太陽のサレーヌ

<La Grande Sauterelle>   (67年仏)

<スタッフ>
監督
原案
脚色

撮影
美術
音楽

<キャスト>
サレーヌ
カール
アルフレ
マルコ
ジュデオン
ウラディミール

ジョルジュ・ロートネル
バへ・カチャ
バへ・カチャ
ジョルジュ・ロートネル
モーリス・フェルー
ジャン・マンダルー
ベルナール・ジュラール


ミレイユ・ダルク
ハーディー・クリューガー
モーリス・ビロー
ジョルジュ・ジュレ
フランシス・プランシュ
ペナンティーノ・ペナンティーニ
 顔いっぱいのソバカスと、男っぽいラフを服装に包んだすらりとした肢体がトレード・マークの ミレイユ・ダルクが、「恋するガリア」「女王陛下のダイナマイト」に続いて主演する最新作である。
 西洋文明と東洋文化の接点ともいうペき中近東の大都会ベイルートとその大力ジノ、 古代ローマ帝国の遺跡バールベックを舞台に、自由気侭に生きる若き現代娘サレーヌと、 夜ごとカジノに入りびたる大金持の石油王から大金をまきあげようと企む青年冒険家カールの間に生れる恋が、 きらめく太陽の光りを浴びながら、エキゾチックを雰囲気の中に描きだされる。
 アルメニヤ生れの作家で、「眼には眼を」の原作者として知られているバヘ・カチャは、 かつてミレイユ・ダルクに会って、その魅力の虜となり、オリジナル脚本を書きおろした。その脚本の一つが、 この「太陽のサレーヌ」であり、もう一本が「恋するガリア」であった。さらに、 この映画の台詞を執筆したミシェル・オーディアルは、すでに「女王陛下のダイナマイト」の脚本と台詞を 担当しているので、ダルク向きの歯切れの良い台詞については知りすぎるほど知りつくしているといっても過言ではないところ。
 演出に当ったジョルジュ・ロートネル監督は、「女王陛下のダイナマイト」「恋するガリア」に続くこの作品と、 立て続けにミレイユ・ダルクの主演映画を3本も撮っている。このように、彼女の魅力に魅せられた作家が3人集ったこの新作に、 ダルクの魅力が最高に生かされていても、決して不思議がるには当らないだろう。
 なおダルクはこのあと「替玉のブロンド美人」(仮題)がある。
 このダルクのリサイタルともいうべき映画で、相手役を勤めるのは、「シベールの日曜日」以来 すっかりフランス映画界に腰を落着けたハーディー・クリューガー。クリューガーの相棒には、 「地下室のメロディー」に出演していたモーリス・ビローが扮するほか、「女王陛下のダイナマイト」「恋するガリア」で ダルクと共演したペナンティーノ・ペナンティニ、「小間使の日記」のジョルジュ・ジュレ、 「世界詐欺師物語」のフランシス・ブランシュらが出演している。
 なお、撮影は「女王陛下のダイナマイト」「恋するガリア」のモーリス・フェルー、 美術と音楽は「女王陛下のダイナマイト」のジャン・マンダルーとベルナール・ジュラールがそれぞれ担当している。  
 <梗概>  中近東の大都会ベイルート。カジノでは、今日も石油成金たちが巨万の富を賭けて大賭博を打っている。 しかし賭博と石油の町の黄昏は、そんなことに背をむけて美しくやってくる。地中海をよぎる潮風はやさしく、 海の香りは甘く快い。そして、夕焼けは遠くギリシャの昔を想い起させる不思議を色彩だ。
 サレーヌは、こんな町にやって来た若い娘だ。輝く太陽をあびながら無限の自由に抱かれた彼女の美しさは、 ソートレル(フランス語で虫のバッタの意)と呼ばれるように、見事に伸びきったその肢体、 そしてその自由な心の広さにあった。
 自由、まったくこのコトバは彼女をトリコにしていた。しかし、この町にやって来てからは、 それとは別な何かを求めている自分に気がついていた。だから石油成金のグリュベルの誘いも彼女にとっては 何の意味もなかった。
 今、彼女は昨日のあの小さな事件、 ホテルのプールで不良たちにおどかされていたのを助けてくれた青年を忘れていない自分に気づきハッとした。
 しかし、名もあかさずに別れた男は、ベイルートヘ来る男たちの例にもれず、カジノに入りびたっていた。 青年の名はカール。しかし、カールがカジノに通いつめているのには理由があった。
 「君を探したんだ。」栗色の髪と青く澄んだ瞳は、サレーヌのもとへ走りよって来て、そういった。 彼女は知っていた。この青年が、一晩中、自分のことを探しまわったということを。
 カールは、実際、サレーヌを探しまわっていたのである。しかし、その途中で、 かつての仲間で殺し屋のマルコにつけねらわれていたのである。
 ベイルートの東方にあるバールペックは、古代ローマ帝国の遺跡である。サレーヌは、ここが好きだった。 カールを誘ってジープでやってきたのは、バールペック野外音楽フェスティバルの日だった。
 町へむかう途中、2人は、又、マルコに狙らわれた。遺跡の前で、カールはサレーヌにいった。
「ピストルがいるんだ。むかしの仲間にツケられている――」
 サレーヌは、そんをカールの事情を了解した。
「あなたも、私も人生の冒険者ね。」だからこそ、自由なのかもしれない。サレーヌは故郷を持たをい漂泊者。 ベイルートヘ来る前はスエーデン、イタリーと、・・・(103分)

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