激しい夜<Les Menteurs> (61年仏) |
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<スタッフ> 監督 原作 脚色 撮影 美術 音楽 <キャスト> ノルマ ポール ドミニック ブランシャン |
エドモン・T・グレビル フレデリック・ダール フレデリック・ダール マックス・モンターギュ アルマン・ティラール リノ・モドンウリーニ アンドレ・オッセン ドーン・アダムス ジャン・セルヴェ クロード・ブラッスール フランシス・ブランシュ |
フランス推理作家のなかでもその心理描写こ卓越した才能を示すフレデリック・ダール
(悪者は地獄へ行け、危険な階段)の原作「お前が話していた、この死」 を、
目下、欧州各国の映画界で活躍中のベテラン監督エドモン・T・グレピル
(狂った本能、狂っちゃいねえぜ)が映画化したものである。
アフリカ帰りの金満実業家の莫大な財産を狙って、それまで同棲生活をしていた二人のアプレ男女が
母子になりすまして近ずくことからこの奇怪なストーリーが始まり、
無軌道な若者の悪ふざけがどんどん意外な方向へ展開し、遂には観客の誰もが想像できない恐ろしい結末を招く。
大富豪、中年女になりすました豊満な肢体の美女、そしてそのヒモ的青年の三人の間に漂よう異様な愛欲ムード、
それを突き刺す意外性の連続。これはヒッチコックも舌を巻いたエロチック・ミステリーの傑作である。
か 脚本・台詞は、原作者ダールが当り、撮影は屈指の名手アルマン・テイラール(悪魔のような女、
殺意の瞬間、雨のしのび逢い)、音楽をロベール・オッセンの父でモダーン・ジャズ界の中堅アンドレ・オッセン
(危険な階段)が担当している。
出演者は、確実な演技と美貌を誇るドーン・アダムス(狂った本能、海底の争奪)、 渋さにおいては天下一品のジャン・セルヴェ(宿命、45回転の殺人)、最近の進境著しい若手スターの クロード・プラッスール(何が何でも首ッたけ)、谷洋子の夫君ローラン・ルザッフル(広場)、 ベテラン、フランシス・プランシュ(バベット戦争へ行く)、 有望な新人アンヌ・マリー・コフィネ(明日なき夜)などである。 | <梗概>
愛し合ってはいても、生活がいつもバラ色とはかぎらない・・・
ノルマとドミニックの場合がそうかも知れない。ノルマは華やかな舞台女優を夢みて はるばるオーストラリアからパリに勉強に出て来たが、三流の芝居小屋で観客から口笛で弥次られるこの日頃だった。 ドミニックは一流誌のカメラマンになることが志望だったが、ノルマとの同棲がもとで、親元からの仕送りを断たれていた。 アパートの払いもたまり、服や指輪を売りとばしては何とかその日を送る始末。 ある日、そんなドミニックの目にふとふれたのは新聞の求婚広告。 「当方、アフリカ植民地帰り、裕福な隠居生活。妻を求む。40才以上の方、望まし」。 ドミニックは25才のノルマを舞台姿よろしく、 黒ぶちの素通し眼鏡と舞台用のかつらとで40才前後の年増女に仕立て、腕におぼえのカメラで見合写真をとって 応募させた。 待ち合わせの喫茶店でノルマの前に現われたのは、渋みのある、若い頃の好男子。 名前をポール・デュトラスといい、アフリカで財産を作った彼は、静かな余生を故国で送るふんぎりをつけて、 フランスに帰って来たのであった。 彼女はいちど結婚をしたが、すぐ男に捨てられ、その時の男の子供がいまでは 大きな息子になってパリにいるというのが、彼女自身とドミニックの表面上のシチュエーションだった。 ポールはノルマの言葉を信じた。 ・・・ (87分) |