狂熱の孤独<Les Orqueillex> (53年仏墨) |
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<スタッフ> 脚色 監督 撮影 音楽 <キャスト> ネリイ ジョルジュ 医師 ドン・ロドリゴ アンナ トム |
ジャン・オーランシュ イヴ・アレグレ アレックス・フィリップス ポール・ミスラキ ミシェール・モルガン ジェラール・フィリップ カルロス・マヌエル・モクテスマ ヴィクトル・マヌエル・メンドーサ ミシェール・コルドウ アンドレ・トフェル |
現在フランスで飛ぶ鳥を落す勢の二大スター、ミシェール・モルガソ(ガラスの城、愛情の瞬間)と
ジェラール・フィリップ(肉体の悪魔、夜ごとの美女)を主演に「デデという娼婦」「七つの大罪(第二話)」
「奇蹟は一度しか起らない」の新鋭イヴ・アレグレがはるばるメキシコに大々的なロケーショyを敢行し、
その大胆きわまる実存主義的描写にセンセイションをまき起した問題作で、ヴェニス映画祭では
優秀作品賞を受けた。事情があってタイトルに名前は出していないが、サルトルの書き卸しを基にして
ジャン・オーランシュの(「禁じられた遊び」「青い麦」)のストーリーから、イヴ・アレグレ白身が脚色、
オーランシュとジャン・クルウゾオが台詞を書いた。
撮影はメキシコの名手アレックス・フィリップス(カソヌ映画祭撮影賞受賞者)が当り、 美術はキュンター・ゲルッソ、音楽は「情婦マノン」のポオル・ミスラキが担当している。 出漁者は二大スターを助けて、メキシコの名優カルロス・ロペス・モクテスマと ヴィクトル・ヤヌエル・メソドーサのほか「ニトウシュ嬢」(未輸入)に出演したフラソスの新人 ミシェル・コルドウ、シヤyソソ歌手としておなじみのアソドレ・トフエルといつた顔触れである。 なお、この映画はフランスとメキシコの合作映画で、各部門にわたり多数のメキシコ人が協力し、 フラソス版とメキシコ阪の二種が作られたが、今回上映のものほフランス版である。 また、この映画で初顔合せのフランス映画界きっての人気スタア、ミシェール・モルガソと ジェラール・フィリップは、シネモンド誌とル・フイルム・ブランセ誌の選出になる 53年度フランス映画最優秀女優賞の同男優賞を |
夫々授与されたが、
それというのもこの作品における両スタアの呼吸のあった熱演が大いに買われたのだと伝えられている。
<物語> ジリジリと灼けっく様な太陽が照りつけるメキシコの一漁村。 此処はメキシコ湾に臨んだヴェラ・クルズにほど近いトリクスコと云う。 メキシコの沿海地帯の何処にも存在する、旅行者にも忘れられ勝ちな一寒漁村である。 そして凡そ白人とは縁遠い存在な場所であるが、此の町に身を持ち崩した白人、然もフランス人が一人いた。 これがこの映画の主人公のジョルジュである。 ボロボロのパナマ帽に、薄汚れたシャツ、底のほころびた古靴と云う浮浪者さながらの 恰好で、おまけに昼日中から酒浸りで足もとも覚束ない。今日も今日とてホテル前の岸壁につけた小船から 豚の頭をせしめた彼は、丘の上にある淫売宿テレサの家へ乗り込んで、毛虫が底に沈んでいる様な 密造の安酒を淫売女ローザからせしめるのだった。 トリクスコの町にいるたった一人のメキシコの医者が、彼自身の胃潰瘍の手術をヴェラクルズで 受けるため、最後の健診を終えてバスへ急ぐのを追いかけるようにしてジョルジュは荷物の運搬を申込む。 これもロドリゴの酒場で一杯の酒にありつく為の所業である。しかし医者は淫売女ローザの治療をジョルジュが した事を難詰した。 しかしこの医者の乗り込む筈になっているバスの中には、とんでもない事件が待っていたのである。 ・・・ (105分) |