遠い道

<London ruft Nordpol>  (57年独伊)

<スタッフ>
製作
監督
原作
 脚色



撮影
美術
音楽
編集

<キャスト>
ベルネス大佐
メリー
ゴリラ
ヘルマン
ジョン
ランダース


エバリスト・シニオリーニ
ドゥイリオ・コレッティ
H・J・チヌケス
ドゥイリオ・コレッティ
エンニオ・デ・コンチーニ
マッシモ・ミダ
ジュゼッペ・スコポニ
ガボール・ポガニー
フランコ・ロリ
ニーノ・ロータ
マリオ・セランドレイ


クルト・ユルゲンス
ドーン・アダムス
フォルコ・ルリ
ルネ・デルトゲン
ダリオ・ミハエリス
フィリップ・ヘルセント

 この作品は、第二次世界大戦中ドイツ軍の占領下にあつたオランダを舞台として、 火花の散るような頭脳戦を展開したイギリスとドイツの諜報機閑の暗躍ぶりを ドイツ側から描いたJ・H・チスケスの小説を、独英伊3ヵ国の技術陣をもって映画化し たものである。
 物語は、1942年から44年にいたる2年のあいだ、世界を誇つたイギリス軍の諜報機 関が、アムステルダムに位置していたドイツの諜報機関長ベルネス大佐のために完全に 欺され続けて、約7千のイギリス将兵がドイツ側にまんまと捕われたという のが骨子である。
 そして、このベルネス大佐と、イギリスの女諜報員メリー、オランダのレジスタン スエ作部隊長ゴリラの三人が中心となつて物語は展開して行く。
 原名の「ロンドンは北極を呼ぷ」というのは、ロンドンはもちろん イギリスの諜報機関の呼称。北極というのはドイツ側に捕われたイギリスの アムステルダムに潜在していた出先機関の呼出略号であるのと同時に、 この出先機関からの情報で、イギリスがオランダに特別工作員を送りこんだ作戦のこと を「北極作戦」と呼んでいたのでいたのである。
 この映画は英独間諜戦の実事に基いて作られたのであるが、冷酷なナチス軍隊の中にも、 あくまでも人間性 の尊さを守りぬいて、あえて死を恐れなかつた真の軍人もいたということを、この映画の主人公ベルネス大佐と、イギリスの女諜報員メリーとの ロマンスを織りこむことによつて描いている。
 そのため、これは従来のこの種の間諜映画の他に、もう一つのテーマを もつ異色作であるといえる。又、その
背景として、アムステルダム の市中やオランダ郊外の風車小屋などが、現地のロケで天然色画面に出るのもみものである。
 監督には現代イタリアの中堅監督で、ネオレアリズモの影響を強く受けている「シーラ山の狼」 「人間魚雷」「大いなる希望」のデュイリオ・コレッティが当っている。 主演は「悪の決算」「素直な悪女」「眼下の敵」「眼には眼を」「にがい勝利」などで 渋い個性をもった性格俳優として世界的に知られるクルト・ユルゲンス、 その相手役には「雨に唄えば」「月蒼くして」「聖衣」「寝台の秘密」に出演した イギリス生れの美貌ドーン・アダムズ、それにイタリア映画界の代表的な傍役スタア、 「われら巴里ツ子」「限にほ眼を」のフォルコ・ルリが共演している。

 <物語>
 戦争というものにスパイはつきものである。過ぐる第二次世界大戦中にも、 参戦各国で独特の組織のもとにスパイを暗躍させたものが、通常、スパイが敵方に捕えら れた場合ほ、文句なしに銃殺されるのが常識である。 この映画はこの常識をうち破ろうとした、ナチス軍隊の諜報部大佐にまつわる物語である。
 オランダの首都アムステルダムは、1942年ナチス軍隊の占領下に、 怖ろしい戦乱の嵐に吹かれていた。このアムステルダムの市中に組織的な諜報網をもつ ベルネス大佐は、市中に滞在してロンドンのイギリス軍諜報機関本部と、 ひそかに情報を交信していたランダースの部屋を急襲し、小型携帯無電機暗号書を手に入れること に成功した。・・・     (95分)

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