月夜の宝石

<The Night Heaven Fell> (58年仏伊米)

<スタッフ>
製作
監督
脚色

原作
撮影
美術
音楽

<キャスト>
ユルシュラ
フロランチーヌ
ランベルト
リベラ
コンチタ

ラウール・ジェ・レヴィ
ロジェ・ヴァディム
ロジェ・ヴァディム
ジャック・レミー
アルベール・ヴィダリー
アルマン・ティラール
ジャン・アンドレ
ジョルジュ・オーリック


ブリジット・バルドー
アリダ・ヴァリ
スティーブン・ボイド
ペペ・ニエト
マルチ・フレスノ
 「素直な悪女」を発表して全世界を驚嘆させたプロデューサーのラウル・レヴィと監督のロジェ・ケアディムが再びブリジット・パルドーを主演にした最新作である。
 フランスの新進作家として知られているアルベール・ヴィダリーの最初の小説であり、批評家に絶許されて様々な話題をまいた「月光の宝石商」の映画化である。 原題は Les Bijoutiers du clair de lune。フランス、イタリア、アメリカの合作。
 若く美しく、しかも純情な娘が正当防衛で殺人を犯した青年を庇い共に遠く国境への逃避行、追われて逃げる幾日、 焦換の中に燃えさかる愛情一筋に生き抜こうとする娘と愛すればこそ娘に不幸を招くことを恐れて彼女を送り返そうとする青年。 広漠たるスペイン・フランス国境に激しい情熱に結ばれ乍らも不安の中におののく薄幸の恋を描いたドラマである。
官能美女優として世界一の魅力を誇るバルドーが今までの作品系譜から脱して 新しいドラマティックな作品と取組もうとする意欲がうかがわれる注目すべき作品である。 しかし、勿論、彼女の本来の強烈な魅力は随所に引き出され生かされている。
 ロジェ・ヴァディムが「空と海の間に」のジャック・レミイと共同脚色。撮影は「素直な悪女」の名手 アルマン・ティラール。音楽は「悲Lみよこんにちは」の名匠ジョルジュ・オウリック。
 主演はパルド一に「日のあたる島」のスチブン・ポイド、「海の壁」 のアリダ・ヴァリ、 スペイン映画界のスター、ベベ・ニエト、マルチ・フレスノ等である。スペインのマドリッド肘近に於ける現地ロケは 素晴らしい効果を発揮している。
 なお、ロジェ・ヴァディム監督はバルドーと52年10月に結婚、その後、自分の脚本で監督に進出しようという野心を燃やし、 その夢がこの映画によって実現したわけだが、この映画の完成後に離婚した。
 <物語>  スペインの小さな駅、若く美しいユルシュラ・デフォンテーヌが到着した。 叔母のフロランチーヌが一緒に住むため呼び寄せたのである。 出迎えた自動車はスペイン特有の白壁の家が点在する山道を登って行く。
 峠にさしかかると、その村では若い娘が井戸に飛び込み自殺して大騒ぎである。 人混みを抜けると何時の間にか自動車Tの背後に若い男が必死にしがみついている。 振り落そうとする運転手を彼女は制してそのまま叔母の邸宅に到着した。
 若い男はランベルトという名前で自殺した娘の兄、娘は叔母の夫リベラに玩ばれた末に捨てられ自殺したのである。 彼は妹を殺した憎いリベラを詰問しなければならないのである。
 ユルシュラを迎えるフロランチーヌと共に出て来たリベラはランベルトを見て驚いた。 男同志の激しい口論は忽ち殴り合いとなった。ランベルトは叩きのめされて一室に運ばれた。 ランベルトに同情を寄せて何かと世話をするフロランチーヌの様子を見てユルシュラは何か嫉ましさを感じるのであった。
 娘の自殺については警察でも調査を進めてはいるが一応収ったかの様に見える。 そしてユルシュラのスペインに於ける生活は平和に楽しく過されそうであった。 輝く太陽の下の草原に思いきり若さを謳歌する彼女、闘牛見物に出掛けても勝手にグランドに降りて 猛牛相手に闘牛師をやってのけるといぅ奔放な振舞い。漸く大人になった新鮮な彼女の姿態は リベラの欲望を駆りたてる。とにかくユルシュラの生活は幸福であった。  フロランチーヌのランベルトに対する同情は恋に変って夜更けなどは自分の部屋に誘い込むようになった。
 或る夜、忍び込んで来たが厩でリベラと出会ってしまった。ランベルトはナイフでリベラは拳銃で 斗ったが、力尽きてナイフをさされた胸を押さえてリベラは苦しそうに庭に出てきたが 倒れて息絶えて了った。 ・・・ (91分)

inserted by FC2 system