非 情

<Retour de Manivelle> (57年仏)

<スタッフ>
製作
監督・脚色
原作
台詞
撮影
美術
音楽

<キャスト>
エレーヌ
ロベール
ジャンヌ(女中)
プランタヴァン警部
エリック・フレマンジェ
刑事
ババン

ジャン・ポール・ジバート
ドニス・ド・ラ・パトリエール
ジェームズ・ハドリー・チェイス
ミシェル・オーディアール
ピエール・モンタゼル
ポール・ルイ・ブティ
モーリス・ティリエ


ミシェル・モルガン
ダニエル・ジェラン
ミシェル・メルシェ
ベルナール・ブリエ
ペーター・バン・アイク
ジャン・オリビエ
フランソワ・ショメット
 「殺人狂想曲」「目撃者」と、このところ英国スリラー作家ジェイムス・ハドレイ・チェイスの 作品がフランス映画に続けてとり上げられているが、これも同じ作家の最近作"There's Always a Pricetag" を原作にしたもの。自殺した男にかけられた3億フランの生命保険金をめぐって、 物欲と愛欲の葛藤が微妙な人間心理のひだに映し出される。
 この原作を脚色したのが、監督のパテリエール自身でこれが第3作目という新鋭だが、 「女の一生」のアレクサンドル・アストリュックとならんでこれからのフランス映画界を背負って立つべき 監督として期待されている。
 また、この脚本に「間諜都市」「恋路」「濁流」などの脚色・台詞を担当しているベテラン、 ミシェル・オーディアールが台詞を書き加えている他、「王様」のポール・ルイ・プティエが美術を、 「罪と罰」のモーリス・ティリエが音楽を、それぞれ受けもって新人監督をもり立てている。
 主演者は、非情そのもののような冷徹な女主人公にミシェール・モルガンが扮して珍らしく悪女を演じ、 その相手役の男にダニエル・ジェランが扮する他、可憐な女中役に新人ミシェール・メルシェが 抜擢されているのが注目きれる。
 また、これをたすけて、敏腕の警部に名優ベルナール・ブリエ、自殺する富豪にドイツ出身の国際俳優 ピーター・ヴァン・アイク、その男の会社での後任ババンにコメディ・フランセーズのフランソワ・ショーメットが それぞれ扮するなど、豪華多彩な顔触れを見せている。 
 <物語>  運命の曲り角というものは思いもかけないところにひそんでいるものだ。まるで落とし穴のように。 もしあのときロベールがエリック・フレマンジェに会わなかつたら、彼は今までと同じように 豊かとはいえなくとも、気楽な放浪の生活を送っていただろう。だが、彼はフレマンジェに会った。 みごとに運命のしかけた落とし穴にはまりこんでしまったのである。
 それは、なま暖かい春の夜だった。スケッチブックを片手にモンテカルロの街を歩いていた ロベールは、中年をすぎた一人の男が危なく疾走してきた車に轢かれそうになるのを助けた。 それがフレマンジュだった。彼ほ正体もなく酔っていた。ロベールは彼の純白のキャディラックを 運転して酔った彼を自宅まで送りとどけないわけには行かなかった。
 フレマンジュの家は海岸近くの豪荘な邸宅だった。ひと気のない客間で2人が命拾いの祝杯を交わしたあと、 ロベールはフレマンジュから月給6万フランで住込みの運転手になることを求められた。 もとより浮草のような毎日を送っていたロベールのこととて、すぐに承諾、その夜はあてがわれた離れの 自室にひきとったがその途中、邸の一室をのぞいた彼は意外なものを見てしまった。 その家にはあエレーヌと呼ばれる妻がいたのである。
 やがてそのエレーヌがロベールの部屋に姿を現わした。主人からの謝礼として5万フランを手渡し 運転手に庸い入れることを取消したから、出て行ってくれというのである。 ・・・  (118分)

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