埋れた青春<L'Affaire Maurizius> (54年仏) |
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<スタッフ> 脚色・監督 原作 撮影 音楽 <キャスト> レオナール・モリツィウス エリザベート アンナ アンデルガスト グレゴワール・ワレム |
ジュリアン・デュヴィヴィエ ヤコブ・ヴァッサーマン ロベール・ル・フェーブル ジョルジュ・ヴァン・パリス ピエール・ラリュウ ダニエル・ジェラン マドレーヌ・ロバンソン エレオノラ・ロッシ・ドラゴ シャルル・ヴァネル アントン・ヴォルブルック |
ドイツが生んだユダヤ系の有名な小説家ヤコブ・ヴァッサーマンの原作による
巨匠ジュリアン・デュヴィヴィエの「陽気なドン・カミロ」「アンリエットの巴里祭」
「ドン・カミロ頑張る」に次ぐ新作で、脚色も台詞も珍らしくデュヴィヴィエが一人で担当している。
撮影は「愛情の瞬間」「青い麦」の名手ロベール・ル・フェーブルで、 音楽は「アンリエットの巴里祭」「たそがれの女心」のジョルジュ・ヴァン・パリスとピエール・ラリュウ、 美術は「青い麦」「赤と黒」のマックス・ドウィ、衣裳は「赤と黒」のロジーヌ・ドラマールという名手揃いである。 出演者は、「愛すべき御婦人たち」「愛情の瞬間」で最もフランス的な二枚目としての 人気いよいよ高いダニエル・ジュランと、舞台で大きな足跡を残している「真夜中まで」の マドレーヌ・ロバンソン、我が国には「人間魚雷」が紹介されただけだが、その輝くばかりの 若さと美しさに将来を大いに期待されているイタリア出身のエレオノラ・ロッシ・ドラゴ、 「恐怖の報酬」の老名優シャルル・ヴァネル、古くは「たそがれの維納」から近くは「輪舞」に至る まで紳士役を通して来たアントン・ウォルブルック、「洪水の前」(未輸入)の少年俳優 ジャック・シャバッソル、コメディ・フランセーズ出身でコソセルヴァトワールの教授にもなり、 映画では「脂肪の塊」「皮の鼻」(共に未公開)に出た名優ドニ・ディネス、 やはりコメディ・ブランセーズで50年の女優生活を送って来た老名優で「脂肪の塊」に出た ベルト・ポヴィ、「オルフェ」「双頭の鷲」のジャック・ヴァレンヌという、 多角的な顔触れで、素晴らしい演技のアンサンブルを見せている。 | <物語>
スイスの郡ペルヌの肌寒い11月の或る日、鬼検事として令名高いウォルフ・アンデルガストの
一人息子エツェルがモリツィウス老人にめぐりあわなかったら、18年前のこの恐るべき真実は永遠に
蔽い隠されたままであったかもしれない。
学校の帰り途、一度ならず、二度、三度とつきまとう、 うす汚れた水夫帽をかぶった半身不随の老人に、ただならぬものを感じていたエツェルは、 とうとうこの老人が家の中まで入って来て、父検事にモリツィウスと名乗り、 一通の封書を無理矢理渡すのを見た。 モリツィウスとは何者だろう? エツェルの質問に、ふだんから厳格な父は一層頑強に口をつぐんだ。 翌日、父とは別に気楽な隠居生活を送つている祖母のもとに招ばれたエツェルは、 そこで初めて秘密の鍵を握ることが出来た。エッェルがまだ生れない18年前、美術史の少壮教授として知られた モリツィウスが細君投しの容疑で告訴された。確証がないのと被告の身分が身分だけに、世間は有罪か 無罪かでわきかえったが、周囲の不利な証言とアンデルガスト検事の論告が遂にモリツィウスに 終身刑の判決を下す結果となった。当時まだ検事補だったアンデルガストが一躍注目され、 鬼検事の令名をかち得る様になったのはこの事件がきっかけであった。 だが、それにしても、確証なしに証言と推定だけで人を罰していいものだろうか? 少年らしい 正義感から探求心に燃えたエツェルは、父の書斎をあさって、老人の手渡した封書が息子 レオナール・モリツィウスに対する再審上告書であることを知った。 ・・・ (110分) |