ヘラクレスの逆襲

<Ercole e Ia Regina di Lidia>   (59年伊)

<スタッフ>
監督
脚本

撮影
音楽

<キャスト>
ヘラクレス
ヨーレ
オンファーレ
アンテオ

ピエトロ・フランチーシ
ピエトロ・フランチーシ
エニイオ・デ・コンシーニ
マリオ・バーバ
エンツォ・マゼッテイ


ステイープ・リーブス
シルバ・コシナ
シルビア・ロペス
プリモ・カルネラ
 「ヘラクレス」は、本国イタリーではもちろんのこと、全世界を通じて空前のヒットとなりました。 これに気をよくしたガラテア・フィルムは、その総力を結集し、莫大な製作費を再びこれに注入して、 ヘラクレスの新らしい波乱に満ちた冒険を描き出しました。
 監督は「ヘラクレス」のビエトロ・フランチーシ。彼はもともと記録映画の監督として 一家をなしていましたが、最近は劇映画も盛んに手掛けており、特に現在のイタリーでスペクタクル史劇を とらしたら彼の右に出るものはないといわれています。撮影マリオ・パーパ、音楽エンツォ・マゼッティーという 前作と同じ強力なスタッフ。
 この映画は前作と同様、ギリシャ神話に名高いヘラクレスの冒険を描いています。 ギリシャ・ローマ神話は、時代時代の空想がもたらしたものの中で最も興味深い物語であると同時に、 不滅の光彩を放つ秀れた文学であると称せられ、映画製作にもいくたの好調の材料を提供しています。 先に公開された「ユリシーズ」「トロイのヘレン」なども「ヘラクレス」と同様に神話に基いており、 神と人との世界が揮然と溶け合った雄大な物語をスクリーンに顕現し、単なるスペクタクル史劇には かつて見られなかった強烈なしかも不思議な印象を与え、観客を深遠な想像の世界に引戻すことに成功したのです。
 「ヘラクレスの逆襲」は、最も完成された肉体の持主であり、 その身に背負った12の難業によって知られている怪力無双の英雄ヘラクレスが、ヨルコの乱を治め、 愛するヨーレと結ばれてからあとの名高い冒険――地の神の息子アンテオとの斗い、リディアの女王オンファーレの誘惑、 生まれ故郷テーベの王位をめぐる凄烈な争い――などをギリシャ神話から取材し、フランチーシとエニイオ・デ・コンシーニが 共同で脚本を書いています。
 主演は、アメリカ生れのスティーブ・リーブス。1950年度のミスター・ユニバースのタイトルと 逞しい性的魅力を持ち、「ヘラクレス」のすばらしい好演と共に世界中に多くのファンを作りました。 共演は前作でもリーブスとコンビを組んだシルバ・コシナ。彼女は「鉄道員」「芽ばえ」 などの成功で今や人気絶頂の新進女優です。
 リーブス=コシナの魅力コンビに加えて新しく登場したのは、シルビア・ロペスとプリモ・カルネラです。ヘラクレスを誘惑するリディアの女王に扮したロペスは、 燃ゆる髪と駿馬の瞳を持つといわれるイタリーきっての官能美スターで、近作に「エロデ王」があります。 動くアルプ
ス″の愛称で親しまれているプロ・レスの王者プリモ・カルネラは、ヘラクレスと斗う 地の神の息子アンテオ役としてフランチーシ監督に口説き落され、 104キロ、198センチという巨大な体格を生かしてこの映画にすばらしい迫力を与えています。

 <梗概>  陰謀渦まくヨルコの国を、その危機から救い、ジャソーネを正統な王位に即けたへラクレスは、 愛する妻のヨーレ、ユリシスをつれて生れ故郷のテーベへと旅立った。 途中、大地に足がふれると増々その力が強くなるという、地の神の息子、アンテオに行手を阻まれた。 ヘラクレスは、永い激斗の末、巨岩の様なアンテオを両手でさしあげ、 そのまま水の中に抛り投げてこの巨人を打ち貴かし、3人は無事にテーべの町に着くことが出来た。
 テーベの王位には、退位したエディポ王の言葉に従って、兄のエテオクレと弟のポリニーチェが 1年ごとにつく事になっていた。ところが、エテオクレが期限が切れた後も弟に王位を譲らなかったために、 ポリニーチェは大軍を擁して宮殿に向おうとしていた。エテオクレはヘラクレスからこのことを聞くとすぐ、 弟に王位を譲る準備をすませ、弟への伝言をヘラクレスに託した。
 ヘラクレスはヨ^レを宮殿に残し、ユリシスと共に、ポリニーチェの許へ急いだ。途中、 森の中に湧き出している泉を見つけ、それを一口飲んだヘラクレスは、たちまちの間に泉の妖しい 力に魅せられ、すべての記憶を失って、そこに現われた一団の兵士により、遠く海を渡ったリディアの国へと 連れ去られる。
 リディアの国には、オンファーレと呼ばれる世にも美しい女王が住み、彼女は今迄にも何人となく 屈強の若者をこのようにして連れて来ては、愛溺の果てにこれを殺して、ミーラにしていたのである。 それとは知らぬヘラクレスは、差し出される魔酒に酔いしれて、燃ゆるような髪を露わな肩になびかせながら ヘラクレスに熱い口づけを与えるオンファーレのしぴれるような官能の虜となってしまっていた。
 智勇兼備のユリシスは、共に捕われの身となったその時から、自ら唖と聾を装い、ヘラクレスの 救出に心を砕いた。ユリシスはヨルコの国に向けて一羽の鳩を放す一方、女王の目をぬすんで、 金色の壷に入れてある魔酒を巧みに真水にかえてしまった。 ・・・   (103分)

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