未完成交響楽<Das Dreimaderlhaus> (58年独) |
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<スタッフ> 監督 原作 脚本 撮影 美術 原曲 編曲指揮 <キャスト> フランツ・シューベルト ハンネレル ショーバー男爵 チェル夫人 ベートーベン |
エルンスト・マリシュカ A・M・ウィルナー エルンスト・マリシュカ ブルーノ・モンディ F・ユブトナー・ヨンストルフ フランツ・シューベルト アントン・プロフェス カールハインツ・ベーム ヨハンナ・マッツ ルドルフ・ショック マグダ・シュナイダー エーワルト・バルザー |
かずかずの美しいメロディーで知られる天才作曲家フランツ・シューベルトの若き日の恋物語をえがいたカラーの新作。
音楽の都ウィーンを舞台に、シューベルトの美しいメロディーと恋の苦悩とが織りなされる。
原作は今世紀はじめのウィーンのオペレッタ作者A・M・ウィルナ一による音楽劇「三人姉妹の館」(1917年初演)。 58年に上演されたとき、この舞台に感動したエルンスト・マリシュカが映画化を決意、かなり自由な脚色を加えて、 みずから演出したもの。 この「三人姉妹の館」はわが国でも戦前「ライラック・タイム」として宝塚少女歌劇で上演、 さらに藤原義江氏によって「シューベルトの恋」として上演され、非常な人気を博したものである。 したがって、33年に製作されたウィリ・フィルストの「未完成交響楽」(Leise flehen meine Lieder)とは まったく別の脚本にもとづいている。 マリシュカは戦前「別れの曲」のシナリオを書いたウィーン派の巨匠。戦後、ロミー・シュナイターを売り出した 「プリンセス・シシー」(55)を監督してその名をとどろかせた。 主人公のシューベルトに扮するのは、ドイツ出身の国際俳優カールハインツ・ベーム、 相手役は新人のヨハンナ・マッツ。ほかに、ロミーの母親マグダ・シュナイター、ベートーベン役にはうってつけの名優 エーワルト・バルザーなどが出演している。 また、有名なエリッヒ・クンツをはじめ、ルドルフ・ショック、エバーハルト・ウェヒターなど、 世界一流の歌手が演技者として出演、すばらしいその歌声を聞かせてくれる。 さらに、オペラ歌手として世界的名声のあるコロラチュラ・ソプラノのウィルマ・リップが 劇中劇「フィデリオ」に出演、つづいて結婚式のシーンで「アペ・マリア」を歌っているのも豪華な聞きものである。 ほかに、ヒルデ・コネツニー、オスカー・チェルウェンカなどウィーン・オペラの重鎮が 「フィデリオ」の舞台に姿を見せている。 | <梗概>
長かったナポレオン戦争もやっと終りを告げ、伝統ある都ウィーンも少しずつ明るさをとりもどしていた。
詩人、画家、音楽家などの芸術家たちも、この都に集まり、独特の自由な雰囲気がつくられていった。
まだ無名だった若きフランツ・シューベルトもその中のひとりだった。古いウィーンの街の、
みすぼらしい下宿に住み、貧しさと戦いながら、彼は次々と美しいメロディを生み出していたのである。
フランツの周囲には、彼の才能を愛する芸術家仲間たちのグループがあった。 歌手としてすでにかなり名声のあったショーバー男爵とマイヤー・フォーファー、それに、 画家のシュウイントと詩人のクッペルウィザーの4人である。深い友情に結ばれた彼らは、影に日向に、 世間なれのしていないフランツを肋け、はげましてやるのだった。ウィーンの有名な楽譜出版社の社長 ディアベリ氏がフランツの歌曲に注目したのも、実は彼らの努力の結果であった。 しかし、フランツの曲は、実際、ディアベリを魅了するに十分なだけすぐれていた。 この若いすぐれた才能に心を動かされた老出版社主は、何とか彼を世に出そうと心を砕くのだった。 だが、フランツはディアベリの申し出にもそれほどの興味を示さなかった。交響曲こそ、 作曲家として、芸術家としての自分を生かす意義ある仕事だと考えていたからである。 彼の心の中には、つねに、あの偉大な巨人<xートーベンの姿があった。フランツは、 自分の才能のすべてを傾ける大作ロ短調″シンフォニーの作曲にかかるのだった。 自分の才能とのきびしい戦い。そして、その苦悩…。例の仲間たちはとかく孤独にとじこもりがちな フランツを下宿に訪ねては元気づけてくれた。 世間知らずのフランツには、恋愛の経験もなかった。恋愛こそは、彼の才能をさらに美しく 花咲かせる力になるにちがいない…。友人たちは、フランツを、チェル家の末娘ハンネレルに紹介することに決めた。 ・・・ (102分) |