わたしの可愛い人

<Monpti>  (57年独)

<スタッフ>
製作
 監督
原作
 脚本
撮影
音楽
編集

<キャスト>
アン・クレール
モンプチ
ナディーヌ
ナディーヌのモンプチ
編集者

ゲオルク・リヒター
ヘルムート・コイトナー
ガボール・フォン・ヴァサリー
ヘルムート・コイトナー
ハインツ・ペールケ
ベルンハルト・アイヒホルン
アンネリーゼ・シェーネンベック


ロミー・シュナイダー
ホルスト・ブーフホルツ
メーラ・レーン
ボイ・コバート
ヨーゼフ・オッフェンバッハ
 モンプチ ― このすてきな愛称を、あなたが彼女に呼びかけるとき、彼氏に話しかける時に 愛用して下さい。フランス語のMon Petiをショートカットした、最新の独和辞典にもない ドイツの新しい流行語です。
 この素適な題名の映画は「最後の橋」であなたを感動させたドイツ映画最大の名監督 ヘルムート・コイトナーの最新作です。
 主演のロミー・シュナイダーとホルスト・プーフホルツは、いずれも日本のスクリーンには 初登場ですが、ロミーはドイツのあらゆる人気投票で1位になっているハイティーンのアイドル、 ホルストは、ドイツの "ジェームズ・ディーン" というタイトルを持つヨーロッパの トップスターです。
 ロミーが扮するアン・クレールは、ちゃきちゃきのパリ娘です。みじめな境遇の彼女は 夢を抱いていました。そして彼氏にお金持の娘だと嘘をついてLまうのです。 モンプチこと、ホルスト・プーフホルツ好演の貧乏画家はそれを真に受けてしまいます。 そこで悲い、結末までの1時間40分をお楽しみいただくのが、この「わたしの可愛い人」の 物語です。
 「わたしの可愛い人」はガボール・フォン・ヴァサリーというハンガリー名前の小説家の ベストセラーです。しかし、コイトナー監督は言っています。「この映画はフォン・ヴァサリーの 映画化ですが、あくまでも私が作ったパリの映画です。甘くほろにがい恋の想い出の物語です。 主人公とLてロミーとホルストが出演していますが、本当の主人公はパリそのものなのです。 もしあなたがパリに住んでいたら、と思って、ロミーとホルストを あなたにおきかえて御覧下さい。パリの美しい風景がたくさん出て来ます。 したがって、セーヌに結ばれた恋物語を通じて、パリそのものに触れていただきたいのです」
 なお「わたしの可愛い人」はアグファカラーのどスタビジョン・サイズ ・ワイドスクリーンで、戦前から幾多の傑作を贈った世界の名門ウーファ映画の作品です。
 <物語>  ビンクのワンピースがよく似合う可愛いらしいパリジェンヌ ― 波女はアン・クレール (アンクレール)という明るく陽気な娘です。
 ある昼下り、彼女はリュクサンプール公園のベンチで、1人で本に目を落していました。 そこへ1人の青年がふらっとやって来て彼女と背中合わせのベンチに腰をおろしました。 彼はハンガリーの画学生です。雑誌の挿絵を画いてその日を暮していました。
 背中合わせの2人は、心の奥で秘かに異性のお友達を求めていました。やがて彼は体をのり出し 思い切って彼女に話しかけました。どことなく良家の育ちらしい威厳のある彼女は、 初めは彼の相手になりませんでしたが、真面目らしい彼の様子に心を許して彼と言葉を かわし始めました。
 静かな公園の午後のひととき、木の上の小鳥たちが楽しそうに歌っています。やがて すっかり打ちとけあった2人は、別れ際このベンチで再会を約束しました。 その時アンクレールは網袋の3つのオレンヂを彼に手渡すや、そっと口づけをして駈けだして 行きました。
 この異国人の貧乏画学生は、可愛いパリジェンヌと知りあいになれたことで、 天にものぼる心地でした。そしてこの日はツイていたことに雑誌社にあづけておいた 絵が9枚も売れていて、思いがけぬお金が入りました。
 翌日、新調の背広に身を包んだ彼はリュクサンブール公園のベンチへ走って行きました。 然し、いくら待っても遂に彼女は姿を現わしませんでした。失望した彼は気をまぎらすために 高級レストランにとびこみました。食事作法を知らない彼は、さんざん恥をかいた上 あり金をすっかり使い果してしまいました。それからは一片のパンも買えず、 下宿代はさいそくされるし、腹はぐうぐう鳴るし、たまりかねて、 何かにありつけないかと街を歩いていると、後から彼を呼びとめる老人がいます。
 君の落したのだといってお金を差し出しています。彼は一瞬ためらいましたが、 ・・・  (96分)

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