禁じられた恋の島

< L'Isola di Arturo>   (62年伊)

   Arturo's Island
<スタッフ>
製作
監督
原作
脚色



撮影
美術
音楽

<キャスト>
アルトゥロ
ヌンチアータ
ウィレム

カルロ・ボンティ
ダミアノ・ダミアニ
エルサ・モランティ
ダミアノ・ダミアニ
ウーゴ・リペラトーレ
エンリコ・リプルケ
チェザーレ・ザバッティーニ
ロベルト・ジュラルディ
フランコ・マンケニ
カルロ・ルスティケリ


ヴァニ・ドゥ・メイグレ
ケイ・マースマン
レジナルド・カーナン
 1962年のサン・セバスチャン映画祭で最優秀映画の栄挙をあたえられた名作。 原作はイタリアの作家エルサ・モランティの「アルトゥロの島」。 この小説もイタリアの文学賞のなかでもその権威のあるトトレガ賞をあたえられている。
 製作者は、「二人の女」のカルロ・ポンティ。監督は新人ダミアノ・ダミアニ。 撮影監督は名手ロベルト・ジラルディ。シナリオはダミアノ・ダミアニ、ウーゴ・リベラトーレ、 エンリコ・リブルケの3人が「豊かなる成熟」「自転車泥棒」などのイタリア最高のシナリオ・ライター、 チェザーレ・ザパティーニの協力を得て執筆している。
 主役は3人とも新人といっていい。性に目覚めていく16才の男の子アルトゥロになる ヴァニ・ドゥ・メイグレはフランス系のイタリア人でこの映画が初出演。
 アルトゥロの父ウィレムになるレジナルド・カーナンはジョージア州サバナ生れのアメリカ人。 軍医として第二次大戦に応召、戦後パリ病院につとめていたのが、映画俳優に転向、 シモーヌ・シニョレと共演して認められたという経歴の持主。この映画は第三回目の作品である。
 ウィレムの若い妻ヌンチアータになるケイ・マースマンもアメリカ生れ。 ローマの学校に学んでいたとき、新聞に写真がのったのをプロデューサーのカルロ・ボンティに認められて、 この映画に出演することになった。ブロードウェイでビビアン・リーの芝居に端役をつとめたことがあるが、 映画はメキシコで一本撮り、こんどが第二回目である。
 この3人の新人がすばらしい演技を見せているうえに、異常な環境におかれた3人の男女の心理に するどいメスを入れたストーリー、テーマをしっかりつかんでいるダミアニ監督の演出、 ナポリ湾の孤島プロチーダを中心にしたすばらしいカメラ・ワーク、そして死ぬほど愛して″の 音楽監督カルロ・ルステイケリによる流麗のテーマ・メロディーなどと相まって感銘の深い名作が生まれている。
 <梗概>  ナポリ湾にうかぶ小きな島プロチーダでおこった物語。
 16才のアルーゥロは父親ウィレムと2人だけでこの島に住んでいて、島を離れたことは一度もなかった。 母はアルトゥロを生んだときに死んで、すでにいなかった。 ウィレムはイタリア人ではなく、北方から流れて来て、この島に住みついた男だった。
 奇行で知られていた金持から大きな邸宅をゆずり受けて住んでいたが、手入れがゆきとどかないため、 いまでは荒れ果てて、見るかげもなかった。
 少くとも、ウィレムがこの家にいることはめったになかった。どこへ出かけて行くのかはわからなかったが、 島を出て行ったときは数か月も帰って来ないことがあった。 ウィレムを世界で一ばん立派な人間と信じているアルトゥロにとっては、父が家を留守にすることが何よりも悲しかった。
 アルトゥロはしかし父が島を出て行くのは、ひろい世界に出て、すばらしい冒険を試みているものと思っていた。 そして、父が留守のときには毎日海に出て父が帰ってくることを期待しながら待っていた。
 ある日、いつものように父が不意に島に帰って来た。1人ではなく美しいヌンチアータという娘をつれていた。
 アルトゥロと年も大してちがわないぐらいの若い娘だった。ウィレムはナポリで結婚式を済ませて 新婚生活を島で送るためにもどってきたのだ。
 最初、アルトゥロはヌンチアータを憎んだ。父と自分のあいだに入りこんできた侵入者と考えたからだ。
 しかし、月日がたつうちにヌンチアータの美しい姿とやさしい気持がおとなになりかかった 少年の心をとらえるようになった。
 そのうちにウィレムはまた島を出て行った。アルトゥロとヌンチアータだけの生活がはじまった。 数か月がすぎさりヌンチアータは男の子を生んだ。
 そのころ、アルトゥロのヌンチアータを慕う気持ははげしい愛情に変っていた。 ・・・  (92分)

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