鮫と小魚

<Haie und Kleine Fischc> (57年独)

<スタッフ>
製作
監督
原作・脚本
撮影
美術
音楽

<キャスト>
ハンス・タイヒマン
エディト・ヴェーゲナー
リュットケ艦長
ドラ
エーリッヒ・ヴェーゲナー
ハイネ

ウィリー・ツァイン
フランク・ヴィスパー
ヴォルフガング・オット
ギュンター・ヘッセ
エーリッヒ・ケッテルフート
ハンス・マルティン・マイエフスキー


ハンスイェルク・フェルミー
ザビーネ・ベートマン
ヴォルフガング・プライス
マディ・ラール
ハインツ・エンゲルマン
ホルスト・フランク
 「鮫と小魚」は、戦後西ドイツで最大のベストセラーの一つになった新人作家ヴォルフガンク・オットの長篇小説の 映画化である。この小説は"サタデイ・イヴニング・ポスト"や"リーダース・ダイジェスト"にも紹介され、 世界に好評をもって迎えられた。
 物語は第2次大戦中に、ドイツ海軍兵学校在学中のまま掃海艇勤務を命じられ、戦火をくぐるうちに軍人として、 人間として成長してゆくタイヒマンという男を中心に、さらに彼が人間的な懐疑をいだきながらUボート勤務につくうちの 心の変遷を描き、同時に二つの世代に生きる二つのタイプの軍人の姿を描いて深い感動を呼ぶものである。
 凄絶な戦争場面も数多いが、単なる戦争映画には見られない幅と深みをもった作品である。
 題名の「鮫」は暴力と戦争における暴虐、「小魚」はその「鮫」にすべてを支配される弱き者を意味している。
 出演者はいずれもこの1年ばかりの間にスターダムに進出した新鋭ばかり、タイヒマンを演じる ハンスイェルク・フェルミーはフランス映画「雪は汚れていた」に端役で出演してわが国にも紹介されたが、 ウーファの再興第1作『アフリカの星』にも主演、名実ともに西ドイツの代表的スターとなった。 ホルスト・フランク、トーマス・プラウト、エルンスト・J・ラインホルトなども明日のドイツ映画をになう新人、 ウェーゲナー夫人のザビネ・ベトマンは舞台出で映画はこれが2本目。この新人たちをめぐって、 ヴォルフガンク・プライス、ハインツ・エンゲルマンなどのヴェテランが脇役を固めている。
 監督のフランク・ウィスパーは無声末期にドイツ映画界に入り、「制服の処女」の助監督を経て一本立となり、 「制服」と同じメンバーで「黒衣の処女」を手がけて認められ、以来監督作品も多い。戦時中はアメリカで活躍した。
 なお、ヒット主題曲家路はるかに" はポリドール・レコードから発売されている。
 西ドイツでは1957年11月に公開され、同年度の外国映画も含めた興行成績のベスト・ワンを収め (フィルムプレッター誌)、また1958年度プンタ・デル・エステ映画祭(ウルグアイ)に出品される。
 <物語>  第二次大戦たけなわの1940年、海軍兵学校在学中のまま、ハンス・タイヒマンは少尉候補生として ドイツ海軍の掃海艇アルバトロス号に同僚3人、ハイネ、シュトーレンベルク、フェーゲレと一緒に配属された。 掃海艇といっても名ばかりで、徴発したトロール漁船を改造した代物である。
 4人は乗組早々古参の士官たちに怒鳴り散らされた。怒鳴ることによって少しでも早く環境に馴れさせようという 親心なのであった。ただ、当直士官パウリ中尉だけは"奴隷監督″という仇名の通り彼らをこき使い、弱い者いじめに終始した。 艇内でも彼の行動は常に不穏な空気をかもしだしていた。
 艇隊司令ヴェーゲナー少佐は好人物で、タイヒマンが問題を起した時も寛大にとり計らってくれた。 タイヒマンに彼を心のよりどころとして尊敬し、若く美しい彼の妻エディトには若者らしい恋心を燃やしていた。
 やがて、ヴェーゲナーの第52掃海艇隊に出撃の日が来た。掃海艇の任務は地味だが重大である。 そして常に敵機の襲撃の危険にさらされていた。アルバトロス号では、パウリ中尉が緊張のあまり不気嫌になり、 部下に当り散らしていた。しかも、アルバトロス号の行動に関するヴェーゲナー少佐の指令をことごとく遵法せず、 パウリ中尉は単独行動をとった。このため艇は英国の魚雷艇隊の攻撃を受け、損害をこうむった。 その腹いせに、彼は戦斗が一段落してからタイヒマンを石炭庫に勤務替えした。
 ところが浸水がはげしく「隔壁閉鎖」の命令がおりた時、タイヒマンは石炭庫に閉じこめられてしまった。 シュトーレンベルクはパウリ中尉の命令を無視してタイヒマンを助けた。パウリ中尉は自分の命令に反抗したかどで シュトーレンベルクを責めたてた。これを見たタイヒマンは激怒のあまりパウリ中尉を殴った。 アルバトロス号に一波乱起りそうな状況になったので、ヴェーゲナー少佐はアルバトロス号に現れ、事件の報告を受け、 パウリ中尉の単独行動の責任をとりあげ、陸上勤務を命じた。
 大破したアルバトロス号は基地へ引揚げた。・・・
    (120分)

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