わんぱく戦争

<La Guerre de Boutons>   (61年仏)

<スタッフ>
製作

監督
原作
脚色
撮影
音楽

<キャスト>
ルブラック
ルブラックの父
アズテック
アズテックの父

イブ・ロベール
ダニエル・ドロルム
イブ・ロペール
ルイ・ペルゴー
フランソワ・ボワイエ
アンドレ・バック
ジョセ・ベルグマン


アンドレ・トレトン
ジャン・リシヤール
ミッシェル・イセラ
ジャック・デュフィロ
 数々の70ミリ映画を押さえて、パリで今一番観客を集めている映画が、 この子供の集団のケンカをユーモラスに描いた傑作「わんばく戦争」である。 封切られてから、30数週間に何と70万人以上が観賞し、 まだゆうゆうとロングランを続けているという、正に驚くべき大ヒットぶりである。
 物語の主人公は緑に恵まれた自然の中で、ことごとにケンカばかりしている 二つのグループの子供たち。勿論ノー・スターの、 7才から13才までの百人ほどの子供ばかりである。
 いっぽうのわんぱく大将が考え出した、敵の捕虜への刑罰、 つまり男として一番たいせつな名誉を奪うために、服や下着のボタンをすっかりはぎとってしまったことから、 両軍の間に、ボタンとりっこの激しい戦斗が開始される。(原題ボタン戦争″) ところがそのご当人の大将まで捕虜になるや、彼は新たにボタンをとられない為の作戦に、 まっ裸で敵陣を急襲して大勝利。敵の大将のパンツをぶんどって旗印にし立て、勝利の行進曲を 歌いながら、意気揚々とガイセン。
 両軍の斗いは遂に馬やトラクターまでかり出しての大激戦″……といった具合に、 彼らの思いついた自由奔放で愉快きわまるケンカ作戦の数々が次々と繰り拡げられる。
 緑の森や野原、魚釣りをする小川に囲まれた大自然の中で、生々と跳ねまわる子供たちの姿に 大人は過ぎ去った艮き子供時代への郷愁を、子供たちはほんものの彼ら自身の姿に大喜びしながら、 その中に含まれる現代社会への鋭い文明批評が、観客を感動きせるのである。
 原作はゴンクール賞受賞作家、ルイ・ベルゴーが1911年に書いた小説。それを舞台俳優出身の監督 イブ・ロベールが、禁じられた遊び″のシナリオを書いたフランソワ・ボワイエと共同で脚色。
 彼は、この映画を製作するために、俳優の妻、ダニエル・ドロルムの協力を得て、 自分の別荘を抵当に入れて資金を作り、全く独力で完成きせたものである。
 <梗概>  南フランスの田舎。美しい自然の中で、今日も人々は平和ないとなみをつづけている。
 だが、子供たちの世界は別だ。彼らは自分たちの秩序をつくり、その中で、 豊かな生命力をぶつけ合う。だから、常に平和≠ニはかぎらない。
 となり合った二つの村、ロンジュヴェルヌとヴェルランの子供たちは、村ごとにグループをつくり、 いつもにらみ合っている。ロンジュヴェルヌの大将は学校でも一ばん身体の大きいルブラック。 片やヴェルランの首領はアズテック。それぞれの餓鬼大将にひきいられた両軍は、 毎日のように小ぜり合いをくりかえして、相手をやっつける計略に夢中だ。
 村の小さな分教場での、毎日の授業もまるでうわのそら、学校がひけるのもそこそこに 合戦の準備というありさまである。
 村の境界にある砂地の原っぱが、いつもの戦場だ。木のマタにゴム紐をつけたパチンコの武器を手に、 小石をとばし合うこの戦いが、彼らの血を最高に湧かせるのである。
 わけのわからない悪口を言われ、その意味を父親にたずねてこっぴどく叱られた腹いせに、 夜中にこっそり、敵地にしのび入り、"ヴェルランのバカヤロ″と大書してくるといったいざこざののち、 ついに両軍の全力をあげる大合戦が行なわれた。
 ルブラックの部下には、いたづら小僧で人気者のちびのジュビスや、副大将のカミュ、 知恵者で参謀格のクリスと多士斉々。
 その戦いはルプラックの奮戦よろしく、ロンジュヴェルヌ軍の大勝利。算をみだして敗走する敵軍に追いうちをかけて、 その一人を捕虜にしてしまった。泣きベソをかくその少年をしばりつけたルアラックは、おもむろに 自分の考えた処刑″を加えはじめた。
 「男にとって、一ばんたいせつなのは、名誉だ」……彼は敵兵のボタンを全部もぎとった上、 ボタン穴をひきさき、ズボンのつりひもから靴ひもまで切ってしまったのである。 ・・・  (95分)

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