ハネムーン

<Honeymoon>   (60年英西)

<スタッフ>
製作・監督
共同制作
シナリオ

撮影
美術
音楽・指揮
編集

<キャスト>
アンナ
キッド・ケリー
アントニオ

マイケル・パウエル
セザレオ・ゴンザレス
マイケル・パウエル
ルイス・エスカバール
ジョルジュ・ペリナル
イポール・ベドエス
サー・トーマス・、ビーチャム
ピーター・テーラー


リュドミラ・チェリーナ
アンソニー・スチール
アントニオ
 イギリス映画最初の70ミリ映画。過去に名作「赤い靴」「ホフマン物語」を作った英国映画界の 巨匠マイケル・パウエルが三度美しい舞姫をヒロインとして、けんらんたる色彩と音楽をくり広げてくれる。 しかも背景は太陽と情熱の国スペイン。新婚旅行のバレリーナとそのマネージャーがスペインの港に 着くシーンに始まり、「アディオス・エスパーニャ」(さよならスペイン)とタイトルの出るシーンに終る。 その間にスペインの魅力あふれる風光と山野と建築と踊りと歌と、そしてスペイン人の荒々しい情熱を たっぷり見せる――つまり、この映画は観客がいながらにして、スペインに豪華なハネムーンの旅をしている 気分になる観光映画と言える。
 しかし単純な観光映画に止まらないところが、さすがパウエルである。 新婚夫婦の間に割り込んで来たスペイン一の色男アントニオに、花嫁がよろめくというとおだやかではないが、 これがタダのヨロメキではない。彼女は夫を棄ててアントニオの踊りの相手役として生きようとする。 バレエの魔神にとりつかれた舞姫の、実生活を取るか舞台に生きるか、 その千々に乱れる女心を軸としてのスペイン見物である。「赤い靴」も同じテーマだったが、 よほどパウエル好みの題材なのであろう。
 主演はフランスから「ホフマン物語」の名バレリーナ、リユドミラ・チュリーナ。 イギリス映画切っての二枚目アンソニー・スチール。全ヨーロッパで人気最高のスペイン舞踊名手アントニオ。 彼のバレー団のプリマ・バレリーナのロンタ・セゴビア。彼のバレー団の舞姫で 若々しい肢体と美しさのため凄い人気のカルメン・ロハス。フランスが産んだ世界的な舞踊家 レオニード・マシーン。
 スタッフはイギリスから製作・監督のマイケル・パウエル、音楽指揮のサー・トーマス・ビーチャム (本年四月死一去)、 スペ (本年4月死去)、スペインから共同製作のセザレオ・ゴンザレスと共同シナリオのルイス・エスカバール、 フランスから撮影のジョルジュ・ペリナル、主題歌「ハネムーン・ソング」を映画の中で終始歌っているのが イタリーの人気歌手マリノ・マリーニ。
 スタッフもキャストも全ヨーロッパから集めた精鋭揃いである。
 <梗概>  バレリーナのアンナ・カトーは、彼女のマネージャー、キッド・ケリーとの結婚をしおにバレエを引退し、 スペインへの蜜月旅行に出発する。
 イギリスからの航路を、スペインの西海岸で上陸した2人は、ベントレーを駆って、 美しい風景の海岸線を快適に走る。
 サンチャゴの郊外を過ぎると、猛スピードでプリムスがすれ違ったが、その気ちがいじみた車が 引き返して来て、こんどはベントレーを追い抜いて行った。
 その車中では、アントニオがその相手役のロシタ・セゴヴィアと言い争い、ついにアントニオは 自動車から置き去りにされる.。
 やむなくアントニオが街道をサパテアードを踊りながら行くと、ハネムーンの車が追いつき、 アントニオはそれに便乗する。
 アントニオの案内で、新婚の2人はトーロの酒場(タベルナ・デル・トーロ)で食事をすることになる。 トーロの酒場では、そこの娘がフラメンコ舞踊を踊る。やがてアントニオも一緒に踊る。 この情熱的な舞踊が最高調になるころ、ロシタが物々しく武装した警官をひきつれ、 わめきながら追いかけてきて大騒動になる。
 大騒動から逃げ出して、2人は車を走らせたが、アントニオの踊りはアンナの心に焼きつけられ、 「彼と踊りたい」とキッドにもらす。再び踊らない約束の新妻から、この言葉を聞くと、 冗談にしてもキッドは悲しい。
 その夜はアビラに泊る。ここはスペインで一番高いところにある町で、夕暮れる山々の展望がすばらしい。 2人の幸福も絶頂にある。
 その翌日の午後3時には予定通り、首都マドリードに着く。マドリードの料亭で、またも2人はアントニオに見つけられる。 いや、夫妻はここではじめて彼がアントニオであり、それはスペインでは誰知らぬ者もない有名人であることも教えられる。 またアントニオもスペイン紙「ABC」の消息欄で、2人がケリー夫妻であることを先刻ご承知であつた。 
 その日、アントニオは新作「テルエルの恋人たち」のリハーサルが予定されていた。 ・・・   (99分)

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