黄色いロールス・ロイス

<The Yellow Rolls-Royce>   (64年米英)

<スタッフ>
製作
監督
脚本
撮影
美術
音楽

<キャスト>
フリントン侯
エロイズ
ジョン・フェイン
レディ・シメオン
アングーレム公爵夫人
ノーウッド
ハームスワース

ステファーノ
メイ・ジュンキンズ
パオロ・マルティーズ
ジョーイ・フリードランダー
ボンバ

ガーダ・ミレット
ダピッチ
ホーテンス・アスター
ファーグソン
町 長

アナトール・デ・グルンウォルド
アンソニー・アスキス
テレンス・ラティガン
ジャック・ヒルドヤード
エリオット・E・スコット
リズ・オルトラーニ


レックス・ハリソン
ジャンヌ・モロー
エドマンド・バードム
モイラ・リスター
イザ・ミランダ
ローランド・カルバ
マイケル・ホーダーン

アラン・ドロン
シャーリー・マックレーン
ジョージ・C・スコット
アート・カーニー
リカルド・ガローネ

イングリッド・バーグマン
オマー・シャリフ
ジョイス・グレンフェル
ウォーリー・コックス
ガイ・デジー
 「予期せぬ出来事」の製作に当り、リズとバートンという話題のカップルを、前作「クレオパトラ」撮影中に陥落させて、 世界の映画界をアッと云わせた敏腕製作者アナトール・デ・グルンウォルドが、「予期せぬ出来事」と同様、 イギリスの有名な劇作家テレンス・ラティガンや、監督アンソニー・アスキスと組んで再び世に問う、 国際色豊かな妻華キャスト作品である。
 ラティガンのオリジナル・シナリオは、目も鮮かな黄色いロールス・ロイスをめぐって物語が展開する。 この運命の高級車は、次々と、その気品と優雅な姿に魅せられた人の手に渡るが、その先々で、 邪な、或いははかない、或いは逞しく烈しい情事の中に巻き込まれて行く。
 撮影は、イギリス、イタリア、オーストリアの各地で行われ、「予期せぬ出来事」と同様、 「戦場にかける橋」「サーカスの世界」などの名手ジャック・ヒルトヤードが撮影監督に当った。 音楽は、「第7の暁」「世界残酷物語」などのリズ・オルトラーニで、この中でカチナ・ラニエリによって歌われる歌曲 「明日を忘れて」をも作曲した。作詞はノーマン・ニューエル。 美術は、イギリスのシーンを「たたり」「脱走」などのエリオット・E・スコットが、ヨーロッパ大陸の部分を 「予期せぬ出来事」のウィリアム・ケルナーとビンセント・コーダが共同で監督した。 装置は、ジョン・ジャービスとパメラ・コーネルの2人。
 キャストは、文字通りの豪華多彩で、「マイ・フェア・レディ」1クレオパトラ」などのレックス・ハリソン、 「突然炎のごとく」「大列車作戦」などのジャンヌ・モロー、「さすらいの狼」「危険がいっぱい」などのアラン・ドロン、 「何という行き方」「あなただけ今晩わ」などのシャーリー・マックレーン、「博士の異常な愛情」「ハスラー」などの ジョージ・C・スコット、「訪れ」「さようならをもう一度」などのイングリッド・バーグマン、 「日曜日には鼠を殺せ」「アラビアのロレンス」などのオマー・シャリフらのほかに、 「エロルデ大王」のエドマンド・バードム、英国女優モイラー・リスター、「禁じられた抱擁」のイザ・ミランダ、 「俺の彼女は16ン」のローランド・カルバー、「予期せぬ出来事」のマイケル・ホーターン、 「バリで一緒に」のグレゴアール・アスラン、「卑怯者の勲章」のジョイス・グレンフェル、 「不時着」のウィーリー・コックス、舞台やTVのアート・カーニーらが好演する。
 尚、女優の衣裳も優美で、バーグマンのコスチュームは、パリのカステイオが、マックレーンのものは、 アカデミー賞7回受賞という名デザイナーのエディス・ヘッドが、モローのものは、 日本でもおなじみのピエール・カルダンがデザインした。また、ジョージ・スコットの衣裳
は、ジーン・コフィンの、 その他のものはA・メンデルソンのデザインである。

 <梗概>  1930年代初期のロンドンである。6月の中旬、有名なアスコット競馬が明日に迫ったある日、 国務大臣のフリントン侯爵は、クラブで昼食を取った足で、ぶらりと通りを歩いていたが、とある自動車屋の前で、 急に足がとまり、目はウィンドウに釘付けされた。そこには、目のさめるように鮮かな黄色いロールス・ロイスが1台、 優雅な気品をたたえて、女王のように座っていた。
 フリントンは、その輝くばかりの優美さにうたれ、夫人のエロイズが、領土のクランスデンで乗り回わすよう、 さっそく買い求めることにした。2人の結婚記念日は6月10日で、馬にも6月10号と名付けたほどだったが、 最近、夫人が体の調子が悪いからと、クランスデンに引きこもり、離れ離れの生活を送っていたこともあって、 6月10日を、うっかり忘れてしまったことに気がつき、後ればせながら、結婚10周年のプレゼントにするためだった。
 アスコット競馬は、女王はじめイギリス社交界総出の重要な年中行事で、特に、フリントンは、 呼び物のゴールド・カップ・レースに、今年こそは、と優勝を狙っていた。彼は、外務大臣の留守中、その仕事を見ていたが、 アルバニア大使の同国の国境紛争に付いての緊急会見の申し出にも、アスコットでと返事をさせるほど、大変な力の入れようだった。
 レースは、フリントンの望み通り、6月10日号が優勝したが、彼はこの栄光のレースを自分の目で確めることができなかった。 かねがね、妻と、部下のジョン・フェインとの仲が臭いと思っていたが、レース直前、姿を消したエロイズの行方をたずねていたからだった。 その揚げ句、駐車場の黄色いロールス・ロイスが、果して彼らの情事の場となっていることを知り、折角の勝利が、 冷たい色あせたものになってしまった。
 「この情事は、失われて行く若さに対する、エロイズの最後のあがきだから、しばらく、そっとしておいてあげなさい」と、 レディ・シメオンから云われ、そうすることにしたが、妻を心から愛しているだけに、ロールス・ロイスの類ない優雅さも、 今ではかえって忌まわしく感じられた。そして、自分の目に触れないようにと、もとのショウ・ルームに戻してしまった。
 数年後、悲しみのロールス・ロイスは、イタリアのジュノアで、アメリカの悪名高いアール・カポネの子分で、 顔ききのパオロ・マルティーズに買い取られた。・・・
      (124分)

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