青い大きな海

<La Grande Strada azzurra> (57年伊仏独西ユーゴスラビア

<スタッフ>
製作
監督
原作
脚色


撮影
美術
編集

<キャスト>
スカルチョ
ロゼッタ(妻)
ディアナ(娘)
トニーノ(長男)
ポーレ(次男)

マレノ・マレノッティ
ジロ・ポンテコルボ
フランコ・ソリナス
フランコ・ソリナス
エンニオ・デ・コンチーニ
ジロ・ポンテコルポ
マリオ・モントヴォリ
ミルコ・リプシック
エラルド・ダ・ローマ


イヴ・モンタン
アリダ・ヴァリ
フェデリカ・ランキ
ジャン・カルロ・サブローネ
ロナルディーノ
 久しぶりにイヴ・モンタンが活躍する伊・仏・西・独・ユーゴー合作映画である。 漁師として海に生きる男の野望と、胸温まる愛情に包まれて生活する一家を、 ネオ・リアリズムの手法で、ダイナミックに描いた魅力あふれる名篇である。
 主人公のイヴ・モンタンはこの映画でも歌わないが、「恐怖の報酬」「人間と狼」よりも、 さらに円熟した深味のある演技を見せる。彼の妻になるアリダ・ヴァリは、 フランスのアカデミーとも云われる「クリスタル星」賞をとっており、 「夏の嵐」「海の壁」「きすらい」そしそ、この一作と、一時不調を伝えられていた噂を吹きとばす活躍である。 また、豊かな肉体と、新鮮な感覚をもつ19オの新人フェデリカ・ランキが、 はじめて日本のスクリーンに登場する。彼女は「芽ばえ」の主役に予定されていたほど、 伊映画界注目の新人である。
 この映画はアドリア海に面するユーゴーの島で撮影されたが、明るく輝やく美しい風景が、 この作品を一層魅力あるものとしている。
 日本にはじめて紹介される監督のジロ・ポンテコルポは新聞開記者出身の少壮監督であるが、 イヴ・アレグレの助監督として映画界入りして以来、記録映画を数多く作っている。 原作はフランコ・ソリナスの「スカルチョ」、製作はマレノ・マレノッティである。

 <梗概>  どこまでも美しく澄んだ南国の空と海、アドリア海に浮ぶ緑の島々、 その静寂な空気を一瞬破って鋭い音が響き渡った。 スカルチョが投げたダイナマイトの爆発音そある。彼は法の眼をくぐって、 ダイナマイト密漁をやっていた。このあたりの漁師は収獲がそう多くない上に、 雨などに降られると生活が困窮する。スカルチ
ョの母親も、 その苦しいなかで死んでいった。 大洋に乗り出し海の富の思恵を受けけることを夢みていたスカルチョは、 その時以来、どんなことをしても貧乏だけはしたくないと思った。 そして、彼の許婚、ロゼッタにも誓ったのであった。
 それからというもの、彼は地道に網漁をやっている親友サルバドーリの 忠告もきかず、密漁を続けているのであった。今では、ささやかながら 家も自分のものとなったし、妻ロゼッタとの聞には美しく成長した娘、ディアナ。 既に親の手伝いをする2人の息子、トニーノ、ポーレと5人暮しであった。
 コツコツと砲弾の信管の底を叩くスカルチョ、額には緊張の汗が滲み出ている。 ちよっと手許が狂えば爆発し、生命を失う。遠く離れて真剣に見守る息子たち。 上手に底が抜けて火薬を取り出すと、これを空缶に入れ、 ダイナマイトを作るのである。こうした危験と、警備員に追われるスカルチョの身を心配し、 もうやめてくれと頼むロゼッタではあったが、彼の野心はまだまだ大きかった。 もっと金を儲けて、彼の幼い日の夢を実現したかったのである。
 宿の幼な友達であるガスパーレは、密漁を取締まる監視長であったが、 スカルチョの船のほうが速く、現場を押えることが出来ず、また友達としても、 苦しい立場にあった。たまたま、スカルチョが海岸に隠してある火薬を取りに来ることを知って 待ち伏せたガスパーレは、威嚇射撃で彼をとめようとしたが、 スカルチョは火薬を担いで逃げ出し岩につまづき、火薬を落し即死してしまった。 ところが、スカルチョと思った犯人は、実はディアナの恋人であった。 ・・・
     (103分)

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