年上の女

<Room at the Top>   (58年英)

<スタッフ>
製作

監督
原作
脚色
撮影
美術
音楽

<キャスト>
アリス・エイスギル
ジョー・ランプトン
スーザン・ブラウン
ブラウン氏
チャールズ・ソームズ
ホイレーク氏

ジョン・ウルフ
ジェームズ・ウルフ
ジャック・クレイトン
ジョン・ブレイン
ニール・バタースン
フレディ・フランシス
ラルフ・プリントン
マリオ・ナッシンべ−ネ


シモーヌ・シニョレ
ローレンス・ハーヴェイ
ヒーザー・シアーズ
ドナルド・ウォルフィット
ドナルド・ヒューストン
レイモンド・ハントレー
 いま英国で注目を浴びている新人小説家の一群「怒れる若者たち」(Angry Young Men)の中でも、 とくに才能を認められているジョン・ブレインが1957年に発表してベストセラーになった処女作. "Room at the Top" の映画化。上流階級への野心と愛情との矛盾に悩む若い主人公の姿をいきいきと描き出した作品である。
 映画の原題ともなっている "Room at the Top" は主人公の青年が下宿している "Top" と称する その街の住宅地を指しているが、また同時にその青年が憧れる上流階級を象徴したものと思われる。
 原作を映画用に脚色したのは、エリア・カザン監督の「綱渡りの男」の原作を書いたことで知られる スコットランド出身の作家ニール・パタースン、監督は1921年生れ、長篇映画ははじめてという新進、 ジャック・クレイトン。この第一作で、58年度、英国映画アカデミー最優秀作品賞を獲得したラッキー・ポーイでもある。
 主演者はまずイヴ・モンタン夫人として知られる「嘆きのテレーズ」「サレムの魔女」などの名女優 シモーヌ・シニョレがフランスから参加して堂々の演技を見せている他「嵐の中の青春」「潜航雷撃隊」の ローレンス・ハーヴェイ、「光は愛とともに」で三重苦の少女に扮し、英国映画アカデミー主演女優賞を授けられた 新人女優ヒーザー・シアーズの3人。とくにシモーヌ・シニョレはこの映画の演技で58年度の英国映画アカデミーで 主演女優賞を、59年カンヌ映画祭で主演女優賞をそれぞれ授けられている。
 3人の主演者を助ける助演陣は、英劇団の重鎮として活躍、「魔人スヴェンガリ」などに出演していた ドナルド・ウォルフィット、「揚子江死の脱走」のドナルド・ヒューストン、傍役のヴェテラン、 レイモンド・ハントレーなど多彩な顔触れである。
 なお、この映画は1959年度のカンヌ映画祭に英国代表作品として出品され、フランスの「黒いオルフェ」と グラン・プリを争った。
 <梗概>  英国北部のヨークシャーの小都会ウォーンリーの駅に、1人の青年がトランク一つの身軽な姿で降り立った。 この市の役所に会計課員として新しく赴任して来たジョー・ランプトンである。
 生れ故郷ダフトンでの息のつまりそうな生活、それにひき続く戦争と捕虜収容所の毎日に青春をすりへらしていた彼にとって、 ここで始まる新しい生活は期待に満ちたものだった。人に使われ、貧乏に追われて、 あくせく暮らすなどはもうまっぴら。とにかく人の上に立つことだ……。彼は自分の経験からひそかにそう決心していたのである。
 「いつか、"トップ" の邸宅に住んでみせる」"トップ" はウォーンリーの高級住宅地帯である。 そこに住むということは、上流社会の仲間入りすることを意味した。
 この町のいわゆる上流階級とは彼らのようなサラリーマンとの間には天と地ほどのへだたりがある。 いくら市役所にまじめに勤めても、せいぜい年俸千ポンド。中古のオースチンを乗りまわすくらいが関の山だ……。 この町に長く住む同僚チャールズ・ソームズはそう言って笑った。しかし、ジョーはチャールズの言葉に、 かえって斗志をかき立てられるのだった
 やがて、ジョーのウォーンリー生活が始まった。平凡な役所の仕事の他に、彼はソームズに連れられて、 何度かこの町の素人劇団の公演に足をはこんだ。彼はその劇団の美しい少女スーザン・ブラウンに眼をつけていたのである。
 スーザンは例のトップの邸宅地帯の中でも一きわ宏壮な城館に住む、この町での政治、経済面での有力者ブラウソ氏の 1人娘である。ジョーにとって、スーザンはいわば新しい豊かな生活と希望の象徴だった。 それにジャック・ウェールスという金持の二枚目青年がいつも彼女のナイト役をつとめ、ことごとにジョーを 軽蔑したような態度を見せることも、彼の意識をあおり立てた。彼は懸命にスーザンを追った。 ・・・  (117分)

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