プリンセス・シシー

<Sissi>   (55年独)

<スタッフ>
製作
 監督・脚本
撮影
音楽
編集

<キャスト>
エリザベート王女(シシー)
フランツ・ヨーゼフ皇帝
ルードヒカ公妃

カルル・エールリッヒ
エルンスト・マリシュカ
ヘルベルト・ガイヤー
アントン・プロフェス
アルフレッド・スルプ


ロミー・シュナイダー
カルルハインツ・ベーム
マグダ・シュナイダー
 この映画は1850年代に実在したパパリアの王女エリザベート(シシー)が、 オーストリア皇帝のフランツ・ヨーゼフと結婚するまでを、史実に基づいて描いた 明るい宮廷ロマンス篇である。
 この「シシー」は三部作になっており、これはその第一部にあたる青春篇である。 監督のエルンスト・マリシュカは、戦前の「別れの曲」でシナリオを担当していた人で、 大戦中から監督に転向して、多くのコスチューム・プレイやオペレッタを手がけているベテランである。 衣裳担当はゲルダーゴとフランツ・スチファーツが共同であたり、この作品に相応しい 豪華で絢爛な雰囲気を盛り上げている。
 主演は「わたしの可愛い人」「制服の処女」でわが国でもお馴染みのドイツ映画界の最大ホープ、 ロミー・シュナイダーがシシーに扮している。彼女は1938年9月23日に、戦前「踊る奥様」などで活躍していた 父親のウォルフ・アルバッハ=レティと、この映画でルードヒカ公妃に扮している母親の マグダ・シュナイダーとの間に生れた。戦后オーストリアの古城オルトの修道院附属の寄宿制女学校に学び、 母親の出演していた「白いライラックの花ふたたび咲く頃」によってスタリーン・デビューした。 以後、映画界に入ってからは、ヨーロッパのティーンエイジャーのアイドルとなり、 この「シシー」三部作によって一躍スターダムにのし上った。
 相手役のフランツ・ヨーゼフ皇帝になるカルルハインツ・ベームは、 現在カルル・ペームという名で知られる古典音楽の指揮者の父親と、有名なオペラ歌手の母親との間に生れた。 彼は幼時からめぐまれた環境に育ち、絵画、音楽、文学など多趣味をもっている。 かつて「妖花アラウネ」で傍役を演じていたが、現在では、最も愛すべき新人スターとして、 各映画雑誌の人気投票のトップにおされている。
 助演しているマグタ・シュナイターは、ロミーの母親で、戦前評判の高かった音楽映画「今宵こそは」の ヒロインとして活躍した人である。その他ドイツ映画界のベテラン脇役陣が助演している。
 また、この「プリンセス・シシー」は戦後西独で公開されたものでは最高の興行成績を収めている。
 アメリカではウォルト・ディズニーの手によって配給されたため、ロミーはハリウッドの土を踏まずして、 世界的 なスターとなったのである。
 <物語>  1848年のフランスでは二月革命の嵐が吹き荒れ、オーストリアでもハプスブルグ家が危機に立っていた時、 ソフィー大公妃は夫のフランツ・カルル大公を説得して王位に着く権利を放棄させ、 息子のフランツ・ヨーゼフ王子を即位させようとした。と同時に、地位安定策として適当な皇后候補を物色し始めた。
 当時、オーストリアは大国であり、欧州王家の王女たちは沢山いたが、ソフィー大公妃は ドイツ生れのカトリックであることを口実にして、自身の妹ルードヒカ公妃の長女へレーネ王女(愛称ネネ)に白羽の矢を立てた。
 ルードヒカ公妃の夫マックス公爵は、政治的な面で重要な地位にのぼることが出来ないとあきらめて以来、 ポッセンホーフェンにあるスターンボルタ湖のほとりで、一家と共に質素に暮していた。 家族には長女へレーネ、次女エリザベート(愛称シシー)の他に6人の子供たちがおり、ルードヒカ公妃は 幸福な結婚生活を送っていたが、親戚の者達はマックス公爵を変人扱いしていた。
 マックス公爵は、宮廷内でこみ入った儀式や作法を無意味なものとして嫌い、 自分の森に出かけて農夫や木こりたちと一緒にいるときを幸福だと感じていた。したがって、 ソフィー大公妃が、マックス侯爵に内密でルードヒカ公妃とネネ、シシーを観光地イッシュルに招待したのは 当然のことであった。シシーは内気で上品な長女ネネと全く異り、父親と同じような性格であった。 シシーは馬に乗って森の中を散歩したり、高い垣根を跳び越えたりすることが、彼女にとってもっとも 楽しい一刻だった。
 ルードヒカ公妃は、シシーにイッシュルに行く本当の意味を隠す一方、 オーストリア皇帝の宴席には、若すぎるため列席出来なことを告げたが、シシーはそんなことには 一向無頓着だった。イッシュルに着いたルードヒカ公妃は、どうしたら宴席で着飾ったネネを フランツ・ヨーゼフ王子の目にとまらせるかが心配の種だった。こうした母親とネネが準備に騒いでいる間、 シシーは裏窓から脱け出し、田舎から持って来た釣竿を持って河に出かけ、魚を釣って楽しんでいた。 丁度その頃、フランツ・ヨーゼフがお付を連れて、この川べりに通りがかった。そして、 勢いよく振り上げた釣竿の先の針がフランツ・ヨーゼフの服にひっかかってしまった。 謝罪のために駆けつけた可憐で美しいシシーを一目見たフランツ・ヨーゼフは、すっかり彼女がお気 に召し、 ・・・  (102分)

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