08/15

<Null-Acht Funfzehn> (54年独)

<スタッフ>
監督
 脚本
撮影
  装置
音楽
  原作


<キャスト>
ローレ・シュルツ
  エリザベート・フライターク
  イングリッド・アッシュ
  フィアバイン二等兵
  アッシュ一等兵
 

ポール・マイ
エルンスト・フォン・ソロモン
ハインツ・ヘルシャー
ヴィルター・トラウト
ロルフ・ヴィルヘルム
ハンス・ヘルムート・キルスト



ヘレン・ヴィタ
エヴァ・インゲボルク・ショルツ
グンドゥラ・コルテ
ポール・ベジガー
ヨアヒム・フックスベルガー
 この映画は、ヨ−ロッパ映画界の名門であるドイツに、戦後10年を経てついに生れた、 戦前のドイツ映画の水準を取戻した作品として注目されると何時に、原作小説が発売と何時に 45万部を売りつくした、戦後ドイツの大ベストセラーで、映画化されて公開されるや各方面に 多大の反響をよぴ、戦後ドイツにおける最高成績を収めて最大話題作となった点で注目さるべき作品である。
 物語の内容は、1939年頃のドイツ陸軍の兵営生活の実態をありのまゝに描いたもので、 この作品が「死との決闘」に次いで第二作であるパウル・マイ監督のリアリスティックな演出によって、 過去の日本軍隊にも一脈通ずる武骨な面と、その反面に流れるユーモラスな面とが巧みに組み合わされていて、 従来作られたこの種作品に見られたような、陰惨な感じをもたせていない。
 映画化に当っての製作スタッフは、戦中並びに戦後のプランクでなじみがうすいが、 脚色のエルンスト・フォン・サロモン、撮影のハインツ・ヘルシャー、音楽のロルフ・ヴィルヘルムなど、 いずれも戦前のドイツ映画の水準をはるかに陵駕するものがある。
 主なる出演者は、その殆んどが日本へは初登場の新顔であるが、適材が適所に配置されていて 好演している。
 なお、原名の「〇八一五」は当時のドイツ陸軍に採用されていた新式自動銃の制式ナンバーで、 これが弱い者いじめをする人間とか、馬鹿正直な男、融通のきかない男とか、 いろいろな意味に転用され流行語となっている。
 原作者のキルストは、この小説が大ベストセラーとなり、映画も大ヒットしたことに気をよくして、 「戦線の〇八一五」と題する続編を書き、これまた映画化されて目下ドイツ国内で再び大ヒットして話題をさらっている。
 <物語>  1939年のドイツ陸軍のある兵営。リンデンベルヒ訓練分隊のアッシュ上等兵は、 兵営生活の要領を知りつくした、いわゆる要領のいい兵士の典型、彼に反して同じ分隊員ながら フィアパイン二等兵は、およそ要領の悪い男で年中へマの連続ではあるが気が弱くて人が善く ピアノを得意とする兵士らしくない男の典型であった。所がこのタイプも性格も全く正反対の2人が、 ウマが合うとでも云うのか無二の親友で、アッシュは何かにつけてフィアパインの力になっていた。
 兵たちにとっては誰よりも怖しい存在である隊付准尉シュルツは、年中エンマ帖を 胸にはさんで兵たちのアラさがしに快感をおばえるという、どこにもいるタイプの煩さ型。 彼はは若くて妖艶な魅力を撒きちらす凄のローレと兵に、兵営内にアパートをもらって住んでいた。 所が、このはちきれる肉体をもて余している准尉夫人ローレは、兵たちのアラさがしと 好きな酒に明け暮れする夫に不満で、隊付士官ヴェーデルマン中尉はじめ、 アパートへ使役にやって来るフィアパイン二等兵にまで食指を動かし、きわどい火遊びのスリルを楽しんでいた。
 しかし、兵たちには鬼のようなシュルツ准尉ではあったが、こうした不貞を働くローレだけには歯が立たず、 いっもイチコロで尻の下にしかれていた。この准尉夫人のことは、営内に誰一人知らないものがなく、 それを意識しているだけに、シュルツ准尉は余計に兵たちには意地わるくしていたとも云えるのである。
 この訓練隊の兵たちが怖れている、もう一人の男がいた。それは教育係のプラツェック曹長であった。 彼も一人で営内に住んでいたが、シュルツ准尉とは絶好のコンビで、兵たちを猛烈な訓練で 鍛え上げることが任務。それ以外の時には、シュルツの良き飲み相手であった。
・・・    (分)
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