恐 怖

<Taste of Fear>   (61年英)

<スタッフ>
製作
監督
脚色
撮影
作曲
音楽監修

<キャスト>
ペニー・アプルビー
運転手ロバート
ジェーン・アプルビー
シェラール博士

ジミー・サングスター
セス・ホルト
ジミー・サングスター
ダグラス・スローカム
クリフトン・パーカー
ジョン・ホリングズワース


スーザン・ストラスバーグ
ロナルド・ルイス
アン・トッド
クリストファ・リー
 10年間会わなかった父の家へ帰った娘が、そこで経験する恐怖、衝撃、戦慄を、 観客が自分のものとして体験するほど、巧みに作られたスリラー。さすがに、恐怖映画の 本場イギリス映画界で、その道の最高峰であるハンマー・フィルム作品だけのことがある。 その上、荒唐無稽な空想物語でなく、意外な展開をもみせる傑作推理映画である。
 製作及び脚本は、「吸血鬼ドラキュラ」「生きていた吸血鬼」など怪奇映画の脚色をした ジミー・サングスター、製作補佐は、「ジキル博士の二つの顔」「ミイラの幽霊」などの製作者 マイケル・カリラス、監督はイーリング撮影所の編集者出身の新人セス・ホルト、 撮影監督は、「殺人鬼登場!」のダグラス・スローカムといった恐怖映画専門のスタッフによって 製作された。
 主演のスーザン・ストラスバーグ(ピクニック、女優志願)は、この脚本を読み、 相次ぐ恐ろしい経験を受ける下半身不随の娘の役にすっかり惚れこみ、出演を快諾したと言われるだけあって、 上半身だけの演技で、見事に感情を表現している。
 共演は、「戦塵未だ消えず」のロナルド・ルイス、ここ3年ほど銀幕から遠ざかっていたアン・トッド (超音ジェット機、第七のヴェール)、「死霊の町」「ジキル博士の二つの顔」のクリストファ・リー。
 絶え間なく、戦慄と恐怖の場面がつづくこの映画は推理映画として犯罪者を推理したり、 ストーリーを楽しむだけでなく、それよりも最大の興味は瞬間瞬間の恐怖感をしみじみ味わうという作品。 従来のミステリー映画のように犯人あてを目的としたのと違い、巻頭から巻末まで連続する英国映画ならでは 味わえぬショッキングな恐怖感に満ちている。

 <梗概>  ペニー・アプルビーは、10年ぶりに父に会うために、南仏のニースの飛行場に着いた。 出迎えたのはロバートという若い運転手だった。父は急用でどこかへ行き、来られないとのことだった。
 ペニーの母は、10年前離婚し、ペニーをつれてイタ リーで暮していたが、死亡したので、ペニーは、 ニース郊外の別荘で父と暮すために来たのだ。彼女は美しい娘だが、落馬して腰椎を損傷したため下半身不随で、 車椅子で移動しなければならぬ身だった。
 父の二度めの妻ジェーンに迎えられたペニーは、着いた日の夜中、風で鳴る窓の音に眼を覚ました。 庭の離れの窓に灯影がゆらめいているのを見、車椅子で行って、ドアを開けた。鳥や獣の剥製に囲まれた椅子に、 床のローソクの灯を受けて坐っていたのは、父だった。父はカッと眼を見開いていた。死んでいた。 ペニーは悲鳴を上げ、車椅子を回して逃げ出したが、庭のプ−ルに椅子ごと落ちた。
 気がついたのは、ベッドの中だった。父の医者だというピエール・ジュラール、ジェーン、ロバートがいた。 ペニーは、離れに父の死体があったと言ったが、皆は、彼女の幻覚だと信じなかった。 ペニーはロバートに抱かれて離れへ行った。ジェーンが鍵でドアを開けたが、死体もローソクもなかった。
 翌日、ジェーンに呼ばれて電話へ出ると、相手は、「パパだ、お前を出迎えに行けなくてすまなかった。 二日ほどしたら帰る」と言った。ペニーは、わけが分らなくなった。 誰かが父のふりをしたのかも知れない、とペニーは後でロバートに話した。ロバートは離れの床に ローソクの蝋がこぼれていたと言った。
 夕方から夜にかけて、ロバートの運転する大型車で、ジェーンはニースへ行った。その後で、ぺニーは 車庫の扉の音がしたので、車庫へ行ってみると、父が乗って行ったはずの小型車シムカがあった。 そのとき、父の居間からピアノの音が聞こえた。. 彼女がいそいで引返し、居間のドアを開けたとたん、ピアノの音は消え、鍵のかかったピアノが人気のない番屋にあるだけだった。
 そこへジェーンとロバートが帰ってきた。ペニーは、父の小型車が車車にあったことを話したが、 2人は、そんな車はなかったと言った。 ・・・  (78分)

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