大遠征軍

<Gerusalemme Liberata>  (57年伊)

<スタッフ>
製作
 監督
原作詩
 脚色
撮影
音楽

<キャスト>
クロリンダ
リナルド
タンクレーディ
アルミーダ

オッタヴィオ・ポッジ
カルロ・L・ブラガリア
トルクアート・タッソ
アレッサンドロ・コンチネンツァ
ロドルフォ・ロンバルディ
ロベルト・ニコロージ


シルヴァ・コシナ
リック・バッタリア
フランシスコ・ラバル
ジャンナ・マリア・カナーレ
 「ユリシーズ(1954)」「侵略者」「テオドラ」「カルタゴの女奴隷」等を放って、 スペクタクル史劇に伝統を誇るイタリア映画界が、新たな興趣を盛って製作した 1957年度グラテア映画の作品である。
 物語は、16世紀のイタリア最大の詩人トルクアート・タッソ(1544-95年)の大叙事詩“解放されたエルサレム” (1575年作)をもとに、 現代イタリア映画の著名脚本家アレッサンドロ・コンティネンツァが脚色したもので、 1099年、聖地エルサレムをサラセン軍の手から包囲奪還した第1回十字軍の壮烈凄惨な戦闘を中心に、 陰謀と葛藤、純愛と邪恋、恐怖と殺戮の渦巻く流血の秘史を、スリルとサスペンスをこめて描いている。
 特にサラセン軍の立ち籠るエルサレム城をめぐっての大攻防戦は、フェラニアカラー、スーパーシネスコープ の大画面いっぱいに迫力あるシーンを盛り上げている。
監督は戦前から史劇を手がけて一家をなす「風雲のバビロン」のカルロ・ロドヴィゴ・ブラガリアで、 彼は1894年生れで、無声時代に映画界に入り、「チネス」にあって活躍したイタリア最古参監督の一人として知られている。
 撮影は「テオドラ」のロドルフォ・ロンパルディである。
 主演者は、ピエトロ・ジェルミ監督の傑作「鉄道員」(仮題)でデビュー以来、 「芽ばえ」でジャクリーヌ・ササールの母親を演じて成熟した女性美を見せ、 いまやイタリア肉体女優群のトップに立って活躍中のシルヴァ・コシナ、 「河の女」「水田地帯」でおなじみの男性美スターのリク・バッターリアと 「暗黒街は俺のものだ」のスペイン最高の人気男優フランシスコ・ラバル。 それに「テオドラ」「カルゴの女奴隷」で妖艶な魅力を示したジャンナ・マリア・カナーレが競演している。
 原題は「解放されたエルサレム」。
 <物語>  11世紀の末期、第1回十字軍は聖地解放のため難攻不落のエルサレム城を包囲していた。 だがサラセン軍の抵抗ほ物凄く、十字軍の損害は日に日につのるばかりだった。 待たれるのは、勇士タンクレーディが指揮する援軍の到着である。
 エルサレム攻撃に向うタンクレーディ隊には、回教徒の王女エルミニアが捕われていた。 彼女は、ひそかにタンクレーディを愛するようになっていた。
 また、この隊に助けられたアラビア隊商の中にほ、エルサレムを死守するサラセン軍の女騎士で、 美貌のペルシャ王女クロリンダが変装して、十字軍の勇士タンクレーディの命を阻つていた。 エルミニアは、愛する彼の身を思ってクロリンダの素姓を彼に告げた。しかし、或る夜、 クロリンダを自分のテントに招待して話をしているうちに、タンクレーディの心は次第に彼女に 傾いていった。彼は敵方のクロリンダを殺害するどころか、かえって彼女を逃がしてやった。
 エルサレムに着いたクロリンダ姫は、十字軍に捕えられているエルミニア姫を、 2人のキリスト教徒の捕虜と交換した。
 一方、十字軍と戦うダマスクスの王女アルミーダは、十字軍の勇者リナルドを 虜にして十字軍の戦力を弱めようと、単身十字軍の陣営に乗込んだ。 そして色仕掛けでリナルドに近づき、甘言を弄してリナルドとその部下を自分の城におびき寄せ 彼等を幽閉してしまった。
 前の捕虜交換によってエルサレムの城へ戻ったエルミニア姫は、タンクレーディへの思慕断ちがたく、 同じ城にいるクロリンダ姫の男装束に身をかくして、或る夜、城を抜け出した。 が、十字軍の見張りに追跡されるうちに、クロリンダの兜を落してしまった。 ・・・ (105分)

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