悪徳の栄え

<Le Vice et la Vertu>   (62年仏)

   Vice and Virtue
<スタッフ>
製作
監督
原作
脚色

撮影
美術
音楽

<キャスト>
ジュリエット
ジュステイーヌ
ジェーンドルフ
フォン・バンベルグ
ハンス
イバン
エレナ
ホッシュ

アラン・ポワール
ロジェ・バディム
マルキ・ド・サド
ロジェ・バイヤン
ロジェ・バディム
マルセル・グリニョン
ジャン・アンドレ
ミシェル・マニェ


アニー・ジラルド
カトリーヌ・ドヌーブ
ロベール・オッセン
オットー・ハッセ
フィリップ・ルメール
セルジュ・マルカン
ルチアナ・パルッツィ
ジョルジュ・ブージュリー
 これは18世紀フランスの作家マルキ・ド・サドの代表作と云われる、 「ジュステイーヌ又は美徳の不幸」及び「ジュリエット物語又は悪徳の栄え」の映画化である。 これらの小説は美徳を愛する妹ジュステイーヌの不孝な生涯と、背徳、 淫奔な姉ジュリエットの生涯とを対照的に描いたもので、後者はわが国でもほん訳され、 市販されているが、続篇は発禁、起訴となり、法廷に持ちこまれて、 第二の「チャタレイ夫人の恋人」事件として、その成り行きが注目されている。
 監督には「危険な関係」「戦士の休息」などのロジェ・バディムが当り、 「危険な関係」の時と同様、コンクール賞受賞作家ロジェ・バイヤンと一緒に脚色、 時代を18世紀から第二次大戦末期に移しあらため、悪徳と美徳を表徴する姉と妹の生き方を 対照的に描きながら、勝利から決定的敗北へと追いつめられて行くナチス幹部と、 姉ジュリエットとの、残酷異常な情痴の世界を、あでやかになまなましいタッチでくりひろげる。
 撮影は「危険な関係」「アメリカの裏窓」などのマルセル・グリニョン、 美術担当は「パリジェンヌ」のジャン・アンドレである。
 悪徳の姉ジュリエットには「素晴らしき恋人たち」「若者のすべて」などのアニー・ジラルドが扮し、 美徳の妹ジュステイーヌを、現在のバディム夫人で「パリジェンヌ」などのカトリーヌ・ドヌーブが演じている。 この姉妹をめぐって、「戦場を駈ける女」「戦士の休息」などのロベール・オッセン、 「大運河」のオットー・ハッセ、「狩込み」のフィリップ・ルメール、 「血とバラ」のセルジュ・マルカン、「青春の旅情」のルチアナ・パルッツィ、 「禁じられた遊び」のジョルジュ・プージュリーなどが多彩な演技をくりひろげる。
 <梗概>  第二次大戦中、ドイツ軍占領下のパリ。今日はジュスティーヌの結婚式である。 純白の衣裳に身を包み、街角の教会から出て来た彼女の目の前で、花むこのジャンは ドイツ軍に引き立てられて行った。青年はレジスタンスの闘士だったのだ。
 途方にくれたジュステイーヌは、今まで一度も頼んだことのない姉ジュリエットの住居をたずねた。
 2人は本当のきようだいだったが、性格は正反対だった。妹のジュステイーヌが 見るからに純情可憐型なのにひきかえ、姉のジュリエットは逞ましく現実的だった。 父が出征、捕虜になり、母や妹を養い一家を支えて来たのもジュリエットだった。 彼女は有効に肉体をひさぐすべを知っていた。そして今では、 ドイツ占領軍司令官フォン・バンベルグ将軍の情婦だった。
 したがって、敵に媚びを売る破廉恥な女と、人々の評判は悪く、妹のジュステイーヌも 姉の生き方に背を向けていたが、愛するジャンをゲシュタポの手から救ってもらおうと、 姉に頼みに来たのだった。しかし、ジュステイーヌは姉からすげなく扱われて、 怒りに泣きながら姉を罵った。
 だがジャンは他ヘ護送される途中、脱出に成功し、パルチザンの仲間に帰った。 ジュステイーヌはそれを姉のおかげで釈放されたものと思い、この前のことを詫びに 再び姉のもとを訪れた。
 そこで彼女はナチス親衛隊の将校シェーンドルフに会った。彼とフォン・バンベルグ将軍とは 旧知の間柄だったが、らいらくで育ちのよい将軍と、陰険で執念深い彼とはもともと肌が合わず、 その上シェーンドルフは、心中深く将軍を怨むところがあった。 ・・・
     (107分)

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