シベールの日曜日<Cybeleou le Dimanches de Ville D'avray> (62年仏)Sundays and Cybele |
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<スタッフ> 監督 原作 脚本 撮影 美術 音楽 <キャスト> ピエール フランソワズ(シベール) マドレーヌ カルロス ベルナール |
セルジュ・プールギニョン ベルナール・エシャスリオー セルジュ・プールギニョン ベルナール・エシャスリオー アンリ・ドカエ ベルナール・エバン モーリス・ジャール ハーディー・クリューガー パトリシア・ゴッジ ニコール・クールセル ダニエル・イベルネル アンドレ・ウマンスキー |
いまわしい戦争での出来ごとから、記憶を失ってしまった男と
不幸な影を負った12才の少女とがきずいた純粋な愛の世界…。
ことし32才の新鋭監督セルジュ・プールギニョンはみごとな映画美のうちに、
孤独な魂の出合いを美しく描きあげました。
この映画はそのすぐれた芸術性によって、人種を越え、国境を越えて、 感動の嵐をまきおこしました。そして各国で驚異的な大ヒットを記録する一方、 62年ベニス映画祭特別賞ほか、数々の賞を授けられ、このほど、映画としての最高の名誉である アカデミーの外国映画賞を授賞されたのです。まさに、フランス映画の優秀性を世界に あらためて認識させた輝かしい勝利と申せましょう。 この「シベールの日曜日」は、新進プールギニョンの長篇劇映画第一作。 この作品で、若い彼の名は世界的なものになったわけです。 原作はベルナール・エシャスリオーの小説「ビル・ダブレの日曜日」(58)。 ギャングの活躍するこの暗黒小説にプールギニョン自身が自由な脚色の筆を加えて、 完全に自分の世界につくりかえたのです。 撮影はヌーベル・バーグ″育ての親ともいわれる名手アンリ・ドカエ。 パリ近郊ビル・ダブレでのロケを主体とした撮影に、絵画的な美しい構図を見せています。 音楽は「アラビアのロレンス」のモーリス・ジャールの作っ曲を主体に、 いくつかの古典名曲を用いています。また、美術は、やはりヌーベル・バーグの作品を多く手がけている ベルナール・エバンが担当しています。 主演のハーディー・クリューガーはドイツ出身。ヨーロッパ各国の映画界に活躍、 最近は「ハタリ!」などアメリカ映画にも出演している国際俳優。相手役の少女パトリシア・ゴッジは、 この映画がはじめての出演です。ほかに、「ラインの仮橋」のニコール・クールセル、 名優ダニエル・イベルネルなどフランス映画界の中堅俳優が出演しています。 | <梗概>
戦争は人の心にも深い傷をのこす。ピエールもその犠牲となったひとりだった。
パイロットだった彼はインドシナの戦線でひとりの少女を射殺したと思いこんでいる。
恐怖にゆがむ少女の顔が脳裡につきまとってはなれない。彼が激しい戦いにすすんでとびこんだのは
それから逃れるためだった。
墜落のショックは彼を暗い意識の底にとじこめてしまった。そのときかぎり記憶が失われてしまったのである。 ビル・タブレはパリ郊外の静かな町である。美しい池の面に、樹立ちが影をおとす。 ピエールはこの町の片隅にひっそりと傷ついた心と身体を休めていた。 彼を看病した看護婦マドレーヌのやさしい愛情にみまもられながら。 だが、彼の記憶は依然としてもどらない。マドレーヌの愛も、 孤独の底に沈みこんだ彼の心を吸い上げることはできなかった。 でも、いつかはきっと…。マドレーヌは自分の愛を信じていた。毎日、パリの病院にかようつらい勤めも、 この愛をささえるためなのだ。 この町に住む芸術家のカルロスもピエ−ルに好意をもっていた。彼もまた、 社会的無能力者であるピエールの純粋な魂を愛していたのだ。 しかし、ピエールはやはり不幸だった。彼は、毎日、マドレーヌが勤めに出たあと、 ひとりで町のここかしこをさまよい歩く。何ものかを求めて…。 あるたそがれ、例のように散歩に出た駅で、ピエールは父と娘の2人づれに出会った。 少女の眼に涙が光っている。彼はこの父娘に不幸の影を見た。 2人の行く先は寄宿学校だった。少女を学校に入れ、父親は去っていった。父親は二度と現れまい。 ピエールも、少女も、それぞれにそのことを知っていた。 つぎの日曜日ピエールは学校へ行った。ひとりぼっちの少女に会いに。学校の尼さんはピエールを 少女の父親と思ったに違いない。面会をゆるして・・・(112分) |