カルタゴ

<Cartagine in Fiamme>   (59年伊)

<スタッフ>
監督
原作
脚色


撮影
美術
音楽

<キャスト>
イラム
フェーゴル
フルヴィア
シドーネ
アスタリト
エルモン

カルミネ・ガローネ
エミリオ・サルガリの長編小説より
カルミネ・ガローネ
エンニオ・デ・コンチーニ
ドウツチョ・テツサリ
ピエロ・ポルタルービ
マリオ・ナシンべ−ネ
ニツコロ・ラツザリ


ホセ・スアレス
ダニエル・ジェラン
アン・へイウッド
ピエール・ブラスール
パオロ・ストッパ
アルド・シルヴアーニ
 滅びゆく祖国のために敢然として剣をとって立った勇敢なカルタゴの若者と、 その愛人さらにローマの若い女囚とこの3人をめぐって展開される愛の物語が 悲劇の都市カルタゴを背景に、妖しくも哀しい絵巻のように操り広げられる。 この原作を、古代社会に関する綿密な史料調査をもとに「侵略者」「さすらい」の エンニオ・デ・コンチーニとトウチヨ・テッサリが脚色した。        −
 イタリア映画を代表する超大作として、その製作準備には莫大な労力と時間とが必要とされた。 じつに1年以上の準備期間を要したのである。この指導にあたったのが、日伊合作「蝶々夫人」の ベテラン・プロデューサー、グイド・ルッツアットである。
 装置は「ミラノの奇蹟」のグイド・フィオリーニが担当した。彼はイタリア映画界の 実力を誇示するにふさわしい大規模な構想をたてた。ローマにある欧州最大の撮影所チネチッタに、 古都カルタゴに模した大仕掛なセットが設けられ、また高さ6メートルの残忍なカルタゴの神 モロツクの像、長さ40メートルにおよぶカルタゴの軍船、26メートルの貨物船、 その他古代カルタゴの船舶がいろいろ建造され、さながら古代の絢爛たる船隊を一堂に集めたかの感があった。 壮絶な騎馬戦のシーンはローマ近くのトルファ山中で、また雄大な海戦シーソは 同じくローマにほど近いアンツィオの海で、それぞれ大がかりなロケーショソが行われた。 壊滅寸前のカルタゴ市街での戦斗や、海陸両軍の合戦シーンには実に4千人にものぼるエキストラと、 さらに百人以上にもおよふ俳優が動員された。
 これら戦斗場面の指揮には、国際的に著名な殺陣師エソツオ・ムズメチ・グレーコがあたった。
 監督は、イタリアのデミルといわれる「蝶々夫人」のカルミネ・ガローネ。 激しい情熱をこの一作にかたむけて関係者を感激させた。さらに、彼は、この映画の製作に当り、 最初から、ヨーロッパではどこの国も手をつけていなかった70ミリ映画による製作の計画を立て、 名カメラマソ、ピエロ・ポルタルーピ(「ナポリの饗宴」「武器よさらば」)の協力をえて、 見事な成果をあげた。衣裳は、「空中ぶらんこ」「武器よさらば」の世界的に著名な ヴェニーロ・コラザンティ教授で、作曲は伊映画音楽の第一人者で「裸足の伯爵夫人」「武器よさらば」 「激しい季節」のマリオ・ナシンべーネである。
 主演にはスペインから「挑戦」の好漢ホセ・スアレス、フランスから「リラの門」「掟」の名優 ピエール・ブラスール、「過去をもつ愛情」「巴里野郎」の二枚目ダニエル・ジェラン、 イギリスから「大洪水」「上と下」の妖艶アン・ヘイウッド。地元のイタリアからは「ナポリの饗宴」 「掟」のパオロ・ストツパ、それに「カリビアの夜」のアルド・シルヴァーニの2二名優が参加し、 それにイタリア映画界のホープといわれる新進女優イラリア・オッキーニがデビューしている。

 <梗概>  地中海に長年君臨してきた都市国家カルタゴの元老院では、新興国家ローマと戦うべきか、 ローマの苛烈な要求に屈し、和平を乞うべきか、連日激論が続けられていた。 地中海の覇者カルタゴも昔日の面影はすでになかった。
 カルタゴのにえきらぬ態度にローマはカルタゴ攻撃の決意をかため、こうして、 西歴紀元前146年、第一次ポエニ戦役から約1世紀にわたり死斗が続けられてきた ローマ対カルタゴの戦いも、いよいよ終りを告げようとしていた。 勇将スピキオに率いられたローマ軍はカルタゴへ進攻し、今や戦気は熟した。 暗雲がカルタゴ城を重々しく覆っていた。
 カルタゴの勇者イラムは、ローマ側の悪らつな要求に屈して屈辱的な和平条約を 受けいれようとしている商人一派の連中に追われ、イタリア北部の町ヴィチェンツァに亡命していた。 彼は反逆の罪で死刑の判決を受けていた。
 しかしイラムは、祖国カルタゴに瞬時も忘れることのできぬひとを残していた。 元老院議長エルモンの娘オフィールがそれである。彼はオフィールに一眼会おうと、 人知れずカルタゴに戻る。変装したイラムは町々を歩きまわるうちに、血に飢えた 残忍なカルタゴの神バール・モロックの神殿の前までやってきた。 丁度生贄を捧げる時だった。イラムはその生贄を見てがくぜんとした。その女こそ、 彼の命の恩人フルヴィアではないか。彼女はかつて、戦場で瀕死の重傷を負ったイラムを救ってくれた ローマの女だ。なんとかしなければならぬ彼は、祭儀の真只中に躍り込み、彼女を救い出すことに成功した。 そして、港に碇泊中の船に身を隠した。   ・・・
     (96分)

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