すずらん祭

<Le Pere et L'enfant>   (58年仏伊)

<スタッフ>
製作
原案・監督
脚色

台詞
撮影
音楽
主題歌・歌

<キャスト>
ジャン
アニー
フランソワ少年
運転手
ジルベール

サシャ・ゴルディーヌ
ルイス・サスラフスキー
ルイス・サスラフスキー
クロード・エイマン
ベアトリックス・ペック
マルセル・グリニヨン
ミシェル・エメル
フローランス・ヴェラン


イヴ・モンタン
ニコール・ベルジェ
イヴ・ノエル
アルド・ファブリーツィ
ワルター・キアーリ
 5月1日はすずらんの日、パリッ子たちは親しい人にすずらんを贈り、 胸にすずらんをつけて遊びに出かける。映画「すずらん祭」は、 この日パリの一隅に電気屋をいとなむささやかな一家族がすごした数時間の物語である。 したがって、労働者の祭典メーデーも、初夏をつげるすずらん祭も単なる書割りにすぎない。 工場の電気エから身を起し自力だけで電気屋を開いた平凡な夫、この日に出産するその妻、 いたいけな8才の少年、およぴおばあさん、妻の年頃になる妹などの家族や隣近所の人たちを通じて、 親子や夫婦愛、恋人たちの愛情、男同志の隣人愛などを淡々としたスケッチの中に描きだしでいる。
 主演者は俳優として(「サレムの魔女」「恐栃の報酬」)、シャンソン歌手として 人気絶頂のイヴ・モンタン、「青い麦」や「可愛い悪魔」に出演している清楚なニコール・ベルジェ、 および大活躍をみせる8才のイヴ・ノエル少年である。 さらにイタりア映画・演劇界の大御所アルド・ファブリーツィ(「無防備都市」「平和に生きる」)、 イタリアはじめヨーロッパ各国映画に出演しているワルター・キアーリ、 ジョルジュ・シャマラ(「過去を持つ愛情」)、ジョルジェット・アニス(「巴豊野郎」)、 ベルナデット・ランジュ(「空と海の間に」)、オブリエル・フォンタン(「リラの門」)、 「危険な曲り角」の新進ローラン・テルジェフなどの堂々たる演技陣。
 監督のルイス・サスラフスキーはアルゼンチンに生れ、今まで「雪は汚れていた」など 暗い内容の社会ドラマを得意としてきたが、これは彼がはじめて手がけた明るい作品で、 フィルムの肌をよく心得た生活描写をみせる。彼自ら書き卸したオリジナル・ストーリーを、 監督・脚本家・製作者・美術監督として名高いクロード・エイマンと共同脚色、 ゴンクール文学賞を受けたベアトリックス・ペックが台詞を担当した。 このシナリオは評判がよいので、後に小説に書き直された程である。
 撮影監督は「ぼくの伯父さん」のマルセル・グリニョン、 音楽はシャンソン作家のミシェル・エメルが担当、 主題歌は新人シャンソン歌手フロエフンス・ヴュランが歌っている。 プロデューサーは「港のマリー」「輪舞」「愛人ジュリエット」など多くの名作を放った サシャ・ゴルディーヌ。
 洋画界に新風を送る、サスラフスキー監督の言葉をかりれば「沢山のすずらんと、 いくつかの野ばらのような」フランス映画の名篇。
 <梗概>  パリの片隅にささやかな電気工事屋を営む、つつましい一家がある。家族は工場の電気工から身を起し 自力で店を開いたまじめな夫ジャンと妻テレーズ、7つになる無邪気なフランソワ少年、 テレーズの妹で美しいアニー、それに祖母の4人である。
 きようは5月1日、メーデーであるから、初夏の訪れをつげるすずらん祭であるからといって、 幼いフランソワにはあまり関係がない。
 この日は、まえまえからお父さんにせがんでいたサッカーの試合につれていってもらう日だというので、 朝からその小さな胸をわくわくさせている。ところが、この日はちょうどお母さんのお産とタブッてしまい、 家中がごたついているのでほんとにサッカーにつれていってもらえるかどうか気が気ではない。 それに幼いフランソワの頭には、どうして自分に小さい兄弟ができるのか、お産とはどういうものか不審でならない。
 この日、テレーズは入院しなかった。入院すると費用がかさむといって家でお産をすると頑張っている。 結局、産婆のタルテ夫人に来てもらうことになった。電信電話公社の交換手をしているアニーは、 恋人のジルベールとつれだって、ブローニュの森のダンス・パーティに出かけてしまった。お産には夫だって男は邪魔だ。 ジャンとフランソワはサッカーに出かけることになった。妻をおいて出ることはジャンにとって不安この上もなかったが、 フランソワは小踊りして喜んだ。
 競技場へ向う途中、ジャンは昔なじみのブランショに会った。立派な身なりですてきな車をもっているブランショは、 昔とみちがえるばかりだった。彼は車で2人を競技場まで送ってくれることになった。実は、ブランショは前にジャンから 1万フラン借りたことがあり、そのままになっていた。今、返そうと思えばすぐ返せる金額だが、 なにがしかの利息でもつけて返してあげたいという口実で、ジャンを賭博場へ誘った。 そんなところへはついぞ足をふみ入れたことがないし、パリ市内では禁じられているものだし、 まして子供達れである。ジャンはしきりに断ったが、とにかく借りを返すから寄り道してほしいと ブランショは車をコロンブス通りの賭博場へ向けた。サッカーを見に行こうと言い張るフランソワを前の公園に待たせて ジャンが中へ入ってみると、プランショに借した金はフランソワ名儀で賭けられ、5万フランになっていた。 実はこのプランショはいかさま者で、・・・  (87分)

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