い ぬ

<Le Doulos>   (63年仏)

<スタッフ>
監督
原作
脚本
撮影
美術
音楽

<キャスト>
シリアン
モーリス
クラン刑事
ヌテシオ

ジャン・ピエール・メルビル
ピエール・ルズー
ジャン・ピエール・メルビル
ニコラ・エイエ
ダニエル・ゲレ
ポール・ミスラキ


ジャン・ポール・ベルモンド
セルジュ・レジアニ
ジャン・ドサイ
ミシェル・ピッコリ
 映画の原題 Le Doulos とは、暗黒街の隠語で "警察に情報を提供する密告者" という。 彼らにとって、仲間をよそおいながら、警察との連絡をたもつ "ドゥ一口ス" は 最も不気味な存在であると同時に、最大の憎悪の対象でもある。
 この映画は、パリの暗黒街を舞台に、この "ドゥ一口ス" がまきおこす異様な波紋を サスペンス豊かにえがいたセリー・ノワール(暗黒もの)の新作である。
 監督は、わが国には初めてながら、すでに名匠として名の高いジャン・ピエール・メルビル。 47年に長篇第一作を発表して以来、すぐれた作品を生みつづけて来た偉才である。
 作品の数は少ないが、「シベールの日曜日」のセルジュ・ブールギニョン監督や 名カメラマン、アンリ・ドカエなどの才能を育てゝ "ヌーベル・バーグの父" とも呼ばれて、 若手映画人たちの尊敬を集めている。
 この映画はメルビルとしては8本日の作品だが、その鋭い手法とクールなタッチは 名匠の名に恥じないみごとなものとして絶賛を浴びた。
 原作は新鋭推理作家ピエール・ルズーの同名の小説、それをメルビル自身が脚色している。 撮影はベテランのニコラ・エイエ、音楽は有名な作曲家ポール・ミスラキの担当。
 主人公を演じるのは人気最高のジャン・ポール・ベルモンド。相手役は久しぶりの名優 セルジュ・レジアニ、ほかにジャン・ドサイ、ミシェル・ピッコリらの中堅、 ファビエンヌ・ダリ、モニク・エネシーらの新人女優が出演している。
 <梗概>  モーリス・フォージェルは心身ともに疲労に蝕まれていた。長い服役期間に健康をそこね、 そのうえ、愛妻のアルレットは死んだという。出所以来、4ヵ月。女もできたし、 もとの仲間ジルベールも親切にしてくれる。 ヵ だが、焦燥と疑惑は、ますます彼をかりたてるばかりだった。アルレットは そのジルベールに殺されたのではないだろうか。口封じのために、消してしまうなど、 簡単にやってのける野郎どもなのだ。
 そんな不安定な気持の中で、追われるように彼は次の "仕事" を考えていた。 一か八かの大バクチである。成功したら情婦のテレーズと2人で、どこかへ高とびするつもりだった。 幸い親友のシリアンが、何かとその計画に協力してくれている。
 シリアンは警察のいぬだという噂をモーリスは信じなかった。いまはシリアンの友情が 彼にとって最大の支えなのだ。
 そろそろ "仕事" 決行の日も近づいたある夜、モーリスはジルベールの家を訪ねた。 相手は高価な宝石類の山の中で、石に細工をほどこしていた。先日、ジルベールらがやったモツァルト街 宝石商強盗事件の "戦果" である。モーリスは相手からピストルをもらうと銃口をジルベールに向けた。 はじめは、まったく本気ではなかった。が、それを見て狼狽した相手が色を失ったとき、 思わず引金をひいた。長い間の疑惑がその一瞬、確信にかわったのだ。
 ちようどそのとき、窓ごしに自動車のライトを見たモーリス は、宝石類と札束をコートのポケットにおしこみ・・・
   (109分)

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