ボッカチオ '70

<Boccaccio'70>   (62年伊)

 原題名のボッカチオとは、有名な「デカメロン」を書いたイタリアの文学者、 ジョバンニ・ボッカチオ(1313〜75)のことだが、もし彼が今の世に生きていたら、 「デカメロン」の中に加えるであろうような風流話を作ろうという趣旨のもとに、 イタリア映画の世界的巨匠3人が、3つの物語りにそれぞれ腕を振った注目の作品である。
 したがって、映画は、独立した3つの話から成り立っているが、 従来のいわゆるオムニバス映画と違い、3つとも約一時間の長さを持っているので、 3大監督も充分にその腕前のほどを発揮し得たわけである。
 ローマ法王庁は、この映画を、Eという評価を与えて破門したというが、 ボッカチオの国のミラノで、世界最初の公開が行なわれ、非難と賞讃の声が騒然たる中で、 大ヒットを続けている。
 ライフ誌は、いちはやくこの映画に関心を示して有名な中年監督による、 イタリア映画の新ヌーベル・バーグといわれている。
 製 作‥‥‥‥‥カルロ・ポンティ
 提 供‥‥‥‥‥ジョセフ・E・レビン

誘   惑

    <スタッフ>
監督………フェデリコ・フェリーニ
脚本………フェデリコ・フェリーニ
       エンニオ・フライアーノ
       ツリオ・ピネリ
音楽………ニーノ・ロータ
撮影………オテロ・マルテリ
装置………ピエロ・ズヅフィ
編集………レオ・カーッツオ

    <キャスト>
ア ニ タ‥‥‥‥‥アニタ・エクバーグ
アントニオ‥‥‥‥‥べッピノ・デ・フィリッポ

 「甘い生活」「カビリアの夜」などの名匠フェデリコ・フェリーニ監督が、 「甘い生活」一家を率いての作品である。脚本は「甘い生活」と同様、 フェリーニ監督が、エンニオ・フライアーノやツリオ・ピネリと共同で書き、 「甘い生活」「太陽がいっぱい」のニーノ・ロータが音楽を、第三話と 同じく「甘い生活」のオテロ・マルテリが撮影を担当した。
 主演は、気難し屋の神学博士を魅了する看板の女に扮するのが 「甘い生活」のアニタ・エクバーグで性格コメディアンとして知られる エドアルド・デフィリッポの実弟、ペッピノ・デ・フィリッポが共演している。

前   金

    <スタッフ>
監督………ルキノ・ビスコンティ
脚本………スーゾ・チェッキ・ダミーコ
       ルキノ・ビスコンティ
音楽………ニーノ・ロータ
撮影………ジュセッペ・ロツンノ
装置………マリオ・ガルフリオ
編集………マリオ・セランドレイ

    <キャスト>
プーぺ‥‥‥‥‥ロミー・シュナイダー
伯 爵‥‥‥‥‥トマス・ミリアン
弁護士‥‥‥‥‥ロモロ・バリ

 イタリア映画及び劇壇の大御所的在存で、「若者のすべて」 「白夜」などのルキノ・ビスコンティが監督に当り、 「若者のすべて」と同様に、彼自身がスーゾ・チェッキ・ダミーコと 脚本を書き、「若者のすべて」「甘い生活」のニーノ・ロータが作曲、 「若者のすべて」のジュセッペ・ロツンノが撮影した。
 まさに「若者のすペて」グループの作品である。
 主演は、ビスコンティ監督指導の下に、最近舞台に活躍する ロミー・シュナイダーで、トマス・ミリアンや「鞄を持った女」の ロモロ・バリが助演している。
 製作担当は、ソフィア・ローレンの夫君で「ふたりの女」の カルロ・ポンティである。

く じ 引 き

    <スタッフ>
監督………ビットリオ・デ・シーカ
脚本………チェザレ・サバティーニ
音楽………アルマンド・トロバイオリ
撮影………オテロ・マルテリ
編集………アドリアナ・ノべリ

    <キャスト>
ゾ ー エ‥‥‥‥‥ソフィア・ローレン
ガエターノ‥‥‥‥‥ルイジ・ギュリアーニ
クスペット‥‥‥‥‥アルフィオ・ヒ一夕

 「自転車泥棒」「ふたりの女」などの巨匠ピットリオ・デ・シーカが 監督した作品で、撮影は「甘い生活」「飾り窓の女」などのオテロ・マルテリが担当したが、 脚本のチェザレ・サパティーニ、音楽(編曲)のアルマンド・トロバイオリなど、 いずれも「ふたりの女」のスタッフで、「ふたりの女」グループの作品といえよう。
 出演者も、景品に白分の体を張る射的屋の娘に「ふたりの女」「エル・シド」などの ソフィア・ローレンが扮している。
 彼女が「ふたりの女」で1961年度のアカデミー出演女優賞を獲得したことは、 ご存知の通りである。

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