ヨーロッパの裏窓

<Paris je T'aime>   (62年仏)

<スタッフ>
監督
撮影
音楽
ナレーター

ギイ・ペロル
クロード・ルコンテ
デリイ・ハル
ジャン・アマドウ
トウジャグのモデル
ドロシー
イヴォンヌ
ニコール
ローザ
ナザリ
ルビイ
マリーナ、他
ショー出演者
フィリッピン舞踊団
ウラル舞踊団
オリバー・ツイスト楽団
エスメラルダ
ドリー・ベル
 ヨーロッパのすばらしさ、それはパリのすばらしさである。そして、パリのすばらしさはその夜の歓楽境と 美しいパリジェンヌ、おまけにそのパリジェンヌが生れたまゝの見事な曲線美を露わに、 オール・ヌードだったら?世界中のすべての男性が夢みる、嘆息の出そうなこんな夢をそっくり実現している男性がいる。
 この映画の主人公で有名な画家、トゥシャグがその幸福な男である。
 パリの花売娘も、ファッションモデルもショップガールも、みんな彼のアトリエでは、 そのすばらしい裸体をおしげもなくみせてくれる。トゥシャグは、彼女たちをモデルに美しい絵を描き、 彼の描くパリの街々のタブローの前で、生々した世界中のショーが見物できる。 すごいヌード・ショー、曲芸、音楽、踊り、そして、それらにはパリの香りがいっぱいだ。凱旋門、モンマルトル、 コンコルドそしてサン・ジェルマン・デブレ。
 これは、始めてフランスがつくった、コイキでスマートで、シャープな感覚にみちあふれた、 全く新しい夜もの〃映画の秀作である。

 <梗概>  「絵に書いた女はすべての人に愛される。なぜなら彼女達はくちをきかないから」
 この映画は、アンドレ・モロワの言葉を引用して始まる。パリにアトリエを持ち、女を描くことに、 女の美を描くことにその情熱を傾け続けている老画家トゥシャグがこの映画の主人公だ。 彼のアトリエの敷居をまたいで来る者が、何処から来ようとも、彼女等の国籍や言葉や皮膚の色がどうであろうとも、 彼の絵筆にかかれば、彼の思いのままに変化され、理想化され、新しく造りなおされる。 マチスの崇拝者であるトウシャグのアトリエには、も
のいわぬ美しい裸のパリジェンヌでいっぱいだ。
 今日、トウシャグの手なれた筆は、霧深いデンマークから来た女、ドロシーのやや細身の、 流れる様な裸の線を追っている。カンバスに、一人のパリジェンヌが誕生し終ると、 画家は裸のモデルをテラスへと連れて行く。これはこの画家の癖である。なぜ、 トウシャグはそんな癖を持っているのだろう。それは、そこから巴里が一望に眺められるから。トウシャグが、 愛してやまぬ巴里が・・・
 ドロシーを乗せて、老画家の車は、巴里の街へ出てゆく。エッフェル塔、コンコルド広場、 そしてモナリザの微笑が待つルーブル博物館、木曜日は子供の叫び声でいっぱいになるチュイルー公園、 ノートル・ダムの寺院、モンマルトルの丘に置かれたクリームのついた巨大なお菓子、サクレ・クール寺院。 サン・ジェルマンの中心フュルステンペルグ広場を奇妙な人間が横ぎってゆく。といつのまにか画面は 道化パントマイムの舞台に変る。この映画のショウ場面は、このようにいつもさり気ない挿入の形をとるのだ。 ジャバの踊りから、百年戦争の話へ、ジャン・アマドゥの酒落たナレーションは続く。
< 当時、戦争に行き放しだった男達が、自分の妻の貞操を保証する奇妙な道具を発明した事は、皆さん知っての通りです。 そう、貞操帯です。しかし、鍵には合鍵がある。そして、女の貞操を確保しておきたいと望む事は、無駄な用心です。>
 画面では、一人の貴婦人の仮装をした女が、悩まし気に身もだえしながら、一枚一枚着物を脱ぎ捨ててゆく。 そして最後に、宝石の飾りのついた貞操帯を、合鍵でゆっくりとはずしてしまうのだ。 裸の彼女は、夫も恋人も居ない夜をどうして過ごそうと・・・  (97分)

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