女はコワイです

<Le Soupirant>   (62年仏)

<スタッフ>
監督
脚本・台詞

撮影
作曲
編曲

<キャスト>
息子
ローランス
スエーデン娘

ピエール・エテ
ピエール・エテ
ジャン・クロード・カリエール
ピエール・ルパン
ジャン・パイヨー
ミシェル・コロンビエ


ピエール・エテ
ローランス・リニェール
カリン・ベズレー
 アメリカのチャップリンとならぶフランス喜劇の巨人マックス・ランデ(1883−1925)以来、 フランス映画は、かずかずのすぐれたコメディを世に送ってきましたが、いままた、ここに、珠玉のような たのしく美しい傑作を生みました。流れるような画面のリズム、洗練されたギャグの連続。 観客を笑いの渦にまきこみながら、不思議にすがすがしい気持にさせるこの映画は フランス・コメディの伝統をふまえたうえで、 さらに新しいスタイルの笑いを生み出した注目すべき作品といえましょう。 毎年、最も革新的な特色を発揮した優秀作品に与えられるルイ・デリュック賞が、 この映画に与えられたのも偶然ではありません。
 この映画は公開されるとともに、フランス中の話題を独占して、大ヒットをつづけ、 多くの大作をしりめに、驚異的な興行成績を記録しました。 フランスの映画観客が新しい才能ピエール・エテの出現に柏手を送ったのです。
 この映画をつくったピエール・エテは28年生まれ。幼いときに見たサーカスの道化師にあこがれて コメディアンになることを志しました。 そんな彼を映画にみちぴいたのはジャック・タチです。エテはタチのもとで、絵コンテ書きとして4年間働き、 さまぎまのギャグや映画つくりの技術を身につけました。この努力が傑作短篇「幸福な結婚記念日」となり、 62年度のアカデミー短篇映画賞を授けられたのです。
 この「女はコワイです」は、エテが長年抱いていたテーマを自由に展開したもので、 約1年の時日をかけて完成した長篇第一作です。
 ジャック・タチのいわば弟子ともいえるわけですが、この第一作で、彼は師匠をこえる新しい感覚を見せ、 フランスの喜劇映画に新風を吹き入れたのです。
 <梗概>  人間の先祖はサルだというのはほんとですかねエ。この映画はピエール・エテさんという人が つくったのですが、エテ、つまりエテ公というのはサルのことなので、サルとはおかしな メグリアワセであると、運命のフシギさにおどろきあわてます。
 君はフランス人、ポグは日本人であろうとも、まことに先祖はおなじエテ公の子孫、 心のうちはかよいあう、おかしくもかなしいオハナシです。
 エテ氏の扮する本篇の主人公、どういうわけか、S・F的研究に熱中しております。 あんまり生活には困らないらしく、階下では、エテ氏の両親が、絵をかいたり、 タバコ吸ったりして暮しております。この両親のあくまでも静かな生活こそ、 まことにナカセルのでして、オヤジはお酒いっばいのむにも、 おそろしくデリケートな心づかいをして、物音ひとつたてず、 タバコのケムりも妻にはかからぬようにやさしく、戦々恐々としてうごめいておりますのは 涙なくしてはみられません。
 この家にはもうー人、スエーデンから、フランス語の勉強をしにきているステキな 美少女がいるのですが、いつまでたってもフランス語が話せず、ニッコリ笑っているだけです。
 ところで、エテさん、ある日、父親から、結婚というヒトコトを聞くや、たちまち、 電撃の如く、この人生の重大事に対してめざめます。そして、恋人を求めて家をとびだしていきます。 まことに、30にしてたつ!
 しかし、巷に女はみちあふれてはいますが、この純情なエテさんの恋人になっでくれるような女性は みあたりそうもありません。フランス男でありながら、彼は恋のテクニックを何ひとつ知らないのです。 インチキで軽薄な男に女はコロリとだまされるのに、エテさんの如く、清潔にしてロマンチックな男には、 女は・・・  (84分)

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