悪魔のような女

<Les Diaboliques> (53年仏)

<スタッフ>
原作

監督・脚色
撮影

音楽


<キャスト>
ニコール
  クリスティナ
  ミシェル
  フィシェ
  ドラン氏
 

トオマ・ナルスジャック
ピエール・ボアロウ
アンリ・ジョルジュ・クルウゾ
アルマン・ティラール
ロベール・ジュイヤール
ジョルジュ・ヴァン・パリス



シモーヌ・シニョレ
ヴェラ・クルゥゾォ
ペール・ムェリッス
シャルル・バネル
ピエール・ラルケェ
 「恐怖の報酬」のアソリ・ジョルジュ・クルゥゾオが 「恐怖の報酬」よりもっとスゴイ映画を作ったと言ったら、誰しも 「ほんとう?」と眼をまるくして驚くことだろうが、論より証拠、嘘だと思うなら、 とにかくこの映画を見ることである。最後の一分まで見当のつかない怖しい謎また謎の連続が、 最後の最後のドタン場へ来て誰でもアッと驚く探偵映画として空前の型破りな解決をとるからである。
 原作者の一人トオマ・ナルスジャックは、最近メキメキ売出しているフランスの探偵小説家で、 1948年に「死は旅行中」で探偵小説大賞を得ており「探偵小説の美学」という評論も書いている。 協力者のピエール・ポワロオはナルスジャックの先輩格で、1938年に探偵小説大賞を得ており、 犯罪者救護の実務にたずさわったこともある。
 監督のアンリ・ジョルジュ・クルゥゾオは今更云うまでもなく「情婦マノン」「犯罪河岸」 「恐怖の報酬」で有名な戦後派のナンバー・ワン。脚色と台詞はクルゥゾオとジェローメ・ジュワニミの 共同である。
 撮影は「夜ごとの美女」「恐怖の報酬」のアルマソ・ティラールと「禁じられた遊び」の ロべエル・ジュイヤールの二人で、美術は「肉体の悪魔」「ガラスの城」「夜ごとの美女」の レオン・バルサック、音楽は「夜ごとの美女」「たれがれの女心」「埋れた青春」の ジュルジユ・ヴァン・パリスの担当である。
 主演は「嘆きのテレーズ」「肉体の冠」などで悪女役、娼婦役で売り出したシモーヌ・シニョレと 「恐怖の報酬」のヴェラ・クルゥゾオに「宝石館」「モロッコ守備隊」のペール・ムェリッス。 それに登場場面こそ少ないが「恐怖の報酬」の名優シャルル・ヴァネルが干釣の重味をそえている。 そのほか、主な共演者は「一日だけの天国」「犯罪河岸」のピエール・ラルケェ、 「巴里の空の下セーヌは流れる」のジャン・プロシヤール、「愛すべき御婦人たち」の ジョルジュ・シャマラ、「女性の敵」のノエル・ロェクヴェール 「埋れた青春」の ジャク・ヴアレンネといった
面々で、生徒としてイヴ=マリイ・ローランと「禁じられた遊び」の ジョルジュ・プウジュリイ、以下多くの少年が共演している。

 <物語>  妻のクリスティナの財産のおかげで、パリ郊外の小学校の校長の椅子におさまったミシェルは、 妻に教鞭をとらせる傍ら女教師のニコールを公然の情婦としていたが、ケチで利己主義で何かにつけて 乱暴に当り散らすその暴君ぶりにはクリスティナもニコールもほとほと手を焼いていた。
 2人はとうとう耐えられなくなって、怖ろしい計画をめぐらすに到った。 3日間の休暇を2人はニオールにあるニコールの家で過し、そこへミシェルをひそかに呼び寄せて 殺してしまおうと云うのだ。
 もともと心臓を病んでいたクリスティナは、いざとなると怖気づいてしまったが、 気の強いニコールは有無をいわせず強引に計画を進めた。
 2人ほ先ずミシェルに、酒にまぜて強い睡眠薬を呑ませ、正体なく寝込んだところを、 浴槽につけて窒息させた。
 翌朝、2人ほ死体を大きなバスケットにつめ、自動車ではるばる学校に運び、 深夜ブールにほうり込んだ。酔った挙句の溺死と見せかけようというわけである。
 校長の行方不明は忽ち校内の話題となったが、誰も2人を疑っている気配はない。 それでもクリスティナは案外平然としている。生徒がブールの中にポールを蹴こみ、 その騒ぎの中にブールにとびこんだ生徒の一人が底に光つている校長の鍵を見つけてきた。 それでは……と、ブールの水をほすことになっつたが、空になったプールを見ると 驚いたことに死体の影も形もない。
 不思議はそればかりではなかった。クリスティナのもとへ校長が殺されるとき着ていた服が きれいにクリーニソグされて届けられて来たのである。 ・・・
    (118分)
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