墓にツバをかけろ<J'irai Cracher sur vos Tombes> (59年仏) |
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<スタッフ> 総指揮 製作主任 監督 原作・脚色 撮影 音楽 編集 <キャスト> リスべ−ト ジョー・グラント シャンドレイ シルビア |
ラルフ・アビプ アソドレ・ラブルース ミシェル・ガスト ボリス・ビアン マルク・フォサール アラン・ゴラゲール エリアヌ・バンドール アントネラ・ルアルディ クリスチャン・マルカン フェルナン・ルドー ルナート・ウェール |
この映画は、フランス製のアメリカ映画で、黒人の血をひいた一青年が、白人の若者たちの手でリンチをうけて死んだ
弟の復讐をする物語で、その行きがかりに次々と白人の女を犯してゆくという一種の
社会悪を主題とした問題作である。
舞台はカナダ国境に近いメンフィスの郊外となっているが、実際は風光明眉な 南仏ニースのカストラヌ湖畔とビクトリーヌ・スタジオで撮影された。 このようにアメリカを舞台とした作品が全然現地ロケすることなく製作されたのは この映画が最初のものである。 原作・脚色はボリス・ビアンで、監督には29才の俊鋭ミシェル・ガストが当っている。 この作品は彼の最初の長篇で、フランス映画では珍らしい快適なテソポでストリーは展開され、 登場人物の性格を秀れた環境描写によって生々と浮彫している。 音楽は「鍵穴」のアラン・ゴラゲールが担当し、監督の好みも採り入れ、 全篇モダーソ・ジャズを駆使して適切な雰囲気を盛上げる。 撮影には美しい画調を示すマルク・フォサールが当っている。 主演ほ「女の一生」「大運河」「狂った本能」などで益々演技力をあげた 男性実のクリスチャン・マルカン、「赤と黒」「女の一生」など文芸物に多く出演している アントネラ・ルアルディが今回ほ特異な美貌を持つ現代娘として登場している。 その他、「レ・ミゼラブル」のフェルナンドル・ルドー、 ルナート・ウェール、ドイツ生れのマリナ・ベトロ−バなどが助演している。 | <梗概>
アメリカのメソフィス郊外。18才の黒人少年が、白人の女を犯したかどで木に吊され
リソチを受けた。しかし彼等は結婚したいと思っていたのだから随分不当な仕打ちである。
彼の兄ジョー・グラントは外見は白人のようにみえる。彼は弟の仇を討たんものと 心に誓い、友人レックスを脅して、叔父シャンドレイ宛推せん状を書かせ、 これを持ってトレントンに向け出発するシャンドレイは、かねがね自分の書店を 誰かに譲り度いと思っていた。事情を聞いた彼はジョーに同情し、自分の店をまかせる一方、 スタン・ウォーカーという男の存在を話して聞かせた。スタンは、或る金持の長男でチンピラ共の親分格であり、 町の人々のいかがわしい写真を撮り、この書店へ現像するために持って来るのだが、 スタン以外の者は出来上った写真を受け出すことが出来ない仕組になっていた。 これらの写真はその後ずっとゆすりの種として使われるのだ。 町に着くとその晩から、ジョーは女と一緒のところを撮られるが平然としている。 ジョーと赤毛の娼婦ジェイとのいかがわしい写真を撮るためにチンピラ共が仕組んだ ピクニックの時の彼の態度も、平静そのものだった。 ある日、ジョーとスタンとが出合った時、話はメンフィスのこととなり、 スタンが18才の黒人少年リンチ事件をにおわせると、ジョーの顔が一瞬こわばったが、 かろうじて自分を抑制する。その晩スタンが現像したフィルムを取りに来た時、 ジョーはただの白紙を与える。 ・・・ (109分) |