主役に選ばれ、 みごとデビュー作を成功で飾つた前途有望のスターです。そして、ヨーロッパ映画界では、ちようどピア・アンジェリや オードリイ・ヘップバーンの出現の時のように、今やジャクリーヌ・ササール時代到来とまで言われています。 その相手役には、ナポリ大学法科の学生で、19才のラフ・マッティオーリが特に見いだされて 初出演していますし、今ぐんぐん人気のあがっている肉体女優のシルヴァ・コシナや、「にがい米」 「枯葉」など伊映画最高の人気男優ラフ・プァローネも出演するという豪華キャストです。 それから、近年世界のファッション界の突端をゆき、非常な関心を集めている イタリアン・モードのかずかずがジャクリーヌ・ササールの魅力に色をそえて登場するのも、 女性フアンなら見のがせぬところでしよう | <物語>
この初恋物語は、シーズンも終わりに近づいたイタリアの西北海岸の避暑地ヴィアレッジョに芽生えます。
16歳の誕生日を間近に迎える美しい少女グエンダリーナは、金持ちの両親と一緒に、この町の 高級別荘に来ていた。彼女の両親はまだ若いのに、性格の相違から夫婦の仲はしつくりゆかず 離婚しようとしていました。こうした家庭の空気は、 傷つきやすい思春期のグエンダリーナに、次第に冷たい影を落としていったのです。 しかし、陽気なブルジョア仲間たちとサイクリングや水泳に楽しい時を過ごすグエンダリーナは 多勢の部下をしたがえた女王蜂のようにふるまつていました。 若あゆのようにぴちぴちした少年、少女の群は、閑散になってきた海辺に、 息を吹きかえしたような若さをみなぎらせています。 そのころ、グエンダリーナは海岸で、同じ年頃の学生オーベルダンを知りました。 彼はこの町の中流家庭に育ち、画家であった父が早く亡くなったために、観光会社のアルバイトをしながら 建築抜師になろうと、一生懸命に勉強している内気で真面目な若者です。 それまでは、内面的な変に飢えて、かたくなな、自分だけの世界にとじこもっていた グエンダリーナは、上流家庭の娘の常として、はじめは何でもオーベルダンに命令し、 自分の好き勝手に行動しました。しかし、彼は、王女に仕える騎士のように、いつもグエンダリーナを やさしくいたわるのです。 こうして交際をつづけている中に、2人の間に、いつしか初恋がめばえました。 いよいよ夏も終り、仲間たちは一人、二人と、都会に、学校に、と帰ってゆき、 いつしか海辺にくるのは、グエンダリーナとオーベルダンの二人だけになってしまいました。 ある日、2人は、海辺にそった小高い山に猟に行きました。いっこうに狩などに興味をもたない グエンダリーナは、オーベルダンの邪魔ばかりして、なかなか獲物はみつかりません。 ふと、足もとの草むらに、美しく実った野いちごをみつけた彼女は、思わず足をふみはずして、 小川にすべり落ちてしまいました。 ・・・(100分) |