赤と青のブルース<Saint-Tropez Blues> (60年仏) |
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<スタッフ> 製作 監督 脚色 撮影 音楽 歌 <キャスト> アンヌ=マリー・ブレモン ジャン=ポール・アンドレル ジヤツク・バルジュロン |
ジュール・ボルコン マルセル・ムーシー マルセル・ムーシー ジャン=ポール・ラプノー ピエール・ロム アンリ・クロラ アンドレ・オデール マリー・ラフォレ マリー・ラフォレ ジャツク・イジュラン ピエール・ミカエル |
ルイ・マル監督が発見し、「太陽がいっぱい」で一躍スターダムにのしあがったマリー・ラフォレの
魅力溢れた最新作である。
南仏の避暑地サン・トロペを舞台に、若さ漲る男女の恋のかけ引きを、即興演出によるモダーンなタッチで 描いたもので、「大人は判ってくれない」のシナリオを担当していたマルセル・ムーシーの第一回監督作品である。 脚本もムーシー自身の書下しで、脚色はムーシーとジャン=ポール・ラブノーが共同で当っている。 撮影のピエール・ロムは風光明眉なサン・トロペを背景に流麗なカメラワークを示し、音楽はベテラン、 アンリ・クロラとアンドレ・オデールが担当、演奏はパリで人気のある「ジャズ・グループ・ド・パリ」が当り、 その中で「赤と青のプルース」「風まかせ」の二曲をマリー・ラフォレ自身が唄っている。 主演はマリー・ラフォレの他に、ムーシー監督が抜擢した新人ジャック・イジュラン、ピエール・ミカエル、 「地下鉄のザジ」のイボンヌ・クレクなどが出演している。また、この映画には「いとこ同志」の クロード・シャプロル監督が特別出演しており、ムーシー監督もツー・カット顔を出している。 恋と音楽とファッションが織りなす青春大作である。 <梗概> パリでは殆どの人が避暑に出払っていた。アンヌ=マリーの両親もエクス地方へ避暑に出かけた後、 アパートでは彼女一人が、試験準備におおわらわである。 そんな或る日、彼女の許を訪れて来たのは、友人のジャン=ポールだった。画学生だが、 アンヌ=マリーがドン・ファン振りで名高いフランソワ・デロシュに棄てられて以来、 専ら慰め役に廻り、彼女の気持をひき立てよう | と一生懸命になっている。
その日も、素晴しいオープン・カーを操り、ドライブかたがた避暑に誘いにやって来たのだ。 ぼつぼつ勉強にも飽きていたアンヌ=マリーは二つ返事でOKすると、いそいそと出発の準備にとりかかった。 行先は風光明眉なサン・トロペ、一応一週間の予定である。 軽快なエンジンの響きをのこして疾走するジャン=ポールの車は、一路南仏へ向った。その途上、風変りな青年 ジャック・パルジュロンを同乗させることになった。彼にはどこかしら孤独のかげがうかがわれた。 3人を迎えたサン・トロペの海辺は、既に多勢の避暑客で賑い、南仏特有の強い陽ざしが、 紺碧の海に美しく照り映えていた。あふれるような解放感に幸福を胸一杯吸い込んだアンヌ=マリーが、 第一に会った知人は、皮肉にもフランソワだった。しかし、もはや彼に何の未練もない彼女は、にべなく男の申し出を蹴り、自尊心を傷つけられたドン・ファンが尻尾をまいて逃げ出す様を、ひやゝかに眺めていた。 早速ジャン=ポールの紹介で愉快なグループと親しくなったアンヌ=マリーは、ダンスにヨットに音楽に、 日がな一日楽しい時を過ごすが、グループのリーダー格トラビュという青年が、いつしか彼女に想いを寄せ始めていた。 絵の勉強が目的らしく、カンバスを前に得意の腕をふるってみせるが、アンヌ=マリーには 何やらさっぱり見当もつかぬ抽象画だった。 グループにはまた、ファビエ=プシャール夫人という有閑マダムもいたが、ジャン=ポールがお気に入りらしく、 寄る年波を厚化粧にかくして披を誘う様子には、いたましいばかりの滑稽感があふれている。 或る夜のこと、ジャン=ポールの発案で屋外パーティが催されることになった。 ・・・ (94分) |