カサンドラ・クロス

<The Cassandra Crossing>   (76年伊英)

<スタッフ>
製作

監督
原案

脚本


撮影
音楽
編集


<キャスト>
ジョナサン・チェンバレン博士
マッケンジー
ジェニファー・チェンバレン
ニコール・ドレスラー
ドクター・エレナ・ストラドナー
チャドウィック夫人

カルロ・ポンティ
ルー・グレイド
ジョルジ・パン・コスマトス
ロバート・カッツ
ジョルジ・パン・コスマトス
ジョルジ・パン・コスマトス
ロバート・カッツ
トム・マンキウィッツ
エンニオ・グァルニエリ
ジェリー・ゴールドスミス
ロベルト・シルヴィ
フランソワーズ・ボノ


リチャード・ハリス
バート・ランカスター
ソフィア・ローレン
エヴァ・ガードナー
イングリッド・チューリン
アリダ・ヴァリ
 「タワーリング・インフェルノ!」と「ポセイドン・アドベンチャー」を超特急列車に乗せて突っ走らせた映画、 それがこの「カサンドラ・クロス」だ――というのがこの「カサンドラ・クロス」の試写を観た 海外のジャーナリストのもっぱらの評判。
 大物プロデューサー、カルロ・ポンティの総指揮の下に、ヨーロッパ最大のTV製作会社T・T・C″を 中軸とする各社が、1000万ドルの製作費を投入し完成させたサスペンス超大作である。
 カサンドラ・クロス≠ニは、ジュネーブからストックホルムへと続くヨーロッパ縦断鉄道の途中、 ニュールンベルグからポーランドのヤノフに向う支線に掛かっている大鉄橋の名前である。 この深い谷間にかかるカサンドラ大鉄橋は、すでに1948年以来使用されておらず、永年風雨に晒されて、 今にも崩れ落ちそうな程に老朽していた。
 ジュネーブにあるT・H・0(国際保健機構)のアメリカ・セクションの襲撃に失敗したスウェーデン人ゲリラが、 そこで極秘に研究開発されていた伝染性の高い細菌を浴び、ストックホルムに向けて発車しようとしていた 大陸縦断列車に乗り込んでしまう。スキャンダルの発覚を恐れたアメリカ陸軍情報部は、ポイントを切り換えて、 列車をカサンドラ大鉄橋に送りこみ、事件を処理しょうとした。しかし老朽した大鉄橋に列車がさしかかれば、 鉄橋は崩壊し、列車は乗客もろとも深い谷底に落ちて、誰一人として助かる見込みがなかった。 列車は、何も知らぬ1000人の乗客を乗せて、死の大鉄橋″に刻一刻と迫っていく……。
 この卓抜したアイデア、サスペンス溢れるストーリー展開、そしてスケールの大きさは、 単にアイデアだけだった従来のどのパニック映画″をも凌いでいる。
 監督のジョルジ・パン・コスマトスは、若冠32才というギリシャの新鋭。サスペンスとアクションで、 文句なしに楽しめる娯楽映画を完成させた後は、今やヨーロッパのスピルバーグとまでいわれ、 今後が大いに嘱望される監督である。
 1000人の乗客の命を掌中に握り、管制室で指揮をとるアメリカ情報部マッケンジー大佐に、バト・ランカスター。 著名な神経科の専門医で、乗客救出のために大活躍するチェンバレンに、リチャード・ハリス。 チェンバレンの先妻で、彼を追って列車に乗りこんだ女流作家ジェニファーに、ソフィア・ ローレン。 麻薬密輸犯サンチニにマーチン・シーン。神父の姿に変装し、サンチニを追っている国際警察のハーレイに、 0・J・シンプソン。その他エバ・ガードナー、リー・ストラスバーグ等、 国際的スター11人が顔を端えるという超豪華キャスティングも、この正月映画に華をそえる話題の一つだ。
 脚本はコスマトスら3人の共作オリジナル。音楽は「パピヨン」「チャイナタウン」のジェリー・ゴールドスミス。、
 <梗概>  ジュネーブにあるT・H・0(インターナショナル・ヘルス・オーガニゼーション=国際保健機構)の建物に、 夜明け前の静寂をわって、鋭いサイレンの音とともに1台の救急車が走りこんだ。 運転手と添乗員が、アメリカの秘密生物学研究セクションの方へ、負傷者を担架で運んでいった。
 彼等3人は、実はスウェーデンの過激派ゲリラであり、研究室を爆破しょうとしていたのだった。 彼等は、行手を拒まれたガードマンと撃ちあいになり、1人は射殺され、残る2人は、 様々な細菌類が研究開発されている危険な&秤ョに逃げこんだ。ゲリラの1人が腿を射たれて倒れた拍子に、 薬のビンを倒して割ってしまい、中の液体が飛び散った。無傷の方のゲリラは、窓を破って逃走したが、 この光景を目撃したガードマンは恐ろしそうに部屋の扉を閉めてしまった。
 腿を射たれた男はすぐに病院に収容されたが、顔は腫れ上り発熱して呼吸困難に陥入っていた。 主任のスイス人女医エレナは、割れたビンに伝染性の細菌が入っていたのではないかと疑った。
 緊急事態の発生で、アメリカ陸軍情報部のマッケンジー大佐が乗り出してきた。彼はエレナに、 その細菌が呼吸器系の伝染性病菌であることを認め、直ちに伝染病封じこめの為の厳重な情報管制を敷き、 エレナにも協力を要請した。彼は、細菌の撲滅法を研究するのは国際法違反にならないなどと弁解しながらも、 菌が広く感染していく以上に、それによっておこる国際的なスキャンダルを恐れていた。
 逃亡したゲリラの行先をつきとめるのが先決問題だった。マッケンジー大佐は、捕えたゲリラの所持品から、 ストックホルム=ジュネーブの往復切符を見つけ、逃亡したゲリラが大陸縦断列車に乗りこんでいることをつきとめた。 ゲリラは列車の中ですでに発熱寸前の悪寒にふるえていた。
 乗客リストに著名な医者チェンバレン博士の名があった。マッケンジー大佐は無線電話でチェンバレンを呼び出し、 事件の概略を説明し、車内に潜んでいるゲリラを捜させた。と同時に、1000人の乗客を検疫収容させるために、 ポイントを切り換え列車をポーランドのヤノフへ向かわせた。そこには30年近くも使われていない、 カサンドラ・クロス″と呼ばれる大鉄橋がかかっていたのだが……。
 マッケンジー大佐は、ニュールンベルグで一旦列車を停め、警備隊と医療班を乗りこませ、 窓には金網を溶接し、出入口と通気孔を密閉して車内に酸素を送りこむよう工作させた。
 列車は再び発車したが、事態を知らされた乗客たちは騒然となった。その時までに、 息苦しく悪寒にふるえるとうったえる感染者が相次いで出てきていた。
・・・  (129分)

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