ロミオとジュリエット<Romeo and Juliet> (54年英) |
||
<スタッフ> 製作 脚色・監督 原作 作曲 演奏指揮 <キャスト> ロミオ ジュリエット ジュリエットの乳母 パリス [序詞役] |
J ・アーサー・ランク レナート・カステラーニ ウィリアム・シェイクスピア ローマン・ブラド ランバート・ウィリアムソン ローレンス・ハーヴェイ スーザン・シェントール フロラ・ロブスン ノーマン・ウーランド サー・ジョン・ギールガット |
「ロミオとジュリエット」の物語は、文豪シェイクスピア描く幾多の名作中でも、
古今東西を問わず最も檜灸し、愛されている世界長大の恋物語である。
シェイクスピアの作品中初期の代表作であるロマン悲劇で、ヴェロナの互に宿怨によって
対峙する二名家の若く純情な息子ロミオと娘ジュリエットとの間の不幸な恋の5日間を描き
シェイクスピアはイタリアの古い伝記小説に想を得て彼独特の解釈を加え、
巧みな作劇術によって構成している。
今回の映画化はイギリスの映画王 J・アーサー・ランクがイタリアの有名な製作会社 ウニヴェルサルチネとそれぞれ資金と技術を提供して製作されたテクニカラー作品で、 二、三の追加場面を除くすべての場面をヴェロナを始めとする北伊の古都の13世紀当時の 建造物 ―宮殿、古跡、寺院、街路など― に7ケ月にわたる大中ロケーションを敢行した。 そして全篇にわたり素晴らしい効果を上げている。 カステラーニの作品が我が国に紹介されるのは「ロミオとジュリエット」が始めてであるが、 ジュゼッべ・デ・サンティス、ピエトロ・ジェルミ等と共に戦後のイタリアン・リアリズムが生んだ 新鋭中でも最大の収穫とされている。脚本もカステラーニが2ケ年を費して執筆し、 精巧を極めている。 アーサー・ランクが「ロミオとジュリエット」の製作を発表した際、 クレア・ブルームが出演を申し込んで来たといわれるが、キャストの編成に当って、 個性が固まっている既成のスターよりも、シェイクスビアのイメージにぴったりした人々を選んだ。 ロミオに選ばれたローレンス・ハーヴェイはさきに「浮気は巴里で」のホテルボーイが紹介されたが、 その後シェイクスピア記念劇場の舞台に立って注目の的となり、シェイクスピア俳優としての 折紙をつけられた25才の新進である。ジュリエットについては『シェイクスピアの原作の中から 抜け出して来たような可憐な処女でなければならい』という注文で、英国全土にわたって 数千の候補者をテストした結果、19才の女学生スーザン・シェントールが選ばれた。 彼女は未だ嘗て舞台にも、映画キャメラの前にも立ったことがない新人である。 助演者についても。『シェイクスピアのイメージに合っ |
た人』を選んだ。
その為、劇壇の名優か或いは全くの新人が起用された。
カステラーニをめぐる製作スタッフには、世界の一流中の一流が轡を並べている。 プロデューサーのサンドロ・ゲンツイ、撮影監督のロバート・クラスカー、作曲の ローマン・ヴラド、演奏指揮は「赤い風車J「悪魔をやっつけろ」のランバート・ウイリアムが担当した。 <物語> 春まだ浅い朝まだき、ヴェロナの町の大広場で例の如くモンタギューとキャビュレット両家の下人共が激しい口論を始め、刃傷沙汰となり、死者を出す。 ヴェロナの大公は両家の長者を招き「今後2度と市中を騒がさば、お前たちの生命を 必ずや申し受けるぞ」ときつく言い渡す。 その朝、モンタギュー家の後を継ぐ一人息子ロミオは湖のほとりに立ち、 何物かに心を奪われている。従兄べンヴォリオが問いただすとロミオは胸のうちを打明ける。 相手はさる名家の令嬢ロザリンドだが、ロミオには冷い流し眼を送るばかり。その夜は キャビュレット家の大舞踏会でモンタギューと名の付かぬ淑女貴公子なら誰でも招待されていた。 その夜、ロザリンドの後をしたって単身キャビュレット家の敷居をまたいだロミオは、 柱のかげからロザリンドを見守るうちに、一きわ鮮かな美女を発見し、嘆声を挙げる。 しかしロミオは、キャビュレット夫人の甥に当る激し易い青年ティボルトの発見するところ となる。 キャビュレット公は今夜の席を愚弄しに来たてロミオに決斗を挑もうとはやる ティボルトを諌むる。それは大公の言葉もあり、叉この夜は美しい一人娘ジュリエットが 始めて晴れの席に出る喜びの宴だからである。 かの美女もロミオに心打たれ、舞踏に加った ロミオと言葉を交わす。ロミオの胸はロザリンドなど何処へやら早鐘を打ち、 恋は次第に2人を燃えさかるるっぼの中へ引きずり込む。 やがて美女は母に呼ばれて奥へ退りロミオは始めて彼女こそ仇敵キャビュレット家の 娘ジュリエットであることを知る。ジュリエットも今夜の美青年がロミオと知って心悩む。 ・・・ (142分) |