ダンケルク

<Week-End a Zuydcoote>   (64年仏伊)

   Weekend at Dunkirk
<スタッフ>
製作
監督
原作
脚色
撮影
音楽

<キャスト>
ジュリマン・マイヤ
ジャンヌ
アレクサンドル
ビエルソン
デリィ

ロベール・レイモン・アキム
アンリ・ベルヌイユ
ロベール・メルル
フランソア・ボワイエ
アンリ・ドカエ
モーリス・ジャール


ジャン・ポール・ベルモンド
カトリーヌ・スパーク
フランソア・ペリエ
ジャン・ピエール・マリエル
ピエール・モンデイ
 第二次世界大戦下、1940年5月10日、ドイツ軍は西部戦線において一大攻勢を開始した。 オランダとベルギーは、もろくもヒトラーの誇る電撃作戦の前に一蹴され、英仏連合軍は退却につぐ退却を重ねた。 史上有名なダンケルクを中心とする海岸から、約37万人の連合軍兵士がドーヴァー海峡を越えて英国本土に 奇跡の脱出をとげた。
 この映画は、たえまない独軍の爆撃と砲撃にさらされながら、撤退作戦にごったがえす地獄のような ダンケルクの海岸を舞台に、ジュリアン・マイヤという一軍曹を中心とする兵士たちの2日間にわたる 悪夢のような経験とその死を、怒りと感動と、雄大なスケールで描いたフランス映画近来の戦争大作である。
 ド・ゴール大統領のきも入りを得て、フランスの陸海空軍を動員、当時の光景を壮大なモップ・シーンで 再現する一方、過酷な戦場における人間像を浮彫にして、ゴンクール賞受賞に輝くロベール・メルルの 傑作小説「ズイドコートの週末」の色彩・シネスコ画面による映画化に見事に成功している。
 製作は、フランスきっての大プロデューサー、アキム兄弟、監督は「地下室のメロディー」「太陽の下の十万ドル」と、 ここのところ大いにアクションづいている巨匠アンリ・ベルヌイユ、シナリオは「禁じられた遊び」「わんぱく戦争」の フランソア・ボワイエ、撮影は「黒いチューリップ」のアンリ・ドカエ、といった豪華なスタッフ陣。
 主役には「リオの男」「太陽の下の十万ドル」とたて続けに主演作が公開されて、大いに株を上げている好漢 ジャン・ポール・ベルモンドが、初の兵士役で豪放かつデリケートな好演を見せている他、彼の戦友たちには、 「フランス女性と恋愛」のフランソア・ペリエ、舞台のヴェテラン、ジャン・ピエール・マリエル、 「わんぱく旋風」のピエール・モンディと、芸達者が揃い、「禁じられた抱擁」「輪舞」のカトリーヌ・スパークが、 可愛い娘役でベルモンド相手に戦場に咲いた狂おしく甘美なラブ・ロマンスを演じている。
 <梗概>  1940年の6月初旬の土曜日だった。
 ジュリアン・マイヤは、ヴィレルという兵士と一緒に、手押車で女の死体を運んでいた。 ダンケルクから15キロ程離れたズイド・コートの海岸。ドイツ軍とドーヴァー海峡にはさまれた狭く細長い砂浜地帯に、 たえまない砲撃と爆撃を受けながら、40万近い英仏連合軍の兵士達がいた。無人の自動車や軍用トラックが、 いたるところに散乱し、兵士達は、三々五々かたまって砂丘で生活していた。 ヴィレルが途中で出合った若い中尉と喧嘩をおっ始める程、命令系統は混乱し、砲撃の止んだ後の死のような静寂のなかで、 兵士達は狂おしい絶望と不安に突き落されていた。
 ジュリアン・マイヤは、イギリス軍が撤退作戟のためににわかづくりの港を作った プレイ・デュヌの海水浴場から2キロメートルの所にあるズイド・コートに3人の戦友と一緒に野営していた。 グループの頭目格のアレクサンドル、才覚と抜け目のなさでは人後に落ちないデリイ、そして兵役前は、 田舎で司祭をしていた坊主≠フビュルソン、そしてマイヤの4人は、ここに来る前からの気の合った仲間だった。 デリイがどこからか見つけて来た英国のボンコツ救急車が、彼等の寝ぐらであり、結構規律だった生活めいたものがあった。
 しかし、これから先どうなるのか、死ぬのか生き残れる望みはあるのか、重苦しい問いは、 それぞれの気持にのしかかっていた。あらゆる使用可能の船を利用して、英国軍はドーヴァーを渡り始めていたが、 フランス兵に対しては乗船を拒否している、といううわさがあった。
 只一人、英語が話せるマイヤは、ともかくプレイ・デュヌまで行って、船に乗込めるよう努力してみるつもりだ、 とアレクサンドルに自分の決心を話した。
 プレイ・デュヌの大通りには、カーキ色の軍服をまとったイギリス兵が入り混った長い長い行列が続いていた。 十字路ではイギリスの将校が、英国兵は右フランス兵は左≠ニ大声で叫びながら、その腕を大きく、 単調に振り続けていた。・・・   (119分)

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