禁断の木の実<Le Fruit defendu> (54年仏) |
||
<スタッフ> |
|
「舞踏会の手帖」「陽気なドン・カミロ」などに出演、フランスきつてのコメディアンとして演劇、
映画、ラジオに名声を博し、20年にわたって最高の人気者、フェルナンデルの主演作品。
しかもフランス随一の大衆作家で「モンパルナスの夜」など多くの作品が映画化されている
ジョルジュ・シムノンの小説「私の判事への手紙」の映画化である。
|
<物語>
飾りつけたテーブルの上のバースデイ・ケーキには45本の蝋燭に火が灯り
奥床しい調度が整っている食堂には医師シャルル・ベルグランの誕生日を、
祝う人々が席についている。
今日の主人公ベルグランとその年老いた母、美貌の妻アルマンド、 前妻との間に生まれた2人の娘及び数人の気易い友人たちである。 ベルグランがこのアルルの町へ母と2人の幼い娘を抱えて来たのは 7年前のことだった。彼は冷静などちらかといえば気の小さい男で、 往々にして他人の意志に左右され勝ちで、娘を医者にしたのも、最初の妻を娶わせたのも母だった。 最初の妻を失い、アルルへ来てから知り合った美しい未亡人アルマンドと再婚した。 この時も求婚したのはアルマシドで、女丈夫とでも云おうか、彼女は命令的な態度をとり、 ベルグランは結婚させられたのだった。5年間アルルに暮すうちに、アルマソドは精彩のない ベルグラソをこの町では一寸名の知れた名士に仕立て、患者もついて繁昌した。 はたから見れば2人は似合いの夫婦で、ベルグランも今日の誕生日を楽しく迎えたと思わ れようが……… ………数週間前、ベルグラソは仕事の上の用事でマルセイユへ旅行した。帰途 駅の出札口で前にいた小娘のおかげで汽車に乗り遅れてしまった。それがきっかけとなって 小娘、マルティヌと知り合った。彼はマルティヌを知って、ふと今迄45年間、 心の片隅に間隙を感じ何かを渇望しながら生きて来たことに気付いた。 マルティヌは20才で、10人並という程ではないが可愛い娘で、グレイのレインコートを着て 黒いベレエ帽の下からほ雨に濡れている美しい金髪をのぞかせ、何事でも行き当りばったりで 計画性がなく働かないで、笑つて楽しく恋愛する生活しか考えない、いわゆるアプレ肌だった。 母親と2人の子どもと、再婚した妻を抱えて田舎町に住む45歳の医師が、 ・・・ (105分) |