にがい勝利

<Amere Victoire> (57年独仏)

<スタッフ>
製作
監督
脚色


原作
撮影
音楽

<キャスト>
ブランド少佐
ジェイムズ・リース大尉
モクラーヌ
ジェーン
ルッフェ

ポール・グレーツ
ニコラス・レイ
ルネ・アルディ
ニコラス・レイ
ギャバン・ランベール
ルネ・アルディ
ミシェル・ケルベ
モーリス・ルルー


クルト・ユルゲンス
リチャード・バートン
レイモン・ペルグラン
ルス・ローマン
フレッド・マター
 この作品は米英独仏伊の一流共作スタッフと演技者を集めて、アフリカヘロケをして作られた大作で、 57年度ベニス映画祭に出品されて絶賛をはくしたものである。  原作はフランスの作家ルネ・アルディの同名の小説で、56年に出版きれるや、 たちまちにしてベストセラーとなったもの。アルディは第二次大戦中は、 フランスのレジスタンスの有力なメンバーの一人で、この原作小説によって 「ドゥ・マゴ賞」を受けている。
 脚色はアルディと監督ニコラス・レイの2人にギャバン・ランベールが協力し、 台詞は「しのび逢い」のレイモ・グノーが担当した。
 監督のニコラス・レイは、たまたまルネ・アルディの原作小説を読んで興味をおばえ、 映画化が決定するや自から演出を買って出た。彼はユルゲンス、バートン、ベルグラン、ローマンの4ヵ国の スターを駆使し、リビアの砂漠へのオール・ロケでこの作品を作り上げた。 砂丘の続く広大な砂漠をバックに、憎悪に歪められた小っぽけな人間どもが醜い争いをくりひろげるのは、 きわめて対照的で、撮影のミシェル・ケルべは、特に天然色を採用せず、黒白シネマスコープ画面に 詩情と神秘性の美しい奥行きを出している。きらにこの物語の進展と美しい画面が、 「嵐の女」「赤い風船」の音楽を作曲したモーリス・ルルーの独特の音楽によっていっそうの効果を見せている。

 <物語>  1942年、アフリカのリビアでは、イギリスとドイツの派遣軍が、広大な砂漠をはさんで対峙していた。 イギリス軍司令部では、ベンガジーにあるドイツ軍司令部がもっている、作戦上の重要機密書類を手に入れようと作戦をねっていたが、 結局、小人数による特別工作隊を編成して、敵司令部を急襲させることにした。
 この工作隊の隊長に選ばれたのは、軍隊生活は長いけれど実戦の経験が全くないブランド少佐であった。 彼
は栄達のみを願う小心よくよくの職業軍人で、こうした危険な任務につくことには自信がなかったが、 たまたま、本国から彼のあとを追って来た妻ジェーンの姿を見ると、彼女に対する虚栄心がわいて、 この重大任務を引受ける決意をかためた。
 副隊長に選ばれたのは、戦前から考古学の研究のためにアラビア語にも地理にも詳しいジェイムズ ・リース大尉であった。彼はブランド少佐とはおよそ反対の性格の持主で、志願で従軍している予備役将校、 職業軍人に対してこの上ない反感と軽蔑の念を抱いていた。そのリースは、 かつてジェーンと熱烈な恋をした仲であったが、感ずるところがあって彼女の前から姿を消したのであった。
 ナイトグラブでジェーンをワースに紹介したブランドは、この2人の言動から鋭くも過去の関係を知り、 リースに対して半ば病的なまでの憎悪を抱くようになった。
 さてブランド隊長以下30名のエ作隊は、最終的な作戦と手順の打合わせを終り、 輸送機で運ばれてベンガジー近くの砂漠に降下した。彼らは直ちにアラビア人に変装し、 リース大尉の長年の友人であり腹心の部下であるアラビア人モクラーヌの案内で、いよいよ、 敵の本拠であるベンガジーの部落へ侵入レた。ドイツ軍司令部に接近した隊員は、 ブランドが歩哨を刺殺するのを合図に行動をはじめ、司令部の一室に保管されている金庫から、 目ざす書類を盗み出して引揚げることになっていた。
 ところが、いざとなると、ブランドには目の前の歩哨を殺す勇気もなくふるえていた。 これを見かねたリースが、ブランドに代って歩哨を刺殺して行動は開始された。 隊員たちは手榴弾と軽機関銃で敵を射殺しながら烈しい肉迫戦を展開した。 そして目的の書類を手に入れると、いち早く部落を出て砂漠の中で集結した。・・・
      (103分)

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