危険な階段

<Les Scelerats >   (60年仏)

<スタッフ>
監督
原作
脚色

撮影
音楽

<キャスト>
ジエス
ルイーズ
テルマ
ルイーズの父親
テッド

ロベール・オッセン
フレデリック・ダール
ロベール・オッセン
フレデリック・ダール
ジャック・ロバン
A・オッセン


ロベール・オッセン
ペレット・プラディエ
ミシェル・モルガン
オリヴィエ・ユスノ
フランク・ラティモア
今まで、フィルム・ノワール(暗黒映画)に主演し、監督してきたロベール・オッセが 従来とは全く趣きをかえ、精神的な破綻のどん底にあえぐ男女の愛情の機微、 たまらなく物憂い人生の断面を見事に捉えたこの作品は、作家フレデリック・ダールの小説 「レ・セレラ」(「悪いやつら」)の映画化であり、フランス映画第一級の心理ドラマとして、 素晴らしい評判を呼んだものである。.
 出演者はオッセンをはじめ、撮影中に良人アンリ・ヴィダルの急死という悲劇にもめげず、 神秘的な影につつまれた美しい人妻を演じて大女優の地位を不動にしている「非情」のミシェル・モルガン、 この映画でスクリーンにデビュした新人ペレット・ブラディエ、「太陽がいっぱい」で演技派スターとして クローズ・アップされたフランク・ラティモア、「殺人鬼に罠をかけろ!」のオリヴィエ・ユスノらが 顔を揃えている。
 音楽は、オッセンの父であるA・オッセンが担当、華麗なモダン・ジャズを駆使し ドラマチックな迫力を盛りあげている。脚色はロベール・オッセン、フレデリック・ダール、 撮影をジャック・ロバンが担当。

 <梗概>  あばら家や廃工場が立ち並んでいる巴里郊外の汚いデコボコ道に面して、ぜいをつくした邸宅が建てられた。 その邸は、全部がガラス張りで、超モダーンな日よけが、キノコのようににょきにょきと張り出されていた。 住んでいるのは、アメリカ人ルーラン夫妻だったが、その生活ぶりは、一風変っていた。
 この邸のちょうど真向かいに、まさに人手に渡ろうとし
ている家があり、貧しい一家が住んでいた。 彼らは、向かいの邸の変った生活ぶりに興味を惹かれないわけにはいかなかった。 この貧しい一家は、失意の画家である父親と、口やかましい母親、それに、娘ルイーズの3人暮しだった。 ルイーズは、両親のたえまない口喧嘩のなかで、精神的な支えもないまま、何かヤケ気味におちいっていた。 年ごろだというのに男友だちも出来ないのだった。
 この3人ともが、そろって、このガラスの家に夢中になっていた。めいめいが、 なぜ覗きみるのか深く考えもせず、ガラスの家で起ることを見詰めているのだった。そして、 勝手な空想をした……。邸は、彼らの手の届きそうなところにあるエデンの園″だった。
 ガラスの家では、金持のルーラン夫妻が、ぜいたくな暮らしをしていた。ルイーズは、 もうがまんができなくなった。邸のなかのことのすべてを知りたくなったのだ。そして、彼女は、 そのルーラン家に女中に雇われることに成功すると、すぐさま邸に住みこんだのだった。 ジェスと妻のテルマは、彼女が気に入ってしまった。アメリカ風に主人夫妻と一緒のテーブルでする食事、 素晴らしいアメリカキャディラック車でのドライブ、寝心地のいいベッド。ルイーズにとって、 みるもの聞くもの、すべてが驚嘆の的だった。
 しかし、この偽りのエデンの園には、悲劇の種がまかれていた。テルマは、ウイスキーを痛飲した。 彼女は、ときどきひどく苦しんで、意識を失ない、気狂いのようになることがあった。・・・   (92分)

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