死刑台のエレベーター

<Ascenseur pour I'echafaud>  (57年仏)

<スタッフ>
監督
原作
 脚色・台詞

撮影
音楽
美術


<キャスト>
ジーリアン・タべルニエ
フロランス・カララ
ルイ
ベロニック
シェリエ警部

ルイ・マル
ノエル・カレフ
ルイ・マル
ロジェー・ニミエ
アンリ・ドカー
マイルス・デイビス
リノ・モンデリーニ
ジャン・マンダロー


モーリス・ロネ
ジャンヌ・モロー
ジョルジェ・プージュリー
ヨリ・ベルタン
リノ・パンチュラ
 この作品は、最近の映画界にエポック・メイカーとして、大きな波紋を投じ、さまざまな話題を起した 異色話題作である。
 第一に原作小説であるが、56年度に「その子を殺すな」と題する推理小説を発表し、フランス推理小説賞を うけたノエル・カレフが書いたもの。
 第二にこの原作を映画化したのが、当時25歳という若さのルィ・マル。一本立ちの映画監督と なっての第一回処女作で、若さから来る独特の感覚によって、きわめて近代的なにおいの作品を作り上げた。
 物語の進展に応じて巻頭から終わりまで、百パーセント、モタン・ジャズの伴奏をつけたのもその一つの あらわれで、年間を通して作り出されたフランス映画中、最も芸術的に高く、映画芸術の進歩向上に成果を示した 優秀作品一本を選んであたえられる「ルイ・デリュック賞」という金的を射とめたのである。
 カメラを担当したのは新人アンリ・ドカーで、パリ市内外を縦横に移動し、せまいエレベーターの 中でのサスペンス、さらには自動車専用道路上の、時速150キロをこえる移動撮影と、 このセミ・ドキュメンタリー手法の作品にふさわしい、鮮やかな手腕のほどを見せている。 美術はリノ・モンデリーニとジャン・マンダローの二人、 録音はレイモンド・ゴーギエ。
 演技陣であるが、主演は1927年ニース生れ、演劇界出身の「七月のランデブー」「大いなる遺産」 「七つの大罪」「ポルジア家の毒薬炎」「宿命」などに出演しているモーリス・ロネ。 「上級生の寝宝」「現金に手を出すな」「寝台の秘密」などのジャンヌ・モロー。 さらに「悪魔のような女」「素直な悪女」のジョルジュ・プージュリー。 今年16才の新人ヨリ・ベルタンが大役に抜擢されている。彼女は元オペラ座の踊り子で、 「モンパルナスの灯」には端役で顔を出しているが、ルイ・マルに見出された幸運の娘である。
 助演陣には「親分」のフェリックス・マルタン、「赤い灯をつけるな」「現金に手を出すな」の リノ・パンチュラ、「悲しみよこんにちは」のエルガ・アンデルセンなどがいる。
 <物語>  経済的には何一つ不自由のないフロランスではあったが、元軍人で頑固な夫シモン・カララとの夫婦生活は、 彼女てとっては精神的に堪えられない苦痛だった。
 シモンは今では未開拓会社の社長として、多忙な毎日を送っていたが、軍人時代の部下で頭のよいジュリアン・ タベルニエを技師にやとって、なかなかのお家繁昌だった。
 ところが、この独身でたくましいジュリアンと知り合ったフロランスは、今では夫の目をぬすん では不倫の関係を結んでおり、邪魔者であるシモンを亡きものにしょうと、2人はひそかに完全犯罪 を計画していた。
 このシモン殺書計画を実行に移すべき日がついにやって来た。ジュネープへ出発するので残ってい たシモンの部屋へ、ジェリアンはフロランスから渡されていたシモンの拳銃をポケットにしのばせ、 パルコニ−から手すりに錨つきのロープをかけて上り、一通の建設資料書をもって入って行った。 この資料書に目を通したシモンが、ふと目を上げたとき、ジュリアンの手には不気味な拳銃が光っていた。
 ジュリアンは計画通りにシモンを射ち殺すと、その手に拳銃をにぎらせて手すり伝いに一階下の 自分の部屋におりて来た。そして彼を待っていた電話の交換手と、ビルの管理人とともに エレベーターでおりて外に出た。あとは街角の花屋の前に止めてある自分の車で、 フロランスが待っているレストランへ行けば、万事はOKという仕組になっていた。
 ところが車の運転台にすわったジュリアンが、何気なしにカララの部屋を見上げると、 彼が上り下りに使った錨つきのロープが風にゆれていた。彼は車からとび出すとビルにかけこみ、 セルフ・コントロールのエレベーターで上りはじめた。そのエレベーターが途中まで乗たとき、 いきなり階の途中でビタリととまって、ビルの中がまっ暗になった。ビルの管理人が 一階の電源スイッチを切って帰ってしまったのである。 ・・・ 
     (88分)

 
 この作品中に流れる10曲のモダーン・ジャズであるが、全曲いまや世界的な作曲家であり、 トランペット奏者として知られるマイルス・デイビスの作曲で、演奏も彼の編成している クインテットである。
デイビス (トランペット)、パルネ・ウィラン (テナー・サックス)、 ルネ・ユレトレジェ(ピアノ)、ピエール・ミシュロー(ベース)、ケニー・クラーク(ドラムズ)
「メイン・タイトル」  「カララ殺害」
「ドライブウェイのスリル」
「エレベーターの中のジュリアン」
「シャンゼリゼーを歩くフロランス」  「モーテルの夕食」
「ジュリアンの脱出」  「夜警の巡回」
「プティ・バッグの酒場にて」
「モーテルのDP屋の暗室」

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